[資源・新興国通貨9/11~15のポイント&注目通貨] 豪ドル/NZドルは方向感が出にくい!?

著者:八代和也
投稿:2023/09/11 12:18

今週のポイント

今週の豪ドル/米ドルやNZドル/米ドル、米ドル/カナダドルは、米国の長期金利(10年物国債利回り)の動向や米CPI(13日発表)の結果がカギを握りそうです。これら次第では米ドルが全般的に堅調に推移して、豪ドル/米ドルとNZドル/米ドルには下落圧力が加わり、一方で米ドル/カナダドルには上昇圧力が加わると考えられます。

米ドル/円が上昇する場合、本邦当局の反応に注目です。鈴木財務相や神田財務官が円安(米ドル/円の上昇)をけん制するトーンを強めたと市場がみなせば、米ドル/円はいったん下落するとともに、豪ドル/円などのクロス円も引きずられる可能性があります。

メキシコペソは先週(9/4- )、対米ドルや対円で軟調に推移しました。メキシコの外為委員会が8月31日に「メキシコ中銀は為替ヘッジプログラムを段階的に縮小する」と発表したことが主な要因です。為替ヘッジプログラムは17年に、当時メキシコペソが対米ドルで史上最安値圏にある中でペソを下支えするために導入されました。

ただ、メキシコの政策金利や実質金利(政策金利からCPI上昇率を引いたもの)が高い状況に変化はありません。このことが市場で改めて意識されれば、メキシコペソ/円は再び上値を試しそうです。

今週の注目通貨ペア(1):<豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07000NZドル~1.09000NZドル>

RBA(豪中銀)は5日に政策会合を開き、政策金利を4.10%に据え置くことを決定しました。据え置きは3会合連続です。

RBAは声明で「インフレ率が妥当な期間内に確実に目標値に戻るようにするため、ある程度の金融政策のさらなる引き締めが必要になるかもしれない」と改めて表明。追加利上げに含みを持たせました。

声明では一方で、豪州のインフレについて8月の時の「低下している」から「ピークを過ぎた」へ修正されたほか、労働市場について8月の「非常に引き締まっている」から“非常に”が削除されました。また、「不動産市場のストレスによって中国経済の先行き不透明感が増している」が追加されました。これらをみると、RBAが追加利上げを行う確率は8月よりも低下したと考えられ、政策金利は今後も現行水準に据え置かれそうです。

RBNZ(NZ中銀)は前回8月16日の政策会合で政策金利を5.50%に据え置きました。声明では「政策金利は予見可能な将来において抑制的な水準に維持する必要がある」と表明され、政策金利を今後も据え置くことが示唆されました。

RBAとRBNZの金融政策面からみれば、豪ドル/NZドルは方向感が出にくいと考えられます。豪ドル/NZドルは6月下旬以降の約2カ月半にわたって、おおむね1.07NZドル~1.09NZドルで上下動を繰り返しており、引き続きこのレンジ内で推移しそうです。

今週の注目通貨ペア(2):<米ドル/カナダドル 予想レンジ:1.35000カナダドル~1.38000カナダドル>

米ドル/カナダドルは7日に一時1.36891カナダドルへと上昇し、3月27日以来の高値をつけました。足もとの米ドル/カナダドル上昇の主な要因として、堅調な米国の長期金利(10年物国債利回り)を受けて米ドルが全般的に上昇していることが挙げられます。

今週はカナダの主要な経済指標の発表はありません。米ドル/カナダドルは米ドル側の材料、米長期金利の動向や13日発表の米国の8月CPI(消費者物価指数)の結果に影響を受けやすいと考えられます。米長期金利が上昇する、あるいはCPIが市場予想を上回る結果になれば、米ドルが全般的に上昇して、米ドル/カナダドルは上値を試す展開になりそうです。

原油価格が堅調に推移しています。原油価格の代表的な指標である米WTI原油先物は6日に一時1バレル=88.08ドルへと上昇し、22年11月以来の高値をつけました。サウジアラビアは5日に日量100万バレルの原油の自主減産を23年末まで3カ月間延長すると発表。ロシアも同日、日量30万バレルの原油の輸出削減を23年末まで3カ月間延長すると発表しました。原油の需給がひっ迫するとの懸念が、原油価格の支援材料となっているようです。

原油価格の上昇はカナダドルにとってプラス材料です。原油価格の上昇が続く場合、原油価格の動向が強く意識されて米ドル/カナダドルの上値を抑える要因になる可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想