*15:07JST 橋本総業HD Research Memo(7):2023年3月期第3四半期は全セグメントで増収、連結で2ケタ増益
■橋本総業ホールディングス<7570>の業績動向
1. 事業環境
日本経済はコロナ禍の影響による停滞感は残るものの、製造業を中心とした設備投資の再開などにより、回復の兆しを見せはじめている。同社が属する建設業界においても、2023年3月期は持家・貸家・分譲といった民間住宅投資、事務所・工場・倉庫などの民間非住宅投資、公共投資共に前期比プラスで推移すると見込まれる※。一方、半導体などの部材不足や一部商品の供給遅延に伴う素材価格の高騰により、多くのメーカーが価格改定を進めている。同社では商品の安定供給を図るため、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力したほか、仕入先との連携を強化して代替品提案や納期管理などを行った。マンション価格高騰を背景とした新築戸建て及びマンションリフォーム需要、公共施設や事務所・工場など非住宅のリニューアル需要に対応し、短期的な経済活動の回復と中長期的に堅調な事業環境を取り込み、業績に寄与した。
※国土交通省及び(一財)建設経済研究所の資料より同社推定。
2. 2023年3月期第3四半期の業績動向
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高109,503百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益2,033百万円(同14.3%増)、経常利益2,859百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,954百万円(同1.6%減)となった。前年同期に固定資産売却益465百万円を特別利益に計上した反動により、親会社株主に帰属する四半期純利益は減益となった。
一部商品の供給遅延等に対しては、在庫、配送機能、情報力という卸機能を活用することでカバーした。また、各セグメントや各営業拠点では、在庫・物流機能を活用した安定供給、メーカー生産状況の情報発信など、機能やサービスの充実を一段と強化した。一方、安定供給が困難となった商品については、代替商品や部材を調達することで機会損失を極力排除した。供給が細るときに在庫をしっかりと積み、配送を滞らせず、情報を的確にスピード感を持って的確に発信することで、取引先との関係をより緊密に築けたようだ。このほかにも、主要メーカーとの取り組み強化(重点商品の設定)や、会員専用Webサイト「OPS」のアイテム数拡大、顧客とのシステム連携強化を推進した。なお、供給遅延については給湯器類を中心に回復しており、代替商品からの戻りもあるようだ。商品価格・製品価格の改定もスムーズに進んでいる(2022年内は従来価格のため、12月に若干ながら駆け込み需要が発生したもよう)。これらに加えて「みらい市」の開催も寄与し、売上高は通期計画を上回る伸びとなった。
トピックスとしては、「みらい市」の開催が挙げられる。既述のとおり2023年3月期は全国7ヶ所で開催(2023年3月期第3四半期末時点)し、33,000名超(Web 参加者16,000名超を含む)が参加した。なかでも、3年ぶりの開催となった「東京みらい市」は過去最大の来場者(Web 参加者を含む)となり、目標の300億円を上回る310億円の受注を獲得した。リアル開催の「みらい市」は、仕入先や取引先同士が直接コンタクトできる非常に有効な機会であることから、売上拡大に拍車がかかると期待できる。
利益面では、商品価格・製品価格の改定に加え、仕入・販売価格のコントロール、重点商品の選定により、売上総利益率は前年同期比横ばいの10.6%となった。「みらい市」開催などにより販管費は同6.9%増加したものの、増収及びコスト削減効果により、販管費率は同横ばいの8.8%を維持した。これらの結果、営業利益率は同0.2ポイント上昇し、営業利益は2ケタ増益となった。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
管材類の売上高は31,570百万円(前年同期比7.8%増)となった。商品価格高騰の影響を受けて工場設備投資需要が減少した一方、住宅リフォーム需要は堅調に推移した。また、素材価格の高騰による商品価格の改定により、売上が伸長した。このようななかで同社は、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力し、商品の安定供給に努めた。
衛生陶器・金具類の売上高は32,820百万円(前年同期比3.8%増)となった。前期より続いていた衛生陶器・金具類の供給不足がおおむね解消されたことに加え、製品価格の改定により売上が伸長した。
住宅設備機器類の売上高は20,067百万円で(前年同期比12.8%増)となった。前年同期はコロナ禍等の影響により、素材及び商品の供給量に制限があったものの、2023年3月期は給湯器類を中心に回復し、商品の供給量が大幅に増加した。
空調・ポンプの売上高は23,692百万円(前年同期比8.5%増)となった。前年同期は空調機器類やインバーター等の供給不足があったものの、2023年3月期は徐々に解消していることに加え、素材価格の改定もあり売上が伸長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 事業環境
日本経済はコロナ禍の影響による停滞感は残るものの、製造業を中心とした設備投資の再開などにより、回復の兆しを見せはじめている。同社が属する建設業界においても、2023年3月期は持家・貸家・分譲といった民間住宅投資、事務所・工場・倉庫などの民間非住宅投資、公共投資共に前期比プラスで推移すると見込まれる※。一方、半導体などの部材不足や一部商品の供給遅延に伴う素材価格の高騰により、多くのメーカーが価格改定を進めている。同社では商品の安定供給を図るため、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力したほか、仕入先との連携を強化して代替品提案や納期管理などを行った。マンション価格高騰を背景とした新築戸建て及びマンションリフォーム需要、公共施設や事務所・工場など非住宅のリニューアル需要に対応し、短期的な経済活動の回復と中長期的に堅調な事業環境を取り込み、業績に寄与した。
※国土交通省及び(一財)建設経済研究所の資料より同社推定。
2. 2023年3月期第3四半期の業績動向
2023年3月期第3四半期の連結業績は、売上高109,503百万円(前年同期比7.6%増)、営業利益2,033百万円(同14.3%増)、経常利益2,859百万円(同13.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益1,954百万円(同1.6%減)となった。前年同期に固定資産売却益465百万円を特別利益に計上した反動により、親会社株主に帰属する四半期純利益は減益となった。
一部商品の供給遅延等に対しては、在庫、配送機能、情報力という卸機能を活用することでカバーした。また、各セグメントや各営業拠点では、在庫・物流機能を活用した安定供給、メーカー生産状況の情報発信など、機能やサービスの充実を一段と強化した。一方、安定供給が困難となった商品については、代替商品や部材を調達することで機会損失を極力排除した。供給が細るときに在庫をしっかりと積み、配送を滞らせず、情報を的確にスピード感を持って的確に発信することで、取引先との関係をより緊密に築けたようだ。このほかにも、主要メーカーとの取り組み強化(重点商品の設定)や、会員専用Webサイト「OPS」のアイテム数拡大、顧客とのシステム連携強化を推進した。なお、供給遅延については給湯器類を中心に回復しており、代替商品からの戻りもあるようだ。商品価格・製品価格の改定もスムーズに進んでいる(2022年内は従来価格のため、12月に若干ながら駆け込み需要が発生したもよう)。これらに加えて「みらい市」の開催も寄与し、売上高は通期計画を上回る伸びとなった。
トピックスとしては、「みらい市」の開催が挙げられる。既述のとおり2023年3月期は全国7ヶ所で開催(2023年3月期第3四半期末時点)し、33,000名超(Web 参加者16,000名超を含む)が参加した。なかでも、3年ぶりの開催となった「東京みらい市」は過去最大の来場者(Web 参加者を含む)となり、目標の300億円を上回る310億円の受注を獲得した。リアル開催の「みらい市」は、仕入先や取引先同士が直接コンタクトできる非常に有効な機会であることから、売上拡大に拍車がかかると期待できる。
利益面では、商品価格・製品価格の改定に加え、仕入・販売価格のコントロール、重点商品の選定により、売上総利益率は前年同期比横ばいの10.6%となった。「みらい市」開催などにより販管費は同6.9%増加したものの、増収及びコスト削減効果により、販管費率は同横ばいの8.8%を維持した。これらの結果、営業利益率は同0.2ポイント上昇し、営業利益は2ケタ増益となった。
セグメント別の業績は以下のとおりである。
管材類の売上高は31,570百万円(前年同期比7.8%増)となった。商品価格高騰の影響を受けて工場設備投資需要が減少した一方、住宅リフォーム需要は堅調に推移した。また、素材価格の高騰による商品価格の改定により、売上が伸長した。このようななかで同社は、在庫商材の拡充、物流機能の活用、商材の拡大に注力し、商品の安定供給に努めた。
衛生陶器・金具類の売上高は32,820百万円(前年同期比3.8%増)となった。前期より続いていた衛生陶器・金具類の供給不足がおおむね解消されたことに加え、製品価格の改定により売上が伸長した。
住宅設備機器類の売上高は20,067百万円で(前年同期比12.8%増)となった。前年同期はコロナ禍等の影響により、素材及び商品の供給量に制限があったものの、2023年3月期は給湯器類を中心に回復し、商品の供給量が大幅に増加した。
空調・ポンプの売上高は23,692百万円(前年同期比8.5%増)となった。前年同期は空調機器類やインバーター等の供給不足があったものの、2023年3月期は徐々に解消していることに加え、素材価格の改定もあり売上が伸長した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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