[資源・新興国通貨2/6~10のポイント&注目通貨] 豪中銀とメキシコ中銀会合に注目

著者:八代和也
投稿:2023/02/06 14:21

今週のポイント

2月3日に発表された米国の1月雇用統計は、失業率が3.4%、非農業部門雇用者数が51.7万人増でした。雇用統計が市場予想(3.6%、18.8万人増)よりも良好な結果だったことで、米FRBは年内に利下げに転じるとの観測が後退する可能性があります。その場合には米ドルが堅調に推移して米ドル/カナダドルは上値を試し、一方でNZドル/米ドルには下値を試す展開になりそうです。

黒田日銀総裁の後任人事に関する報道には注意が必要かもしれません。政府が次期日銀総裁として雨宮日銀副総裁を国会に提示すれば、円安圧力が加わってカナダドル/円やNZドル/円は堅調に推移する可能性があります。雨宮副総裁は黒田総裁が進めた大規模な金融緩和を支えてきたため、日銀が早期に金融緩和を修正するとの観測が市場で後退すると考えられるからです。

今週は、7日にRBA(豪中銀)、9日にBOM(メキシコ中銀)の政策会合が開かれます。豪ドルやメキシコペソについては、中銀会合の結果にも影響を受けそうです。

今週の注目通貨ペア(1): <豪ドル/NZドル 予想レンジ:1.07500NZドル~1.11000NZドル>

今週(2/6- )の豪ドル/NZドルは、7日のRBA(豪中銀)政策会合が重要なカギを握りそうです。豪州の22年10-12月期のCPI(消費者物価指数)は総合指数が前年比7.8%、トリム平均値が同6.9%と、RBAのインフレ目標である2~3%を大きく上回り、総合指数は32年ぶり、トリム平均値は03年の統計開始以降で最も高い伸びとなりました。

インフレ圧力の強さが確認されたことで、RBAは7日の会合で利上げを行うことを決定しそう。利上げ幅については、直近3会合と同じく0.25%になるとの見方が市場では有力です。その通りの結果になれば、RBAの声明の内容が材料になりそうです。

声明では、金融政策の先行きに関する文言に特に注目。前回22年12月の会合時は「今後さらに(政策)金利を引き上げると予想している」とし、追加利上げの可能性が示されました。この文言に大きな変化がなければ、RBAの利上げ停止はまだ先との見方が市場で強まる可能性があります。その場合には豪ドルが堅調に推移し、豪ドル/NZドルは200日移動平均線(2/6時点で1.10038NZドル)を超えるかもしれません。

今週の注目通貨ペア(2):<メキシコペソ/円 予想レンジ:6.700円~7.000円>

BOM(メキシコ中銀)が2月9日に政策会合を開きます。その結果にメキシコペソ/円は影響を受ける可能性があります。

BOMは前回22年12月の会合で利上げを行うことを決定したものの、利上げ幅を0.75%から0.50%へと縮小しました。メキシコの23年1月前半のCPI(消費者物価指数)は、総合指数が前年比7.94%、変動の大きい食品やエネルギーを除いたコア指数は同8.45%と、いずれもBOM(メキシコ中銀)のインフレ目標(3%。2~4%が許容レンジ)を大きく上回りました。インフレ圧力の強さが再確認されたことで、BOMは2月9日の会合で政策金利を一段と引き上げそう。利上げ幅は前回からさらに縮小されて0.25%になるとみられます。これまで実施した大幅な利上げの効果が今後さらに出てくると考えられることや、米FRBが利上げ幅を0.25%へと縮小したからです。

0.25%利上げすることが決定された場合、BOMの声明で金融政策の先行きについて新たなヒントが示されるかどうかに注目です。声明が利上げの停止を示唆する内容になれば、メキシコペソ安材料になりそう。メキシコペソ/円については、米ドル/円の動向にも影響を受けるものの、軟調に推移する可能性があります。

八代和也
マネ―スクエア シニアアナリスト
配信元: 達人の予想