エヌ・シー・エヌ Research Memo(1):「木構造のトータルソリューションカンパニー」へ成長

配信元:フィスコ
投稿:2023/02/02 14:31
■要約

エヌ・シー・エヌ<7057>は、木造建築の耐震性を確保するための高度な構造計算を事業化するとともに、構造計算された耐震性の高い木造建築を実現するため、鉄骨造やRC造(鉄筋コンクリート構造)において主流だったラーメン構法(骨組み(部材)の各接合箇所を剛接合したもの)を木造住宅に取り入れ、同社独自の建築システムである「SE構法」を、工務店を中心としたSE構法登録施工店ネットワークを通じて提供する。さらに、木造住宅で培った構造計算などのノウハウを、幼稚園や老人介護施設、店舗やオフィスなど住宅以外の大規模木造建築へ転用し、事業規模の拡大を推進している。

1. 2023年3月期第2四半期の業績
2023年3月期第2四半期業績は、売上高4,629百万円(前年同期比26.8%増)、売上総利益1,107百万円(同20.8%増)、営業利益238百万円(同65.1%増)、経常利益245百万円(同59.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益161百万円(同47.1%増)と増収増益での着地となり、売上高及び売上総利益以下の段階利益は過去最高となった。世界的な原材料インフレ、ロシア・ウクライナ問題による合板原料・木材等の輸入制限など、原材料の価格動向と調達は予断を許さない状況にある。このような状況のなか、同社グループでは独自のサプライチェーンを強みとして、SE構法の出荷見込みに応じた木材を確実に調達し、安定的に供給を行うことができた。また、第2四半期は、N&S開発(株)への出資(49.9百万円)、(株)MAKE HOUSEの株式取得(29.4百万円)、CADの開発(53.8百万円)など、今後の事業拡大に向けた積極的な投資を実行している。

2. 2023年3月期の業績予想
2023年3月期の業績予想については、売上高9,734百万円(前期比13.6%増)、売上総利益2,384百万円(同16.2%増)、営業利益429百万円(同8.4%増)、経常利益461百万円(同10.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益326百万円(同7.0%増)とする期首計画を据え置いている。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による経済への影響のほか、住宅業界においても世界的な木材資源の需給バランスの不均衡を背景とした木材価格の高騰及び供給体制の混乱に伴う価格変動による今期への影響は精査中である。また、(株)翠豊は2023年3月期第3四半期から連結財務諸表に含まれる予定であり、同社グループの今期業績に与える影響についても現在精査中である。

3. 今後の成長戦略
「建築基準法 第20条4号特例改正」が大きく市場環境を変えることになる。4号特例の縮小によって、2025年に木造2階建て建築でも構造確認が義務化されるため、施行に向けた動きとして木造の構造計算の普及が加速していくことになるだろう。また、「省エネ基準の適合義務化」においては、説明の義務化に留まっていたものが、2025年にすべての住宅に省エネルギー基準への適合が義務付けられ、省エネ計算は必須となる。同社の省エネ計算、木造化、4号特例の縮小による構造計算、耐震シミュレーションなど、各事業部門はこうした背景の下、成長環境が改めて高まっている状況にある。

今後の成長戦略として、(1)大規模木造建築(非住宅)分野での事業領域拡大、(2)新しいライフスタイルへのSE構法の提供、(3)建築法規改正への対応(2025年の法改正を見据えた事業展開・サービス提供)を挙げている。大規模木造建築(非住宅)分野での事業領域拡大については、翠豊への出資による子会社化によって、難易度の高い大規模木造の「特殊加工」や「施工」を事業化することが具体例の1つである。グループにおける非住宅分野の事業計画では、2022年3月期実績の865百万円から2026年3月期に3.5倍となる3,000百万円を計画する。内訳では既存事業(SE構法)が821百万円から1,600百万円、構造設計事業((株)木構造デザイン)を44百万円から400百万円、そして施工・加工事業(翠豊)を1,000百万円へ成長させる。

■Key Points
・大型化・特殊化する非住宅での事業体制強化・事業領域拡大
・国の政策に先駆けて事業を展開
・各事業部門は時代のニーズによって成長
・「建築基準法 第20条4号特例」の範囲縮小で成長加速へ

(執筆:フィスコアナリスト 村瀬智一)

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配信元: フィスコ

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