微生物1細胞ゲノム解析用「AGM (アガロースゲル・マイクロカプセル) 試薬キット」を2023年1月に発売

配信元:PR TIMES
投稿:2022/12/20 15:17
100μmのカプセルを作製、増幅時のゲノムカバー率を向上

株式会社東陽テクニカ(本社:東京都中央区、代表取締役社長:高野 俊也(こうの としや)、以下 東陽テクニカ)は、 微生物1細胞ゲノム解析用に自社開発した「AGM (アガロースゲル・マイクロカプセル) 試薬キット」を、2023年1月に発売いたします。本製品は、国立研究開発法人理化学研究所の特許技術(特許第7018685号)を製品化したもので、水溶液を内包したマイクロカプセルで細胞1個を包埋することが可能です。微生物の1細胞全ゲノム解析で課題であったゲノムカバー率を90%以上と高くすることができ、病理学や生物学などさまざまな研究開発における解析を容易にします。 東陽テクニカは、「AGM試薬キット」の提供を通して、バイオサイエンス分野における研究開発の発展に寄与し、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。





背景/概要

1細胞(シングルセル)全ゲノム解析では、貴重な未知の種のゲノム解析や個の種で高精度のゲノム情報などを取得でき、さまざまな細胞が含まれるがんの解析と治療法の開発や、ヒトの腸内や地球上に存在する無数の微生物の研究など、多様な用途が期待されています。検体量が少なく培養が難しい微生物の1細胞全ゲノム解析では、DNA増幅過程におけるゲノムカバー率を極めて高くする必要があり、その手法の一つとして、微小空間にてゲノム増幅を行うことが実証されています。
本製品は、その微小空間でのゲノム増幅を研究開発の場で容易に実施することが可能です。約100μm(マイクロメートル)径のカプセルを作り出すことができ、カプセルの中に単一の細胞が包埋された状態が出来上がります。これにより、ピコリットルオーダーの容積内に細胞を包埋することが可能になり、90%以上のゲノムカバー率で増幅を行えます。作製作業は混和/攪拌/洗浄/遠心分離といった基本的な実験操作のみで、カプセルの作製と細胞の包埋を同時作業で行え、およそ5時間でマイクロカプセルに1細胞ずつ包埋することができます。

これまでも微生物の1細胞全ゲノム解析の技術は考案されてきました。マイクロ流路によるゲルビーズ法、オイル中の微小液滴によるWater-in-Oilドロップレット法、FACS(※1)とPCRプレート(※2)などです。これらの方法では、包埋体である粒子内外の成分移動や粒子内部における流動性、包埋物の抽出、ゲノムカバー率などそれぞれに課題がありました。本製品で使用するAGMの技術は、解析に必要なDNA量まで増幅する反応回数を1回まで減らすことができ、高いゲノムカバー率を実証しています。


(1細胞包埋技術の比較)
※1 FACS:蛍光活性化セルソーター。蛍光標識した細胞を流し、蛍光特性に基づき不均一なサンプル中から特定の細胞集団を容器へ振り分けることができる装置。
※2 PCRプレート:PCR実験を行う際に反応容器として用いるプラスチック製実験器具。ウェル(穴)と呼ばれるくぼみに試料を入れ、PCR反応を行う。

主な特長

◆ アルギン酸ゾル内の1細胞をアガロースゲルシェルでカプセル化
◆ 約100μm径のカプセルで微小空間に単一細胞を包埋、ゲノムカバー率90%の実績
◆ 混和/攪拌/洗浄/遠心分離など基本作業のみで作製でき、専用機器が不要
◆ 包埋作業はおよそ5時間で完了
◆ カプセル内外を成分が移動できるため、AGM内部でバッファー交換・酵素反応が可能
◆ 水溶系バッファーで保存が可能
◆ 難培養性微生物への応用

本製品は、基本的な実験作業の一環でマイクロカプセルを作製することができることに加え、液滴製造機やセルソーターなどを使うことで自動作製や自動ソーティングも可能になります。
今後の試みとして、試薬内容を変更することで対応できる細胞の種類を増やし、さらなる自動化を目指した開発に注力してまいります。

【 製品データ 】
製品名:「AGM (アガロースゲル・マイクロカプセル) 試薬キット」(3回反応分)
型番:MCM-3
販売価格:1セット13万円/10セット123万円/100セット1,144万円 (すべて税抜)
製品ページ:https://www.toyo.co.jp/agm/

<参考資料>
・東陽テクニカ ニュースリリース (2022年10月19日)
https://www.toyo.co.jp/files/user/company/documents/release/221019_agm_71002.pdf

<株式会社東陽テクニカについて>
東陽テクニカは、1953年の設立以来、最先端の“はかる”技術のリーディングカンパニーとして、技術革新に貢献してまいりました。その事業分野は、情報通信、自動車、エネルギー、EMC(電磁環境両立性)、海洋、ソフトウェア開発、ライフサイエンス、セキュリティなど多岐にわたります。5G通信の普及、クリーンエネルギーや自動運転車の開発などトレンド分野への最新の技術提供に加え、独自の計測技術を生かした自社製品開発にも注力し、国内外で事業を拡大しています。最新ソリューションの提供を通して、安全で環境にやさしい社会づくりと産業界の発展に貢献してまいります。
株式会社東陽テクニカ Webサイト:https://www.toyo.co.jp/
配信元: PR TIMES

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