米ドル/円、140円台到達!次なる上値ターゲットは?

著者:津田隆光
投稿:2022/09/02 10:55

98年8月以来24年ぶりの高値示現!

米ドル/円・日足・複合チャート
米ドル/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【日足チャート観測】「上昇モメンタム加速」→「もう一段の上値追い」
【月足チャート要諦】『逆三尊』(ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム)
【上値ターゲット】98年8月時高値レート「147.710円」
【注目材料】米8月雇用統計


米ドル/円は1日、98年8月以来となる「140円台」を示現しました。この動きは、先月26日のジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長による「インフレファイト決意表明」とも取れるタカ派姿勢とともに、同会議での黒田日銀総裁による「金融緩和以外に選択肢なし」とのハト派姿勢とのコントラストがさらに浮き彫りになったことが要因(動意)の一つと言えるでしょう。

上図にある各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)が右肩上がりであること、2) 遅行スパンがローソク足を上放れる“好転”が示現(上図黄色丸印)していること、3) ローソク足の下方に青色雲(=サポート帯、先行スパン)およびパラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)があること、4) そして5) DMI(方向性指数)で+DI>-DIの乖離が拡大し、ADXが右肩上がりになっている(上図赤色点線丸印)になっていることから、米ドル/円・日足チャートは、上昇トレンド継続を示すチャート形状であると判断します。

その他メルクマールでは、ⅰ) ローソク足がBB(ボリンジャーバンド)・+1σラインと同・+2σラインの間を推移する“上昇バンドウォーク”となっていること、また、ⅱ) BB・±2σラインが拡張する“エクスパンション”になりつつあることを合わせると、今後の米ドル/円は「上昇モメンタム加速」→「もう一段の上値追い」となる可能性も。

本日の米8月雇用統計に要注目!

米ドル/円・月足チャート
米ドル/円・月足チャート出所:マネースクエアFXチャート

その「上値追い」のターゲットを勘案するために、チャートのメルクマールを月足に替えてみましょう。

上図にある米ドル/円・月足チャートの形状は、いわゆる『逆三尊』(ヘッド・アンド・ショルダーズ・ボトム)となっていることが視認できます。

「125円」ライン(上図水色線)をネックラインと規定すると、同ラインを今年4月時点で上抜け突破。その後、ターゲットレートとしていた02年1月時高値である「135.220円」(上図黒色線)を6月時点で突破し、翌7月は一旦の調整・反省相場で同レートを割り込んだものの、8月にはブーストを掛けたような下ヒゲの大陽線(下陰陽線)となっています。

そして、上述の通り、昨日(1日)時点で98年8月以来24年ぶりとなる「140円台」を突破した米ドル/円の次なる上値ターゲットは・・・同年同月の高値レートである「147.710円」(上図赤色線)。

当然のことながら、その過程には修正・反省相場を伴いながら、上下に往って来いとなる可能性とともに、新たな材料出現に伴うトレンド転換(=下降トレンドへの変化)も考慮する必要があります。ただし、現段階(9月2日時点)における米ドル/円相場を取り巻く環境やそこに吹き付ける風は「上向きベクトル」優勢と見る方が一般的と言えるでしょう。


よって、ジャクソンホール会議後の注目イベントである次回米FOMC(9月20-21日)までの期間においては、米ドル/円が徐々に上値を切り上げる蓋然性(がいぜんせい)が高いと言えるでしょう。その意味でも、日本時間本日21時30分に発表される米8月雇用統計結果が極めて重要な判断材料となり得ることから、足もとの米ドル/円の動意となりそうです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想