メキシコペソ/円、利上げ幅サプライズで上昇!

著者:津田隆光
投稿:2021/12/17 11:35

徐々に上値を切り上げる動きとなりそう

メキシコペソ/円・日足・複合チャート
メキシコペソ/円・日足・複合チャート出所:マネースクエアFXチャート

【注目ポイント】DMI(方向性指数)の動向
【見通し①】「+DI>-DIの乖離拡大かつADXの上昇」なら、「5.500円」付近までの上昇
【見通し②】「+DI>-DIの乖離縮小かつADXの下降継続」なら、「5.350円」付近までの下押しも
【相場材料】BOM(メキシコ中銀)、政策金利を0.50%利上げ

先月26日の、いわゆる「オミクロン・ショック」の風を受け、直近安値となる「5.080円」を付けた後、徐々に上値を切り上げる相場付きとなっていたメキシコペソ/円。日本時間本日未明に行われたBOM(メキシコ中銀)会合で、事前予想(0.25%の利上げ)を上回る0.50%の利上げを実施したこともあり、BB(ボリンジャーバンド)・+1σライン付近まで上値を切り上げる相場展開となっています。

上図の各メルクマールを見ると、1) 21日MA(移動平均線)がやや右肩下がりであること、2) 遅行スパンがローソク足と絡み合う状態となっていること、3) ローソク足の下方に薄い形状の赤色雲(=先行スパン、抵抗帯)があること、4) パラボリック・SAR(ストップ・アンド・リバース)がローソク足の下方で点灯していること、そして、5) DMI(方向性指数)で+DIと-DIが交差し、その後+DI>-DIとなっている(上図赤色点線丸印)ことから、メキシコペソ/円・日足チャートは、レンジ相場を形成する中での反発フローの時間帯であると判断します。

注目ポイントは、DMI(方向性指数)の動向。(上図黄色矢印)

筆者が予想する、今後の見通しは以下の通りです。(見通し①、②)


[見通し①]
これからの時間にかけて、「+DI>-DIの乖離がさらに拡大」し、「ADXが上昇」した場合は、もう一段の上値トライとなる可能性も。当該ケースでは、「ローソク足のBB・+1σライン超え」を伴いながら、BB・+2σライン(≒5.500円、上図Ⓐ赤色線)付近まで上値を切り上げる動きとなりそうです。

[見通し②]
一方で、「+DI>-DIの乖離が縮小」し、「ADXの下降継続」となった場合は、一旦の頭打ちとなりそうです。当該ケースでは、「ローソク足のBB・+1σライン割れ」を伴いながら、約1カ月間における市場参加者の平均コストを示す21日MA(≒5.350円、上図Ⓑ緑色線)付近までの再度下押しもあり得そうです。


現時点におけるメキシコペソ/円・日足チャートを見る限り、単純に「金融引き締め(利上げ)=上昇トレンド」とはなり得ていません。日足レベルでの上昇トレンド発生を示唆するメルクマールとして、「ローソク足のBB・+2σライン(≒5.500円、上図Ⓐ赤色線)超え」とともに、「遅行スパンの“好転”」を待つ必要がありそうです。

津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想