■要約
1. 会社概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、サービスモデルの強化(既存製品のクラウド化によるサブスクリプションモデルへの転換)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などにも取り組んでいる。
2. 新中期経営計画
同社は、2022年3月期より新中期経営計画をスタートした。「共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ」を基本方針とし、グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性を打ち出している。また、セグメント区分を「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」に変更した。「プロダクトサービス」では、サービス提供型事業へのシフトによりストックビジネス化を推進するとともに、成長の軸となる「クラウドサービス」ではIT課題から事業課題、さらには社会課題への解決に向けた市場の拡大を見据える。また、「プロフェッショナルサービス」については、プロダクトやクラウドサービスの顧客価値を高める役割を果たし、第2の成長エンジンとして機能させる方向性である。数値目標としては、2024年3月期に売上高122億円、営業利益13.7億円(営業利益率11.2%)を目指していく。
3. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.7%増の4,967百万円、営業利益が同31.1%増の273百万円と増収及び営業増益となった。売上高は、企業のDX化やリモートワークが進むなかで、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した。損益面では、成長の軸となる「クラウドサービス」等への先行投資を拡大したものの、利益率の高い「プロダクトサービス」の伸びや「プロフェッショナルサービス」の損益改善により、計画を上回る営業増益を実現した。また、事業活動面においても、サービス強化等を目的とした先行投資に加え、サービス提供型事業の創出や他社との協業などで一定の成果をあげることができた。
4. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比4.4%増の10,500百万円、営業利益を同5.7%増の800百万円と増収及び営業増益を見込んでいる。各サービスがそれぞれ伸長し、特に「クラウドサービス」の伸びが増収に寄与する見通しである。損益面では、増収効果や「プロフェッショナルサービス」の損益改善などにより営業増益を確保するものの、「クラウドサービス」等への先行投資を継続することから、営業利益率は7.6%(前期は7.5%)とほぼ横ばいを見込んでいる。もっとも、中長期目線では2023年3月期以降の成長加速に向けた取り組みが重要となろう。特に、成長の軸となる「クラウドサービス」のカテゴリごとの進捗状況に加え、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)をきっかけとして加速してきたDX化の流れや社会課題の解決をいかに成長に取り込んでいくのかに注目したい。
■Key Points
・2022年3月期上期は「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」の伸長により増収及び営業増益。サービス提供型事業の創出や他社との協業などでも一定の成果
・ 2022年3月期より新中期経営計画をスタート。成長の軸となる「クラウドサービス」については、IT課題から事業課題、さらには社会課題への解決に向けた市場の拡大を見据えて3つのカテゴリに区分し、カテゴリごとの戦略により事業拡大を目指す
・2022年3月期業績については期初予想を据え置き、通期でも増収及び営業増益を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 会社概要
ユニリタ<3800>は、金融や製造をはじめ、幅広い業種向けにITシステムの運用管理を行うパッケージソフトウェア及びデータ活用ソリューションの開発・販売・サポートを手掛けている。ITの役割が「守り」(業務効率化やコスト削減等)から「攻め」(ビジネスの競争優位性を実現する手段)へ変化するなか、「システム運用」と「データ活用」領域における強みを活かし、デジタル変革(DX)に取り組む企業の業務課題を直接解決するソリューション提供力を発揮してきた。最近では、サービスモデルの強化(既存製品のクラウド化によるサブスクリプションモデルへの転換)やデジタル技術を活用した社会課題解決(働き方改革や地方創生、一次産業活性化)などにも取り組んでいる。
2. 新中期経営計画
同社は、2022年3月期より新中期経営計画をスタートした。「共感をカタチにし、ユニークを創造するITサービスカンパニーへ」を基本方針とし、グループの経営資源とITソリューション力を活かした事業活動を通じて、事業会社としての経済的価値と社会課題解決による社会的価値の双方を実現する方向性を打ち出している。また、セグメント区分を「プロダクトサービス」「クラウドサービス」「プロフェッショナルサービス」に変更した。「プロダクトサービス」では、サービス提供型事業へのシフトによりストックビジネス化を推進するとともに、成長の軸となる「クラウドサービス」ではIT課題から事業課題、さらには社会課題への解決に向けた市場の拡大を見据える。また、「プロフェッショナルサービス」については、プロダクトやクラウドサービスの顧客価値を高める役割を果たし、第2の成長エンジンとして機能させる方向性である。数値目標としては、2024年3月期に売上高122億円、営業利益13.7億円(営業利益率11.2%)を目指していく。
3. 2022年3月期上期決算の概要
2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.7%増の4,967百万円、営業利益が同31.1%増の273百万円と増収及び営業増益となった。売上高は、企業のDX化やリモートワークが進むなかで、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した。損益面では、成長の軸となる「クラウドサービス」等への先行投資を拡大したものの、利益率の高い「プロダクトサービス」の伸びや「プロフェッショナルサービス」の損益改善により、計画を上回る営業増益を実現した。また、事業活動面においても、サービス強化等を目的とした先行投資に加え、サービス提供型事業の創出や他社との協業などで一定の成果をあげることができた。
4. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期の業績予想について同社は、期初予想を据え置き、売上高を前期比4.4%増の10,500百万円、営業利益を同5.7%増の800百万円と増収及び営業増益を見込んでいる。各サービスがそれぞれ伸長し、特に「クラウドサービス」の伸びが増収に寄与する見通しである。損益面では、増収効果や「プロフェッショナルサービス」の損益改善などにより営業増益を確保するものの、「クラウドサービス」等への先行投資を継続することから、営業利益率は7.6%(前期は7.5%)とほぼ横ばいを見込んでいる。もっとも、中長期目線では2023年3月期以降の成長加速に向けた取り組みが重要となろう。特に、成長の軸となる「クラウドサービス」のカテゴリごとの進捗状況に加え、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)をきっかけとして加速してきたDX化の流れや社会課題の解決をいかに成長に取り込んでいくのかに注目したい。
■Key Points
・2022年3月期上期は「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」の伸長により増収及び営業増益。サービス提供型事業の創出や他社との協業などでも一定の成果
・ 2022年3月期より新中期経営計画をスタート。成長の軸となる「クラウドサービス」については、IT課題から事業課題、さらには社会課題への解決に向けた市場の拡大を見据えて3つのカテゴリに区分し、カテゴリごとの戦略により事業拡大を目指す
・2022年3月期業績については期初予想を据え置き、通期でも増収及び営業増益を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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