■要約
高千穂交易<2676>は、セキュリティ関連などのシステム機器、機構部品、半導体などのデバイス機器を主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は海外企業の買収によりセキュリティシステムや防火システムの東南アジア地区での拡販にも力を入れている。
1. 2021年3月期の業績動向
2021年3月期は、売上高20,591百万円(前期比0.1%減)、営業利益886百万円(同12.4%増)、経常利益926百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益548百万円(同187.7%増)となり中間期時点の計画値(売上高20,100百万円、営業利益750百万円)を上回った。リテールソリューションや電子プロダクトは前期比で増収になったが、オフィスソリューションやグローバル事業、国内向けが多い産機プロダクトが減収となり、連結売上高はほぼ横ばいとなった。売上総利益率は0.9pt低下したが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響等で販管費も6.7%減少したことから、営業利益、経常利益は増益、また親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に減損損失を計上したこともあり、前期比で187.7%と大幅増益となった。コロナ禍の影響を受け、プラスに作用した事業とマイナスに作用した事業が拮抗し、売上微減、増益と、多方面に事業を展開する同社らしい決算であった。
2. 2022年3月期の見通し
進行中の2022年3月期は、売上高21,700百万円(前期比5.4%増)、営業利益1,130百万円(同27.5%増)、経常利益1,100百万円(同18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益770百万円(同40.4%増)が予想されている。
依然としてコロナ禍の影響により先行きは不透明であるが、前年度大型案件などにより好調だったリテールソリューションは減速するものの、オフィスソリューション、サービス&サポートの成長によりシステムセグメントは増収。電子ソリューションは好調を継続、前年度苦戦した産機ソリューションが回復することでデバイスセグメント増収、全社では5.4%の売上成長を予想している。販管費は増加予想だが、売上総利益額及び率の改善により営業増益を達成する計画だ。売上については大きな伸びを狙っているわけではないが、粗利率の大幅増+2.0%を予定している。これは全社的に高付加価値商品の販売拡大を狙っていること、特に入退室管理システムを販売するオフィスプロダクトやテレワーク需要で拡大するネットワークプロダクト、また新サービス商品の売上拡大が鍵となろう。
一方で配当については、中間期12円は従来通り、通期については未定としている。但し、配当性向40%以上の方針に基づき計算すると、見通しで掲げる当期利益770百万円を達成した場合、通期配当は34円以上となる。これに加え今期創立70周年の記念配当があれば、2022年3月期は大幅な増配の可能性がある。
3. 中期経営計画
同社は、2022年3月期(同社の創業70周年)を最終年度とする中期経営計画を発表している。「変革へのチャレンジ〜Next Stage to 70th〜」をスローガンとし、様々な定性的な施策を実行する一方で、定量的な目標として最終年度に売上高260億円、経常利益18億円を目指していたが、新型コロナウイルス感染拡大による影響により事業の進捗が遅れたグローバルビジネスやデバイスのオフィス製品関連市場の減速を考慮し、2022年3月期の予想を売上高217億円、経常利益11億円へ下方修正した。
同社は、昨年から大きく変化した顧客ニーズや市場の変化を捉え、中期経営計画で掲げている従来の経営方針に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を更に強化、推進することで、企業価値の向上を図るとともに、持続的な成長を目指すとしている。成果として上がるのは次の中期経営計画期間中と考えられるが、株主還元においては、「安定配当24円+業績連動型=配当性向40%」の方針に変更はなく、順調に業績拡大が果たせた場合は配当利回りの改善も期待できる。
■Key Points
・システム機器、機構部品、半導体等のBtoB輸入商社であり、専門的技術者が多い
・2021年3月期はコロナ禍の影響があったが計画を上回り12.4%の営業増益
・中期経営計画の目標(2022年3月期経常利益18億円)は下方修正も、従来の戦略に加えDX強化により成長基盤を形成
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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高千穂交易<2676>は、セキュリティ関連などのシステム機器、機構部品、半導体などのデバイス機器を主として海外メーカーから仕入れて国内のユーザーに提供するBtoBの商社である。特に「安全・安心・快適」を提供する商品監視システムや機構部品のスライドレールでは国内トップクラスの高いシェアを持っており、近年は海外企業の買収によりセキュリティシステムや防火システムの東南アジア地区での拡販にも力を入れている。
1. 2021年3月期の業績動向
2021年3月期は、売上高20,591百万円(前期比0.1%減)、営業利益886百万円(同12.4%増)、経常利益926百万円(同4.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益548百万円(同187.7%増)となり中間期時点の計画値(売上高20,100百万円、営業利益750百万円)を上回った。リテールソリューションや電子プロダクトは前期比で増収になったが、オフィスソリューションやグローバル事業、国内向けが多い産機プロダクトが減収となり、連結売上高はほぼ横ばいとなった。売上総利益率は0.9pt低下したが、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響等で販管費も6.7%減少したことから、営業利益、経常利益は増益、また親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に減損損失を計上したこともあり、前期比で187.7%と大幅増益となった。コロナ禍の影響を受け、プラスに作用した事業とマイナスに作用した事業が拮抗し、売上微減、増益と、多方面に事業を展開する同社らしい決算であった。
2. 2022年3月期の見通し
進行中の2022年3月期は、売上高21,700百万円(前期比5.4%増)、営業利益1,130百万円(同27.5%増)、経常利益1,100百万円(同18.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益770百万円(同40.4%増)が予想されている。
依然としてコロナ禍の影響により先行きは不透明であるが、前年度大型案件などにより好調だったリテールソリューションは減速するものの、オフィスソリューション、サービス&サポートの成長によりシステムセグメントは増収。電子ソリューションは好調を継続、前年度苦戦した産機ソリューションが回復することでデバイスセグメント増収、全社では5.4%の売上成長を予想している。販管費は増加予想だが、売上総利益額及び率の改善により営業増益を達成する計画だ。売上については大きな伸びを狙っているわけではないが、粗利率の大幅増+2.0%を予定している。これは全社的に高付加価値商品の販売拡大を狙っていること、特に入退室管理システムを販売するオフィスプロダクトやテレワーク需要で拡大するネットワークプロダクト、また新サービス商品の売上拡大が鍵となろう。
一方で配当については、中間期12円は従来通り、通期については未定としている。但し、配当性向40%以上の方針に基づき計算すると、見通しで掲げる当期利益770百万円を達成した場合、通期配当は34円以上となる。これに加え今期創立70周年の記念配当があれば、2022年3月期は大幅な増配の可能性がある。
3. 中期経営計画
同社は、2022年3月期(同社の創業70周年)を最終年度とする中期経営計画を発表している。「変革へのチャレンジ〜Next Stage to 70th〜」をスローガンとし、様々な定性的な施策を実行する一方で、定量的な目標として最終年度に売上高260億円、経常利益18億円を目指していたが、新型コロナウイルス感染拡大による影響により事業の進捗が遅れたグローバルビジネスやデバイスのオフィス製品関連市場の減速を考慮し、2022年3月期の予想を売上高217億円、経常利益11億円へ下方修正した。
同社は、昨年から大きく変化した顧客ニーズや市場の変化を捉え、中期経営計画で掲げている従来の経営方針に加え、DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を更に強化、推進することで、企業価値の向上を図るとともに、持続的な成長を目指すとしている。成果として上がるのは次の中期経営計画期間中と考えられるが、株主還元においては、「安定配当24円+業績連動型=配当性向40%」の方針に変更はなく、順調に業績拡大が果たせた場合は配当利回りの改善も期待できる。
■Key Points
・システム機器、機構部品、半導体等のBtoB輸入商社であり、専門的技術者が多い
・2021年3月期はコロナ禍の影響があったが計画を上回り12.4%の営業増益
・中期経営計画の目標(2022年3月期経常利益18億円)は下方修正も、従来の戦略に加えDX強化により成長基盤を形成
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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