■今後の見通し
1. 2022年3月期の業績見通し
ランドコンピュータ<3924>の2022年3月期の連結業績予想は、売上高が9,630百万円、営業利益が755百万円、経常利益が760百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円と売上高及び利益ともに過去最高を予想している。なお、2021年4月に子会社化したインフリーは、期初から連結決算の対象となる。また、2022年3月期における単体と連結の業績予想の差異は売上高の300百万円のみで、利益予想は同額となる。買収直前期の2020年7月期におけるインフリーの業績は、売上高が330百万円、営業利益が21百万円であったことから、買収に伴うのれんの償却費が利益とほぼ同額となると試算している。
2022年3月期は、既存技術の強化とともに的確な戦略ドメイン選択のもと、長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に注力する。また、これらの成長を実現するため、前期に引き続き戦略投資を進めていく方針だ。一方で、前期に発生した大型不採算案件を鑑みて、不採算プロジェクトの発生を防ぐべく、開発プロジェクトのマネジメント意識を高めるとともに、PMO要員によるプロジェクト監視をさらに強化する。
日本経済は、業種・業態・企業ごとに大きな差が出るK字型の二極化した景気回復となることが予想される。同社が属する情報サービス業界においても、最先端技術の普及や業務効率化ニーズの高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展等により需要は継続されるものの、事業環境の急激な悪化により、短期的にIT投資全般が抑制される傾向は避けられない状況だ。しかしながら、ウィズコロナ/ポストコロナに対応した企業が逸速くコロナ禍の危機を乗り越え、業績を回復もしくは伸長している傾向が強い。具体的な対応としては、働き方改革(業務効率化、テレワークの導入)、クラウド化の進展、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)などのITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足への対応など、構造的には変化せず、中長期的にはIT投資は引き続き拡大すると予想している。
コロナ禍の予防策として、密閉空間・密集場所・密接場面の「三密」回避や人との接触8割減が求められ、越境移動が制限されている。また、政府をはじめとした脱「対面・紙・ハンコ」などの推進は、コロナ禍を契機に大幅に前倒しされている。コロナ禍対策においてデジタル化の遅れを露呈した政府は、2020年12月に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を策定し、2021年9月にデジタル庁を創設予定、2021年度の骨太方針としてデジタル改革を推進することを掲げている。しかしながら、コロナ禍により営業時間や顧客数に制限を課せられている業種は資金繰りや当面の雇用維持が最優先されており、ポストコロナを見越したDX投資を検討する段階に至っていない。これらのことから同社は、コロナ禍の影響を大きく受けている業種向けの売上が2022年3月期下期に大きく回復することは前提としていない。
また、厚生労働省の「労働経済動向調査」が示す産業別正社員等労働者の過不足状況判断指数(=不足−過剰、D.I.)のうち、同社が属する情報通信業の数値を、リーマンショック時と現在のコロナ禍で比較してみる。2008年9月のリーマンショック直前である情報通信業の2007年2月時点調査が49と人手不足の度合いが最も激しかった。バブルが弾けて景気が後退するとともに、D.I.は2009年5月調査で-6とマイナスに転じ、マイナスのトレンドは6四半期続いた。これに対しコロナ禍前後は、人手不足感のピークが情報通信業の2019年2月調査の58であった。2020年8月調査では25まで落ち込んだものの2021年2月調査では30に戻り、リーマンショック後のようなマイナスに転じることはなかった。このことから、ITサービス業界にとっては引き続き人材確保と育成が経営課題の最重要事項であることが窺える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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1. 2022年3月期の業績見通し
ランドコンピュータ<3924>の2022年3月期の連結業績予想は、売上高が9,630百万円、営業利益が755百万円、経常利益が760百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が500百万円と売上高及び利益ともに過去最高を予想している。なお、2021年4月に子会社化したインフリーは、期初から連結決算の対象となる。また、2022年3月期における単体と連結の業績予想の差異は売上高の300百万円のみで、利益予想は同額となる。買収直前期の2020年7月期におけるインフリーの業績は、売上高が330百万円、営業利益が21百万円であったことから、買収に伴うのれんの償却費が利益とほぼ同額となると試算している。
2022年3月期は、既存技術の強化とともに的確な戦略ドメイン選択のもと、長期的な成長につながるビジネス基盤の構築に注力する。また、これらの成長を実現するため、前期に引き続き戦略投資を進めていく方針だ。一方で、前期に発生した大型不採算案件を鑑みて、不採算プロジェクトの発生を防ぐべく、開発プロジェクトのマネジメント意識を高めるとともに、PMO要員によるプロジェクト監視をさらに強化する。
日本経済は、業種・業態・企業ごとに大きな差が出るK字型の二極化した景気回復となることが予想される。同社が属する情報サービス業界においても、最先端技術の普及や業務効率化ニーズの高まり、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展等により需要は継続されるものの、事業環境の急激な悪化により、短期的にIT投資全般が抑制される傾向は避けられない状況だ。しかしながら、ウィズコロナ/ポストコロナに対応した企業が逸速くコロナ禍の危機を乗り越え、業績を回復もしくは伸長している傾向が強い。具体的な対応としては、働き方改革(業務効率化、テレワークの導入)、クラウド化の進展、IoT(Internet of Things)、フィンテック(金融サービスのITイノベーション)、AI(人工知能)、RPA(ロボットによる業務自動化)などのITを利用した生産性向上や省人化・自動化による労働力不足への対応など、構造的には変化せず、中長期的にはIT投資は引き続き拡大すると予想している。
コロナ禍の予防策として、密閉空間・密集場所・密接場面の「三密」回避や人との接触8割減が求められ、越境移動が制限されている。また、政府をはじめとした脱「対面・紙・ハンコ」などの推進は、コロナ禍を契機に大幅に前倒しされている。コロナ禍対策においてデジタル化の遅れを露呈した政府は、2020年12月に「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を策定し、2021年9月にデジタル庁を創設予定、2021年度の骨太方針としてデジタル改革を推進することを掲げている。しかしながら、コロナ禍により営業時間や顧客数に制限を課せられている業種は資金繰りや当面の雇用維持が最優先されており、ポストコロナを見越したDX投資を検討する段階に至っていない。これらのことから同社は、コロナ禍の影響を大きく受けている業種向けの売上が2022年3月期下期に大きく回復することは前提としていない。
また、厚生労働省の「労働経済動向調査」が示す産業別正社員等労働者の過不足状況判断指数(=不足−過剰、D.I.)のうち、同社が属する情報通信業の数値を、リーマンショック時と現在のコロナ禍で比較してみる。2008年9月のリーマンショック直前である情報通信業の2007年2月時点調査が49と人手不足の度合いが最も激しかった。バブルが弾けて景気が後退するとともに、D.I.は2009年5月調査で-6とマイナスに転じ、マイナスのトレンドは6四半期続いた。これに対しコロナ禍前後は、人手不足感のピークが情報通信業の2019年2月調査の58であった。2020年8月調査では25まで落ち込んだものの2021年2月調査では30に戻り、リーマンショック後のようなマイナスに転じることはなかった。このことから、ITサービス業界にとっては引き続き人材確保と育成が経営課題の最重要事項であることが窺える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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