豪ドル
RBA(豪中銀)は「少なくとも2024年まで政策金利を据え置く」との方針を示しています。一方で豪州の雇用情勢は改善が続いています。5月の失業率は5.1%と、新型コロナが大流行する前の20年2月の水準まで低下しました。RBAはいずれ、利上げ時期の見通しを前倒しするとみられます。RBAの利上げ予想時期の前倒しは豪ドルにとってプラス材料です。日銀が金融政策の正常化へと動くのはかなり先と考えられることから、とりわけ豪ドル/円は堅調に推移しそうです。
豪ドル/米ドルについては、米FRBの金融政策にも影響を受けるとみられます。FRBの金融引き締め観測が高まれば、豪ドル/米ドルは上値が重くなる可能性があります。
豪ドルはまた、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。主要国の株価動向にも目を向ける必要がありそうです。リスクオンは豪ドルにとってプラス材料です。
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豪ドル/NZドルは1.00000~1.15000NZドルのレンジ内で推移しそうです。RBAとRBNZ(NZ中銀)のいずれも政策金利を当面据え置くとみられるものの、先に利上げするのはRBNZとの観測が市場にはあります。その観測が豪ドル/NZドルの上値を抑える可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・RBA(豪中銀)の金融政策。
・米FRBの金融政策。
・投資家のリスク意識の変化。
・資源(主に鉄鉱石)の価格動向。
・米中関係、豪中関係(中国は豪州の主要輸出先)。
NZドル
RBNZ(NZ中銀)は5月の会合時の声明で利下げの可能性に言及した文言を削除し、また金融政策報告で早ければ22年7-9月期に利上げする可能性を示しました。
一方で、市場では「RBNZは22年2月に利上げを開始する」との観測もあります。利上げ観測が今後一段と高まる場合、NZドル/円は上値を試しそうです。
NZドル/米ドルについては、米FRBの金融政策に対する市場の見方の影響も受けるとみられます。FRBの金融引き締め観測が高まれば、NZドル/米ドルは上値が重い展開が想定されます。
NZドルは豪ドルと同様、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)を反映しやすいという特徴があります。主要国の株価動向にも目を向ける必要がありそうです。リスクオンはNZドルにとってプラス材料です。
<注目点・イベントなど>
・RBNZ(NZ中銀)の金融政策。
・投資家のリスク意識の変化。
・米中関係、(中国はNZの主要輸出先)。
・乳製品(NZ最大の輸出品)の価格動向。
カナダドル
BOC(カナダ中銀)は4月に債券買い入れプログラムの規模を縮小(カナダ国債の買い入れ目標を週40億カナダドルから30億カナダドルへと減額)。米FRBやECB(欧州中銀)に先駆けて量的緩和の縮小に踏み切りました。市場では年内(早ければ7月)に量的緩和をさらに縮小するとの観測があります。
BOCはまた、早ければ22年下半期に利上げする可能性を示しています。米FRBやECBよりも早くBOCが利上げするとみられることは、カナダドル/円にとってプラス材料です。
カナダドルは原油価格(米WTI原油先物など)の影響を受けやすいという特徴があります。世界経済の回復が進めば、エネルギー需要が増加するとみられることから、原油価格は一段と上昇する可能性があります。その場合、カナダドル/円は堅調に推移しそうです。
<注目点・イベントなど>
・BOC(カナダ中銀)の金融政策。
・資源(特に原油)価格の動向。
・米国景気の動向。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)は6月24日に政策金利を19.00%に据え置くことを決定。声明では、「4月のインフレ報告で示した予測に沿って(インフレ率の)大幅な低下が達成されるまで、現在の引き締め的な金融政策スタンスを断固維持する」と表明。「強力なディスインフレ効果を維持するため、政策金利は引き続きインフレ率を上回る水準に設定する」との方針を示しました。
カブジュオールTCMB総裁は「CPI(消費者物価指数)上昇率は第3四半期(7-9月期)の終わりごろから大幅に鈍化する」との見通しを示しています。早ければ9月分のCPIが発表される10月にも利下げの環境が整うかもしれません。
ただし、エルドアン大統領は6月1日、「(政策)金利は、7月か8月に低下し始める必要がある」と発言。エルドアン大統領の圧力によってTCMBはCPI上昇率が十分に下がる前に利下げする可能性もあり、その場合にはトルコリラ/円に対して強い下押し圧力が加わりそうです。
トルコと米国の関係にも要注意です。トルコはS400(ロシア製地対空ミサイルシステム)を2019年に導入し、追加購入も検討しています。一方米国は、NATO(北大西洋条約機構)の軍事機密がロシアに漏洩するおそれがあるとしてトルコのS400購入に強く反発。ブリンケン米国務長官は4月に「トルコ、そして米国のすべての同盟国はS400などロシア製兵器をこれ以上購入すべきではない」と強調し、「追加購入すれば、さらに制裁を科す可能性がある」と語りました。両国の関係が一段と悪化する場合、トルコリラ/円は下押ししそうです。
<注目点・イベントなど>
・TCMB(トルコ中銀)の金融政策。
・トルコと米国、EUとの関係。
・トルコの地政学リスク。
南アフリカランド
SARB(南アフリカ中銀)は5月の会合で政策金利を3.50%に据え置く一方、「インフレ見通しに対するリスクは上向き」と指摘。必要なら利上げするとの姿勢を示しました。
南アフリカの5月CPI(消費者物価指数)は前年比5.2%と、SARBのインフレ目標(3~6%)のレンジ内に収まったものの、中央値である4.5%を1年3カ月ぶりに上回りました。目標中央値を上回る状態が続く場合、SARBは利上げするかもしれません。利上げ観測が高まる場合、南アフリカランド/円は堅調に推移しそうです。
南アフリカランドはまた、ゴールドやプラチナなどの商品価格、投資家のリスク意識の変化(リスクオン/リスクオフ)に影響を受けやすいという特徴があります。商品価格が上昇を続け、リスクオンの流れになれば、南アフリカランド/円は底堅さを増しそうです。
一方で南アフリカではこれまで、エスコム(国営電力会社)の資金不足によって計画停電がたびたび実施されてきました。今後も計画停電が行われるなどして南アフリカ景気への懸念が高まれば、南アフリカランド/円は下押しするかもしれません。
<注目点・イベントなど>
・SARB(南アフリカ中銀)の金融政策。
・米FRBの金融政策。
・商品価格の動向。
・エスコム(南アフリカの国営電力会社)の経営危機問題。
メキシコペソ
BOM(メキシコ中銀)は6月24日、0.25%の利上げを決定。政策金利を4.00%から4.25%へ引き上げました。BOMはまた、総合CPI(消費者物価指数)上昇率がインフレ目標の3%に収束する時期について、「22年第3四半期(7-9月期)」との見通しを示し、5月時点の「22年第2四半期(4-6月期)」から後ズレさせました。
メキシコの6月前半の総合CPI上昇率は6.02%、コアCPI上昇率は同4.58%。いずれもBOMのインフレ目標(3%)だけでなく、許容レンジの上限である4%も上回りました。
市場では、BOMは早ければ8月の次回会合で追加利上げへと踏み切るとの観測があります。8月に追加利上げを行い、その後も利上げを続けるとの観測が市場で浮上すれば、メキシコペソ/円は堅調に推移しそうです。
原油価格(米WTI原油先物)も上昇を続ければ、メキシコペソ/円は5.992円(2020/2高値)へ接近する可能性があります。
<注目点・イベントなど>
・BOM(メキシコ中銀)の金融政策。
・資源(主に原油)価格の動向。
・米FRBの金融政策。
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