ドル円は110円台での推移 FOMC待ちの雰囲気=NY為替後半

著者:MINKABU PRESS
投稿:2021/06/15 04:44
 NY時間の終盤に入って、ドル円は110円台での推移が続いている。きょうのNY為替市場、ドル円はNY時間に入って買いが優勢となり110円台を回復。米国債利回りが上げ幅を広げており、米10年債利回りも節目の1.5%を回復する中で、ドル円も追随している模様。今月の高値が110.35円付近になり、目先の上値メドとして意識される。

 全体的には今週16日に結果が発表されるFOMC待ちの雰囲気が強い。市場は出口戦略着手のスケジュールに関するFRBからのシグナルを待っている。今回はFOMCメンバーの金利見通し(ドット・プロット)が公表されるが、3月FOMCではメンバーの投票は中央値で23年末までゼロ金利で据え置きだった。しかし、今回は23年末までに利上げに修正になるとみられている。

 一方、そのこと自体は織り込み済みで、注目は2022年が何人いるのかという点になっているのかもしれない。また、資産購入ペース縮小など出口戦略について何らかヒントも期待されている。しかし、米労働市場に依然として大きなスラックがある中で、FRBが慎重姿勢を緩和させることはなく、少なくともFRBが8月にワイオミング州のジャクソンホールで毎年開催する年次総会まではFRBは動かないとみられているようだ。

 ただ、一部からはFRBは慎重姿勢を若干緩め、それがドル買いに繋がる可能性を指摘する向きもいる。パウエル議長が会見で資産購入ペース縮小について議論し始めたこと認める。しかし、それには、FRBの目標に向けて経済が更に前進することを条件とするという。それはドルをサポートする可能性があると指摘している。

 ユーロドルは下げが一服し、1.21ドル台を回復。先週末はドル買いが強まり、ユーロドルは1.20ドル台まで一気に下落した。21日線を下放れる動きが見られ、今週の動きが警戒されるが、いまのところ踏ん張っている状況。しかし、買い戻しの機運まではなく、上値の重さは意識される。

 ECBは先週の理事会で、成長やインフレ見通しは上方修正したものの、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)での債券購入のペースを維持し、慎重姿勢を強調した。ラガルドECB総裁は終了時期の協議は時期尚早だと言明。ただ、ECB理事内では見解が分かれており。25名の理事のうち3名が、慎重姿勢の強調に反対していたとも伝わっている。その後の理事のインタビューなどを参照すると、反対した3名の理事は北欧のバイトマン独連銀総裁、クノット・オランダ中銀総裁、そして、ホルツマン・オーストリア中銀総裁とも推測されている。

 ホルツマン総裁は新型ウイルスのひどい流行が再び起こらない限り、PEPPは予定通り2022年3月に終了するとの見解を示していた。ラガルド総裁は高インフレは一時的との認識を示していたが、バイトマン総裁とクノット総裁はインフレ率の上昇に言及していた。ホルツマン氏はインフレ率が3%を超えれば当局は行動を考える必要があると述べていた。

 ポンドドルは買戻しも見られ1.41ドル台に戻した。ただ、買戻しを強める動きまでは見られていない。きょうは一時1.4070ドル近辺まで下落し、5月中旬以来の安値水準に下落する場面がみられていた。

 英景気回復への期待は根強く、FRBやECBよりも英中銀の利上げは開始は早いともみられている。ただ、英EU離脱後の北アイルランドを巡るEUとの対立が激化していることや、ワクチン展開は予想以上に迅速に進展しているものの、変異種「デルタ」広がりを懸念して、英政府は6月21日に予定していた封鎖措置の完全解除延期の方針を示していることがポンドを圧迫している模様。ジョンソン首相がきょうにも声明を発表する予定。一方、FRBは今週のFOMCで慎重姿勢を引き続き強調するとみられるものの、資産購入ペース縮小に関する議論を開始する可能性も示唆するとみられており、それに伴うドル高期待もポンドドルを圧迫している面もあるようだ。

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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