xEVで商機到来、「車載電池リユース・リサイクル関連」成長ロード疾走へ <株探トップ特集>

配信元:株探
投稿:2021/05/06 19:30

―電池サプライチェーン協議会発足、国際競争力強化やエコシステム構築に期待―

 世界的な「脱炭素」の流れを受けて、電気自動車(EV)の普及が加速している。日本でも菅政権が2035年までに、新車販売に占める電動車(xEV:電気自動車、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車、 ハイブリッド自動車)の割合を100%にする方針を打ち出している。

 これを受けて、xEVの基幹部品である車載電池の需要も急速に拡大している。ただ、車載電池である リチウムイオン電池に使用されている レアメタルは産出される地域や流通量が限られており、今後はxEVの普及拡大とともに、レアメタルの需給がひっ迫する可能性が高い。

 こうした状況を受けて最近、車載電池の リユースや リサイクルに対するニーズが高まっている。株式市場でも今後、関連銘柄に対する注目度が上昇しそうだ。

●BASC発足で国際競争力強化へ

 今年4月1日、トヨタ自動車 <7203> とパナソニック <6752> の合弁会社プライム プラネット エナジー&ソリューションズなど28社は、「電池サプライチェーン協議会(BASC)」を発足させた。同協議会には、ホンダ <7267> などの大手自動車メーカー、ジーエス・ユアサ コーポレーション <6674> 、原材料を供給する住友金属鉱山 <5713> 、貴金属リサイクルの松田産業 <7456> 、大手商社の三菱商事 <8058> などが参加し、電池のサプライチェーン(部材、素材)を持続可能な形で発展させることで日本、そして世界の電池産業に貢献していくことを目指すとしており、業界の国際競争力の強化などを図るという。

●リサイクルシステムも標準化へ

 BASC設立の背景には、中国が議論の主導権を握るとされるリチウム関連の国際標準化機構(ISO)のルール策定への対策がある。ルールづくりの議論に参画するためには、国内企業による業界団体が必要で、国際規格を策定する際に日本が蚊帳の外に置かれるのを防ぐためにも業界団体が必要だった。

 もう一つの目的が、エコシステムの構築だ。リチウムイオン電池の電極に使うリチウムは、オーストラリアが世界の生産量の約6割を占め、コバルトの生産量も7割近くをコンゴ民主共和国が占める。また、世界のリチウムイオン電池の大規模工場の生産能力のうち、約7割を中国が占めており、中国に依存したままのxEVシフトは安定調達でリスクがある。

 そこで重要となるのが、リチウムイオン電池からレアメタルを取り出すリサイクルだが、日本では現在、使用済みの車載電池に関しては自動車メーカーがそれぞれ回収システムを構築している。ただ、リサイクルの規格が各社バラバラでは、余計な手間やコストがかかり、結果として国際競争力を削いでしまう。これを解消するためには、業界によるエコシステムの構築が必要となるのだ。

●車載用を家庭用としてリユースする動きも

 通常、EVなどに搭載される大容量リチウムイオン電池の寿命は5年から10年といわれている。12年に米テスラが「モデルS」を発売したことを考慮すると、今後数年でEVに使用された大容量の廃棄バッテリーが大量に出回ることになる。

 ただ、リチウムイオン電池は、車載用として寿命を終えても家庭用としては十分な能力があり、更に5年から10年は使用できるとされている。また、回収した車載電池を大型の蓄電池として再利用し、風力や太陽光など再生可能エネルギーの運用に活用する実証実験なども行われ、再利用の道が広がりつつある。

 使用済み電池からレアメタルを回収するだけではなく、こうしたリユースなども今後、増加が見込まれている分野だ。リユースされた電池は、新品の蓄電池よりも安価となることから、非常用電池の設置ニーズが高い病院や自治体などへも導入が進むとみられる。車載電池のリユース・リサイクルともに、関連企業のビジネスチャンスは拡大が続こう。

●BASC参加企業に注目

 関連銘柄はBASCに参加しているものが中心となろう。参加企業は設立時から増えて55社となっており、セントラル硝子 <4044>エア・ウォーター <4088>日本触媒 <4114>三井化学 <4183> 、三菱ケミカルホールディングス <4188>出光興産 <5019>三井金属 <5706>UACJ <5741>日産自動車 <7201>岩谷産業 <8088> など裾野も広がっている。

 このほかにも、車載電池からのレアメタルリサイクルに取り組むJX金属を傘下に持つENEOSホールディングス <5020> や、車載電池からのレアメタル回収事業への参入を発表したアサカ理研 <5724> [JQ]、リチウムイオン電池などからニッケルやコバルトなど希少金属を回収・再資源化する子会社を持つエンビプロ・ホールディングス <5698> なども要注目だろう。

 更に、使用済み車載電池の街路灯などへのリユースに成功したMIRAI―LABO(東京都八王子市)と共同で、中古EVバッテリーの再生及び流通事業参入に向けた共同プロジェクトに着手すると発表したオークネット <3964> や、中国EV大手のBYDと組んで、使用済みの車載電池の再利用に取り組む伊藤忠商事 <8001> などもリユースや流通に関する関連銘柄といえよう。

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