【中銀チェック】ハト派が増えた会合で流れは変わるか~米FOMC
1月26日、27日に今年最初の米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されます(結果発表は日本時間28日午前4時)。
米国の金融政策を決定するFOMCで投票権を持つメンバーは現在11名。パウエルFRB議長などを含むFRB執行部(最大7名ですが、現在1名欠員で6名)とFOMC副委員長を兼ねるNY連銀総裁の7名が常任メンバー。あと11地区の地区連銀総裁から4名が年毎に持ち回りで投票権を持ちます。なお残り7地区連銀の総裁も委員会自体には参加し、発言も行います。
年が明けて投票権を持つメンバーが変わる今回のFOMCですが、昨年まで投票権を有していたフィラデルフィア連銀のハーカー総裁やクリーブランド連銀のメスター総裁といったFOMC中でも特にタカ派として知られるメンバーが外れ、シカゴ連銀のエバンス総裁やアトランタ連銀のロックハート総裁など、ハト派メンバーが加わります。残り二名のうちリッチモンド連銀のバーキン総裁は中立ややタカ派という印象(前任者のラッカー氏は超タカ派で知られていましたが、バーキン総裁はそこまでタカ派ではありません)、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は中立ややハト派(こちらは前任のウィリアムズ現NY連銀総裁が中立ややハト派、前々任者のイエレン次期財務長官は地区連銀総裁時代思いっきりハト派という地区です)といったところです。2020年はタカ派2人、ハト派1人、中立1人という構成でしたが、2021年はハト派2人、中立2人ですから、ハト派シフトの印象が強いです。
また、今回のFOMCから先月18日に新たにFRB理事に就任したウォラー理事が加わります。セントルイス連銀の調査局長だったウォラー氏は、ハト派の代表格であるブラード・セントルイス連銀総裁のインディアナ大学での博士課程での指導教官であり、セントルイス連銀でもブラード氏を支え、同氏のハト派的な政策姿勢に影響を与えたといわれる人物。失業率が低下してもインフレ率上昇に自動的に結びつくわけではないという主張をかねてよりしており、雇用拡大に積極的な筋金入りのハト派です。
こうしたハト派メンバーを加えた今回のFOMCですが、基本的には現状の政策を維持してくるとみられます。前回12月のFOMCでは現状の量的緩和策について、最大雇用と物価安定の目標に向けて「さらに著しい進展が見られるまで」継続すると声明で表明しました。また、今月に入ってパウエルFRB議長は超緩和策からの出口戦略の議論は時期尚早と発言し、量的緩和の早期縮小を否定しています。
一方で今年に入って複数のFOMC当局者から量的緩和の規模縮小議論を年末までに開始する可能性に言及があったことも事実で、バイデン新政権での景気刺激策強化期待と合わせて、米長期金利の上昇につながった面があります。
今回のFOMCでは声明やパウエル議長の会見などで量的緩和の長期維持姿勢が改めて強調され、米長期債利回りの上昇基調に対応してくる可能性があります。1.1%前後の比較的高い水準での推移が続く米10年債利回りがFOMC後にやや下がってくるようだとドル売りにつながる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅
米国の金融政策を決定するFOMCで投票権を持つメンバーは現在11名。パウエルFRB議長などを含むFRB執行部(最大7名ですが、現在1名欠員で6名)とFOMC副委員長を兼ねるNY連銀総裁の7名が常任メンバー。あと11地区の地区連銀総裁から4名が年毎に持ち回りで投票権を持ちます。なお残り7地区連銀の総裁も委員会自体には参加し、発言も行います。
年が明けて投票権を持つメンバーが変わる今回のFOMCですが、昨年まで投票権を有していたフィラデルフィア連銀のハーカー総裁やクリーブランド連銀のメスター総裁といったFOMC中でも特にタカ派として知られるメンバーが外れ、シカゴ連銀のエバンス総裁やアトランタ連銀のロックハート総裁など、ハト派メンバーが加わります。残り二名のうちリッチモンド連銀のバーキン総裁は中立ややタカ派という印象(前任者のラッカー氏は超タカ派で知られていましたが、バーキン総裁はそこまでタカ派ではありません)、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁は中立ややハト派(こちらは前任のウィリアムズ現NY連銀総裁が中立ややハト派、前々任者のイエレン次期財務長官は地区連銀総裁時代思いっきりハト派という地区です)といったところです。2020年はタカ派2人、ハト派1人、中立1人という構成でしたが、2021年はハト派2人、中立2人ですから、ハト派シフトの印象が強いです。
また、今回のFOMCから先月18日に新たにFRB理事に就任したウォラー理事が加わります。セントルイス連銀の調査局長だったウォラー氏は、ハト派の代表格であるブラード・セントルイス連銀総裁のインディアナ大学での博士課程での指導教官であり、セントルイス連銀でもブラード氏を支え、同氏のハト派的な政策姿勢に影響を与えたといわれる人物。失業率が低下してもインフレ率上昇に自動的に結びつくわけではないという主張をかねてよりしており、雇用拡大に積極的な筋金入りのハト派です。
こうしたハト派メンバーを加えた今回のFOMCですが、基本的には現状の政策を維持してくるとみられます。前回12月のFOMCでは現状の量的緩和策について、最大雇用と物価安定の目標に向けて「さらに著しい進展が見られるまで」継続すると声明で表明しました。また、今月に入ってパウエルFRB議長は超緩和策からの出口戦略の議論は時期尚早と発言し、量的緩和の早期縮小を否定しています。
一方で今年に入って複数のFOMC当局者から量的緩和の規模縮小議論を年末までに開始する可能性に言及があったことも事実で、バイデン新政権での景気刺激策強化期待と合わせて、米長期金利の上昇につながった面があります。
今回のFOMCでは声明やパウエル議長の会見などで量的緩和の長期維持姿勢が改めて強調され、米長期債利回りの上昇基調に対応してくる可能性があります。1.1%前後の比較的高い水準での推移が続く米10年債利回りがFOMC後にやや下がってくるようだとドル売りにつながる可能性があります。
MINKABU PRESS 山岡和雅
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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