トビラシステムズ、新中期経営計画を発表 新規ビジネスの大幅成⻑のため積極投資を予定
企業理念
明田篤氏:こんにちは。トビラシステムズ株式会社代表取締役社長の明田篤です。本日は、中期経営計画についてご説明します。企業理念については、先の決算説明資料にてご説明したことから、割愛します。
沿革
中期経営計画で、新たなステージへの挑戦についてご説明する前に、これまでの、当社の沿革についてご説明します。当社は2006年に設立後、迷惑情報フィルタ「トビラフォン」を2011年6月に開発・販売を開始しました。
この製品は「迷惑電話に悩まされていた祖父を助けたい」という思いから開発に着手したものであり、この思いはテクノロジーで社会の課題解決に挑戦するという、現在の企業理念につながっています。
その後、2012年に愛知県警との実証実験を開始し「トビラフォン」の有効性が認められ、2015年には警察庁と特殊詐欺電話に関する覚書を締結し、全国の特殊詐欺に関する情報提供を受ける体制を日本で唯一構築することができました。
そして、大手通信キャリアに迷惑電話フィルタサービスをオプションパックに導入いただくことにより、業績も順調に成長を続け、2019年4月に東京証券取引所マザーズ市場に上場し、1年後の2020年4月に東京証券取引所市場一部に市場変更を達成しています。このように当社は特殊詐欺という社会課題を解決するビジネスと共に成長をしてきました。
プロジェクト「Tobila Next」
今後さらなる発展を目指すために中期経営計画として、プロジェクト名「Tobila Next」を始動します。「Tobila Next」は、2つの大きな方針に基づいて進めるプロジェクトとなります。
1つ目は、当社の強みである迷惑情報データベースです。今まで迷惑電話フィルタ、迷惑SMSフィルタをプロダクトとして開発しており、2020年11月には新たに「トビラフォンモバイルiOS版」にWebフィルタ機能を追加しました。iOSの標準ブラウザ「Safari」を利⽤する際に危険な Webサイトを検知しアクセスを防ぐものとなっています。当社の迷惑情報データベースは、月間利用者数1,000万人以上という大きな強みがあります。
現在は携帯キャリア向けにのみ展開されていますが、今後は、このデータベースを活かして異なる業界へのサービスとして、新たなセキュリティサービスの拡大に注力していきます。
2つ目は、音声通話サービスです。これまで特殊詐欺対策として電話のセキュリティサービスに注力してきましたが、その結果、電話に関連した技術やノウハウを蓄積することができました。現在当社においては「トビラフォンBiz」「トビラフォンCloud」という音声通話サービスを提供しています。
電話は、スマートフォンなどデバイスのイノベーションはこれまでありましたが、音声通話サービスには、あまり大きなイノベーションは起きていません。個人間では電話の機会は減ってきていますが、仕事では相変わらず電話は重要なコミュニケーションツールです。
音声通話サービスという古くて新しいテーマに対して、データを活かした便利なサービスやCRMやSFAなどのビジネスツールと連携する機能などを開発することで、音声通話サービスのイノベーションに挑戦します。
三つの成⻑の柱で売上⾼100億へ
それでは、当社が今後業績を拡大し、売上高100億円を達成するための戦略についてご説明します。まず、2021年10月期から2023年10月期の期間をプロジェクト名「Tobila Next」フェーズ1の期間においては、「既存ビジネスによる安定的な成長」、「新規ビジネスによる大幅な成長」「M&A戦略による非連続の成長」という3つの成長戦略で将来における100億円を目指すための基盤作りに注力していきます。
経営指標
それでは、3年後の経営指標についてのご説明します。2023年10月期における売上高として18億2,600万円を目指します。また、営業利益については5億6,500万円を目標としています。
売上高については既存ビジネスの安定的な成長に加え、新規ビジネスの大幅な成長をもとに、年間13パーセントから14パーセントの成長を1つの基準とし、より大きな成長を目指します。また、中長期的な売上高の成長を加速させるために今後3年間においては成長投資に重点を置き、営業利益の成長は年間3パーセントから5パーセントにコントロールします。
なお、当該売上高、営業利益の中には、現在具体的に見込んでいない事業提携やM&A等の不確定条件は織り込んでおらず、既存ビジネスの成長のみを基軸とした計画となっています。
この中期経営計画の推進によって、新機能の開発や新たな販売ターゲット開拓、事業提携、M&A等を強力に推進していくことで、3カ年計画の早期達成やさらなる成長基盤の構築ができるように挑戦していきます。
経営指標(売上内訳)
続いて経営指標の内訳です。既存ビジネスであるモバイル向けフィルタサービスは大幅な成長を見込み、2020年10月期において9億6,700万円の売上を2023年10月期には12億8,400万円まで伸ばします。
また、固定電話向けフィルタサービスについては安定的な成長で、2020年10月期において1億4,600万円の売上を、2023年10月期においては2億1,700万円を見込んでいます。
新規ビジネスであるビジネスフォン向けフィルタサービスについては大幅な増加を見込み、2020年10月期において2,600万円だった売上を、2023年10月期においては2億7,400万円を目指します。それでは各成長の柱におけるアクションプランついてご説明します。
既存ビジネスによる安定的な成⻑①
まず、既存ビジネスによる安定的な成長としてモバイル向けフィルタ事業についてご説明します。外部環境としては、新規MNOキャリアの参入や、携帯キャリアに対する通信料の値下げ要請など携帯電話市場は現在変革の時期を迎えています。
また、引き続き特殊詐欺においてはフィッシング詐欺の増加等手口は多様化しています。これらの事業環境に対してモバイル向けフィルタ事業においては「既存キャリアへの深堀り」及び「新規キャリアへの展開」というアクションプランを考えています。
既存キャリアへの深堀りとしては、新規機能の追加による顧客あたりの単価向上を目指し、また、月間利用者数について引き続き増加を目指していきます。
新規キャリアへの展開については、新規MNO及びMVNOへのオプションパック採用により全ての携帯キャリアへのオプションパック導入を目指し、携帯電話市場の大きな変化に対応します。
また、これまで蓄積したセキュリティデータベースを新たな業界へサービス提供していくことにも挑戦します。
既存ビジネスによる安定的な成⻑②
次に、既存ビジネスによる安定的な成長としての固定電話向けフィルタ事業についてご説明します。外部環境としては大手電気通信事業者がアナログ回線網の廃止をを予定しており、固定電話回線の大きな変化を迎えます。また、固定電話全体の加入件数は減少しているものの、IP電話加入契約数は増加傾向です。
このような事業環境の下で、当社はアライアンスを重視し、既存のパートナーとの連携強化や新たなアライアンスパートナーの獲得によりさらなる販売拡大を狙います。
新規ビジネスによる⼤幅な成⻑
続いて、新規ビジネスによる大幅な成長としてビジネスフォン向けフィルタ事業についてご説明します。外部環境としては、新型コロナウイルス感染症対策の影響により、新しい働き方が推進され、また、新しい働き方のためにデジタルトランスフォーメーションが更に進んでいます。
このような環境のもとで、まず「トビラフォンBiz」においては販売代理店における認定・推奨商品化による販売拡大を目指し、また、顧客分析を行ったうえで、マーケティング戦略を立て販売拡大を目指します。
続いて、「トビラフォンCloud」における現状の課題は知名度の低さです。こちらについては広告宣伝費を用いてサービス自体の知名度の向上を図っていきます。また、知名度だけではなく、新機能を追加することにより付加価値を高め顧客の拡大・開拓を目指します。
M&A戦略による⾮連続の成⻑
最後にM&A戦略による非連続の成長についてご説明します。当社の今後の成長のためにM&Aは必要不可欠の要素であると考えています。選定に当たっては、当社の顧客基盤に新たな商品サービスを提供することができるか、当社の商品サービスを展開できる顧客基盤を有しているか、という2つの視点で検討し、判断基準に当たっては、買収価格がEBITDA倍率5倍から10倍程度を1つの目安とし、中長期的に収益に貢献することができるのか、という点について検討します。
社会課題解決型ビジネスとしてより一層サービスの拡大・新サービスの創造を行うためにM&Aについて果敢に実行していきます。
ESGへの取り組み
続いて、ESGへの取り組みに関してご説明します。当社はESGへの各種取り組みを行っています。まず環境に対する取り組みとして、サーバ仮想化技術を駆使し、効率的なインフラ基盤を構築しており、通常のシステム構成に比べ、省力化されており、電力消費も抑えることができています。今後も積極的にインフラ設備や技術に対する投資を行い、さらなる効率化を目指します。
次に社会に対する取り組みです。当社は特殊詐欺対策サービスを提供しており、被害の撲滅を目指しています。また、地域のNPO法人に対し、当社のサービスを無償提供し、NPO法人の取り組みに協力をしています。引き続き、新たなセキュリティサービスの開発を行い、特殊詐欺被害の撲滅を目指します。
最後に企業統治に関する取り組みです。現在当社の社外役員は3名体制と、全取締役の40パーセント以上を占めており、経営の透明性・公正性を高めています。また、決算短信及び決算説明資料については英文開示も行っており、国内外問わず開示情報の質の向上を図っています。引き続きコーポレートガバナンスコードの更なる対応を進め、健全で透明性の高い経営を目指します。
以上で、中期経営計画の説明を終了します。引き続き、トビラシステムズをどうぞよろしくお願いします。誠にありがとうございました。
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