【米大統領選】トランプ氏に逆転の可能性は 3つのシナリオ~その2

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/10/31 21:10
 3つのシナリオ~その1で開設したように、世論調査ではバイデン氏にかなりのリードを許しているトランプ大統領ですが、逆転の目はないのでしょうか。

 可能性は十分にあるといえます。それには米国の大統領選の仕組みが関わってきます。

 大統領選は538名の選挙人の獲得数で争います。各州の選挙人の数はその週の連邦議員の定数。人口が多く53名の下院議員を有するカリフォルニアが55名で最大(上院は各州2名)。人口が少なく下院議員が1名しかいないワイオミングやノースダコタ、アラスカ、モンタナなどは3名です。あと、特別行政区である首都ワシントンDCにも3名の選挙人が認められています。
 メーン州とネブラスカ州を除くとその週の投票で一票でも上回った方がその州に与えられる選挙人を総取りする勝者総取り方式です。ちなみに、この方式が前回得票数でクリントン氏がはっきりと上回っていても、選挙結果としてはトランプ氏が勝利となった理由の一つです(もう一つの理由は一票の格差がかなり大きいことです)。要は得票率100%で勝とうが得票率51%で勝とうが、その州の選挙人を総取りする状況は変わりません。
 米国全体の得票数の差という意味ではほぼ絶望的といっていいトランプ大統領ですが、選挙人争いではまだ可能性が残っています。カリフォルニア州やニューヨーク州など、人口が多く選挙人の数も多い州では、バイデン氏の優勢が圧倒的。事前にほぼ確定的とみられている選挙人の数でも、バイデン候補が216に対して、トランプ候補が125とかなりの差がつく結果となっています。
 ただ、どちらにつくのかわからない数が197あります。具体的には12の州(及び勝利総取り方式ではない、メーンとネブラスカの1議席分ずつ)で、情勢がまだ流動的。

 これらの州はスウィングステートと呼ばれ、大統領選のカギを握るといわれている州ですが、2016年はこのうち10州をトランプ大統領が抑える形で、選挙戦に勝利しました。今回もこれらの州を軒並み抑えるとトランプ氏の大逆転(今の状況でいうと前回とは違って本当にかなりの大逆転だと思います)になります。

 ただ、これらの12州、前回選挙では直線の支持率でクリントン候補が5つ、トランプ候補が7つと、トランプ氏がもともと優勢な面がありました(結果は10州を抑えたので、予想以上ではありました)。対して今回はバイデン候補が9つ、トランプ候補がわずか1つ、支持率が同水準な州が2つと、バイデン氏がこの時点では大きくリードしています。そうした意味でもトランプ大統領にとって厳しい戦いであることは間違いありません。

 なお、トランプ大統領が再選を決めた場合、バイデン氏が掲げる企業減税の廃止や富裕層に向けた増税などが行われず、株価にとってはかなりの買い材料となります。今回はさすがに厳しいとみられているだけに、サプライズ感を伴ってのドル円の上昇が期待されます。
 
MINKABU PRESS 山岡和雅

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