為替相場まとめ9月21日から9月25日の週

著者:MINKABU PRESS
投稿:2020/09/26 08:00
 21日からの週は、ドル買いの流れが広がった。米株や原油・金などの上昇が一服し、調整売りに押されたことが背景。いわゆるリスク回避のドル買いの動きとなった。ドル円はリスク回避の円買いが先行したが、104円ちょうどで下値を支えられると105円台へと戻した。豪ドルやドルカナダなど対資源国通貨での動きがドル買いを主導した。ユーロやポンドでは神経質に振れる面があったが、ユーロドル1.16台、ポンドドル1.26台まで下落する場面があった。英国では新たな雇用支援計画が発表された。コロナウイルスとともに生活する新様式が提唱されており、3月の完全なロックダウンとは一線を画した。米国や日本、欧州でも感染拡大の不安感を抱えつつも、徐々に経済拡大方向にかじ取りされている。この週は各国で一連のPMI指標が発表されたが、おおむね回復傾向の継続が確認されている。各国の経済成長見通しは、今年は縮小も来年は拡大とのシナリオが中心。極端な振幅が狭まる方向での見通し改定が相次いだ。今週の株安・ドル高が一時的なものとなるのかどうか。来週の月末を挟んだ動きを通過してからの判断となりそうだ。


(21日)
 東京市場は敬老の日のため休場。

 ロンドン市場では、円高・ドル高の動きが強まった。週明けの欧州株や米株先物が下落しておりリスク警戒感が広がっている。週末の報道で英保健相が、新型コロナ感染拡大をめぐり、ロックダウン措置の再導入の可能性を警告した。週明けには今週中に英首相から新たな措置が発表されると伝わっている。また、ドイツのミュンヘン市でも集まる人数や家族数を制限する措置の導入が発表された。欧州株では英独仏の各指数が3%超安に。ドル円は一時104円ちょうどまで下落。ユーロ円122円台後半、ポンド円133円台半ばまで下落。ユーロドル1.18台割れ、ポンドドル1.28台前半までドル高も進行した。

 NY市場は、リスク警戒型のドル買いとなった。ドル円は買い戻しが強まり104.85付近まで反発。ロンドン時間には円高で104.00レベルまで下げたが、NY時間はドルの面が強まった。米株式市場が急落したことが背景。米国で中西部の州を中心に再び感染者の拡大傾向が見られており、制限措置を再導入した州も出ている。再び都市封鎖が実施されるのではとの警戒感が高まっている。米政府の追加経済対策を催促するムードもあったようだ。ユーロドルは売り優勢となり、1.1730付近まで下落、先週の安値に顔合わせした。一部報道で、ECBがパンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の継続期間と、異例に柔軟な対応を従来のプログラムに適用する是非を巡る検討のため見直し作業に乗り出したとの報道が伝わっていた。ポンドドルは1.27台に下落した。ポンド円は133円台まで下落。

(22日)
 東京市場は秋分の日のため休場。

 ロンドン市場では、ドル相場が振幅した。序盤はドル買いが先行。特にポンドドルの下げがきつく、1.28台割れから1.2710台まで一時下落。英政府の新たな形のロックダウン措置導入が警戒されたほか、ベイリー英中銀総裁がマイナス金利について言及したことが売りを誘ったようだ。ただ、前日とは違って欧州株が反発しており、リスク警戒感は緩んでいる。ドル買い一巡後はドル売り方向へと転じた。ポンドドルは1.28台後半へと高値を伸ばした。ベイリー英中銀総裁は、マイナス金利導入を選択肢として残しつつも、技術的作業のため少し時間が必要とも述べていた。英欧双方が通商協議を継続する姿勢である点も好感されたようだ。ユーロドルは1.17台後半から1.1720レベルまで下落したあと、再び1.1760台まで反発。ドル円は104.70台まで買われたあとは、104.40近辺まで下押しされた。クロス円は通貨ごとにまちまち。ポンド円は134円近辺から133割れに迫るも大台割れには至らず、一気に134円台乗せへと反発。一方、ユーロ円は123円近辺から122.60台まで下落したあとは122円台後半にとどまっており、上値が重い。

 NY市場は、連日のドル買い優勢の展開。米株式市場は下げが一服していたものの、依然として上値に慎重な動きが見られている。米国でのウイルス感染も再拡大の動きを見せ始めている中で、米国での死亡者数が20万人を超えた。市場では景気の先行きへの不透明感も強まっているようだ。エバンス・シカゴ連銀総裁が「インフレが平均2%に到達する前でも利上げは可能」との発言もドル買いにつながった。ドル円は一時心理的節目の105円を回復。ユーロドルは強いサポートとみられた1.17台を一時割り込んだ。ポンドドルは1.27台前半へと下落。ベイリー英中銀総裁は、新型ウイルス感染が再度増加し英経済の下振れリスクを強めているものの、マイナス金利の導入が近い状況ではないと述べた。一時ポンド買いもその後はドル買いに押された。
 
(23日)
 東京市場は、ドル買いが優勢。連休明けの東京勢の動向が注目されるなかで、ドル円は朝方に105円台を回復、105.20近辺まで上昇したあとは105円台を維持しての揉み合いに落ち着いた。ユーロドルは軟調。1.1710近辺を高値にその後は売りに押された。1.17台割れからNY安値を下回ると一時1.1675近辺まで下落。NZ中銀金融政策理事会は事前見通し通り政策金利、量的緩和の現状維持を決定。景気を長期にわたって支える姿勢を示した。発表直後はNZドル買いの動きも見られたが、ドル買い圧力に上値は抑えられた。

 ロンドン市場では、ドル買い先行も、その後は調整が入った。ロンドン朝方にはポンドドル1.2676レベル、ユーロドル1.1672レベルと、前日から一段とドル高が進む動きをみせた。ドル指数は約2カ月ぶりのドル高水準に。しかし、欧州株や米株先物が堅調に推移するなかで、リスク警戒のドル買いは薄れ、次第にドル安方向へと調整が入っている。ポンドドルは1.27台前半へと買い戻され、ユーロドルは1.1719レベルに高値を広げた。ドル円は105円付近での揉み合いに終始。クロス円は下に往って来いと方向性に欠けた。ユーロ円は122.50台まで下落したあとは、123円近辺へと反発。ポンド円は133円台前半から後半で下に往って来い。9月ユーロ圏PMI速報値は、製造業が改善する一方で、非製造業は悪化とまちまちの内容だった。英PMI速報値は前回から低下したが引き続き50を上回った。バルニエEU首席交渉官は通信社の英国内市場法案についての質問に対して、コメントを拒否している。

 NY市場は、株安・ドル高の動き。リスク回避の雰囲気が根強い中で、為替市場はドル買いが優勢となった。ドル円も買いが優勢となり、105.50円近辺まで上昇。 ドル買いが続く中でユーロドルはロングポジションの解消が続いており、1.16台に再び下落。米国でも感染拡大の兆候が見られている一方、欧州でも感染第2波が本格化しており、欧州経済への不安が台頭しているようだ。ポンドドルは逆にNY時間にかけて買い戻しが優勢となり、1.2740ドル付近まで一時戻した。ロンドン時間には1.2680近辺まで下落し、200日線を割り込む動きも見られていた。英国でも感染拡大が見られており、英経済への懸念が高まっているが、市場の一部からは、英経済の状況が悪化すれば逆にポンド買いにつながる可能性も指摘されている。経済が悪化する分、英政府がEUとの貿易交渉に柔軟姿勢を強め、ポンド買いにつながるとのロジック。

(24日)
 東京市場は、ややドル買い優勢。ドル円は105円台前半に高止まり。ユーロドルはNY市場の安値を一時割り込んだ。ユーロ売りドル買いの動きが強まっており、ドル高の動きが継続。クロス円は重く、ユーロ円は一時122.73レベルで値を落としている。昨日のNY市場では株安の動きが強まる中、リスク警戒感からのドル買いが広がった。目立った材料が出たというよりも、米国の追加経済対策が議会での協議がまとまらず難航していること、新型コロナウイルスの感染拡大の動きが米国や南欧・英国などを中心に広がっていることなどがリスク警戒につながった。東京市場もそのセンチメントを引き継いだ格好。

 ロンドン市場では、振幅もドル買い圧力は継続。しかし、欧州株の下げ渋りで戻す場面も。ドル円は序盤に105.20近辺まで売られたあとは、105.50台へと高値を伸ばした。欧州株や米株先物は引き続き上値が多く、前日からの安値水準で推移しているが、独DAX指数がプラスに転じるなど売りは一服。ユーロドルは1.1630台へと安値を広げた。一方、ユーロ円は122.60近辺まで下押しされたあとは反発。独Ifo景況感指数は93.4へと上昇したが、事前予想には届かず。また、ECBがTLTROで1745億ユーロ供給を実施しており、予想の上限近くでユーロ売り反応がみられた。ポンドは買い戻しが優勢。対ドルは序盤に1.27台割れ、対円円は133.60近辺まで下落したあとに反発。それぞれ1.2780近辺、134.60近辺まで買われた。ただ、上昇後は再び上値が重くなった。スナック英財務相が新たな雇用支援計画を発表しており、付加価値税減免の延長、賃金補助、貸し出し期間延長などが打ち出された。英CBI小売調査指数がプラス圏に回復した。また、この日のトルコ中銀政策金利は予想外の利上げとなり、リラが買われた。

 NY市場では、ドル買い一服。ドル円は105円台前半から半ばの水準に高止まり。市場では本邦投資家の買いとリスク回避の売りが交錯しているもよう。朝方に米新規失業保険申請件数が発表になっていたが、予想は下回っていたものの、雇用の回復の鈍さを示しており、FRBの低金利長期化姿勢を正当化している。ユーロドルはロンドン時間に1.16台前半まで下落する場面があったが、NY時間には1.1675近辺まで戻した。米株式市場の下げ止まりや、米住宅指標の強い内容で、リスク回避のドル買いは一服。また、市場ではECBは12月理事会でPEPP拡大を行うとの観測がでていた。ポンドドルは1.27台で方向感に欠ける動き。スナック英財務相が、10月末で期限切れとなる既存の雇用対策に代わる新制度を発表。また、企業が新型ウイルスの流行を受けて利用した政府保証付きの融資については返済期限を先延ばしする措置も発表した。ただ、英財務相は、現行の対策終了後に予想される失業を、新たな対策が食い止めることはないとも警告。市場からも雇用削減を完全に避けるには不十分との見解が多い。 

(25日)
 東京市場は、落ち着いた値動きが続いた。朝方にはドル買いの動きがみられ、105.54レベルまで上昇、前日高値を若干上回った。ゴトウビで仲値に関連した買いの観測があった。その後は、上値を抑えられて105.30台へと小反落した。ユーロドルは上下とも動きにくい展開で、1.16台後半での15ポイントレンジにとどまった。株安の動きが落ち着いたことで、リスク警戒感は一服。豪ドルは0.70台半ばから後半へ、豪ドル円は74円台円前半から半ばへとじり高に。しかし、午後には上昇も一服。

  ロンドン市場では、ドル買いが再燃。序盤は米株先物や欧州株が落ち着いた取引となったことで、ドル安方向への巻き戻しの動きがみられた。しかし、新型コロナの感染拡大リスクが意識されたことなどで株式市場に売りが強まると、一気にドル高方向に転じた。ドル円は105.20台から105.50台へと上昇し、東京市場からの下げを消した。ユーロドルは1.1685レベルまで買われたあと、1.1640近辺へと下押しされ、この日の安値を更新した。ポンドドルは100ポイント幅の激しい上下動。1.27台半ばから1.2805レベルの高値を付けた後は、下落に転じると1.2704レベルまで下落した。クロス円は序盤に買われたあとは、売りに押されており、円高方向への動きが優勢。ドル円とは逆の動きをみせている。スペインの首都マドリッド全域での行動制限措置の延長を要請と報じられるなど、リスク警戒の動きが優勢に。
 
 NY市場はリスク回避のドル買いが続く中でドル円も105.70近辺まで上昇する場面がみられた。特段の材料は見当たらないが、ドル買いが根強く出ている。このまま行けば、今週のドルは4月以来の好パフォーマンスとなりそうだ。ドル円は105.60付近に21日線が来ているが、その水準での推移。上昇トレンドが明確に出るか、来週は重要指標が目白押しの中で、動向が注目される。

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配信元: みんかぶ(FX/為替)