NYの視点:今週の注目:FOMC議事録、米中貿易協定、7月住宅着工件数、中古住宅販売件数

配信元:フィスコ
投稿:2020/08/17 07:37
シカゴ先物のデータによると、投機家や投資家の円の買い持ち高が2カ月ぶり高水準から再び減少した。

今週は米国の住宅関連指標や米連邦準備制度理事会(FRB)が公表予定のFOMCの議事録(7月28日、29日開催分)が材料となる。米債利回りが過去最低水準から急伸し始めており、債券動向を睨んだ展開となる。さらに米中対立リスクにも警戒が必要。

FRBは7月会合で、大規模な金融緩和の据え置きを全会一致で決定した。パウエル議長は会合後の会見で6月にウイルス感染が再燃して以降、回復や雇用の伸びが鈍化した可能性を警告。FRBの現在の焦点は経済に支援を供給することで、緩和措置の解消が視野に入るのはかなり先との見方を示し、「利上げの検討を考えることさえ考えていない」と超ハト派姿勢を維持。ウイルスの展開が経済の道筋を左右するとの考えで、不透明性が根強く、経済回復のため必要とあればさらに行動する断固とした方針を再表明した。FRBは、依然2000万人程度が失業中で、長期失業者数の増加や企業の従業員解雇計画第2弾も警戒される中、警戒態勢を崩しておらず当面大規模緩和を継続。議事録の内容で9月にフォワードガイダンスの強化などの追加措置に踏み切る可能性を探る。
もし、長期債利回りが上昇し続けた場合、イールドカーブコントロールに踏み切る可能性もあり、ドル売り圧力となる。

先週末予定されていた米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表と、中国の副首相が第1段階貿易協定の6カ月検証はスケジュールの都合で延期する見通し。トランプ大統領はTikTokやWeChatなどの使用禁止を発表。また、会計などにおいて米国の証券市場に上場している中国企業の規制を強化する方針も示している。この半年の中国による米農産物購入は公約規模の3分の1の達成率にとどまっている。米中両国が双方の領事館を閉鎖するなど対立が深まる中、貿易交渉は困難。協議を前に、先週に入り中国は今までにない量の米農産物や原油を購入しアピール。会合では第1段階貿易協定の順守を公約すると見られており、対立をさらに深刻化させる意向は中国側には今のところないようだ。一方、トランプ大統領は現在の状況で第2段階の協定を協議する意向はないと表明。さらに、政権はF16戦闘機売却で台湾と正式調印したことから中国の新たな反発も予想される。大統領はパンデミック以降、中国への見方が変わったとしており、対中政策でタカ派寄りに転換した可能性も除外できずリスクになる。

追加救済策を巡り、トランプ大統領が署名した大統領令がレバレッジとなり共和・民主党間の交渉に弾みがつくと期待されていたが溝は深く膠着が続き、今のところ速やかに合意する気配は見られない。上院はレーバーデー明けとなる9月8日まで夏季休暇入り。この期間、万が一、何らかの合意が見られれば24時間の通知で議会は招集される。動向には注視したい。

■今週の主な注目イベント

●米国
17日:8月ニューヨーク連銀製造業景気指数、8月NAHB住宅市場指数、6月長期TICフロー、ボスティック米アトランタ連銀総裁がィベントで講演
18日:7月住宅着工件数・建設許可件数
19日:米連邦準備制度理事会(FRB)は7月28日、29日に開催したFOMCの議事録を公表、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演
20日:8月フィラデルフィア連銀景況指数、新規失業保険申請件数、デイリー米サンフランシスコ連銀総裁が講演
21日:7月中古住宅販売件数

●日本
17日:4−6月期GDP
19日:7月貿易収支

●19日OPECプラス監視委員会

●英国
21日:8月PMI、7月小売売上高

●欧州
18−21日:英欧通商協議
20日:欧州中央銀行(ECB)が7月15−16日定例理事会の議事要旨公表
21日:ユーロ圏PMI、消費者信頼感指数

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
シリア
イエメン
香港

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配信元: フィスコ