コロナショックで加速するDX~5Gで飛躍

著者:鈴木 行生
投稿:2020/07/20 10:21

・6月に世界デジタルサミットが開かれた。22回目であるが、すべてWeb配信で、会場での視聴者は誰もいない。主要テーマは、”新型ウイルスが促すデジタル革命~5Gビジネス、生活、社会をどう変えていくか“という点にあった。

・従来、日経主催のこのようなセミナー・シンポジウムは、応募して当たらないと会場(日経ホール)には行けなかった。日経ホールの定員は600人、世界デジタルサミットは例年6000人の応募があったという。

・今回は、Web配信で、事前に登録すれば誰でも視聴できた。1.7万人の応募があった。東京近郊からでなくても、全国どこからでも参加できた。スポンサーにとっても、視聴者が多いほどアピールできるに違いない。

・私にとって、生(ライブ)で聴かないと何が問題なのか。日経新聞に記事が載ったり、後日セミナー全体の内容が見開き1~2ページでまとめられたりする。しかし、その内容が、私が知りたいこととはかけ離れていることが多い。

・いつも感じることは、記者がまとめた記事が、その場で聴いた私の関心事や解釈とかなり違っているからである。つまり、記事を読んで、参考になることが少ない。人によって知りたい内容や重点の置き方に差があるのだから、仕方がないことである。よって、生の会場にいけるように応募するが、当たらないことも多かった。

・今後、このようなセミナーやフォーラムは、会場600人のところに200~300人ほど入れて、あとはWebでライブ配信するというやり方が一般的になろう。無料の場合も有料の場合もあろう。ライブを後日見ることができるような形式や、ライブでしか見れない方式など、主催者が選ぶこともできよう。

・今回のデジタルサミットに参加して、興味深かった点をいくつか取り上げてみたい。リモートワークを、新形コロナ対応で否応なく強いられている企業が多い。もともとそうしたシステムを整えていた企業もあるが、多くは突然対応した。

・セキュリティが十分でないと、会社に出勤する時のようには仕事ができない。対面でツーカーとやってきたコミュニケーションがとれない。結果として、生産性が下がった企業が多いようだ。

・これに対して、研究開発をリモートで推進できる体制、生産をリモートでコントロールできる体制、営業をリモートで促進できる体制を、デジタル化で先行していた企業もある。

・今回のコロナ対応で、働き手の生産性が、①下がったか、②維持できたか、③上がったかを知ることによって、その企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)の水準を計ることができよう。次に備えて、どのような手を打っていくかも大いに知りたいところである。

・会議もWebに切り替えればよいというものではない。マネジメントが一日中Web会議ばかりやっても、ビジネスは十分進まない。1)社内か社外か、2)Webか対面か、3)ルーチンか新規か、などの内容によって、的確に使い分けていく必要があろう。

・テレワーク、リモートワークに躊躇していた日本企業のマネジメントや社員は、強制的実験に駆り出され、それを体験したともいえる。これによって、遅れていた日本のDXが加速するという期待が一気に高まった。

・カナダのブラックベリー、米国のBox、米国のZOOM(ズーム)、米国のヴィエムウェアなどは、日本の拠点の陣容をかなり増強しようとしている。

・昔ながらの働き方を、クラウドでつないでも仕方がない。自動化されたデジタルワークを前提に、ワークフローを新しくしていくことが求められる。どこでも仕事ができるように、同時にそこでしかできない仕事も外とつながるように、ワークフローはハイブリッドな形でリンクしていくことになろう。

・非接触型ワークライフバランスは、世界中で急速に広がっている。ここで生産性の上がっている企業は、リモートワーク、リモートライフのデジタル環境で先行している。

・すでに仕組みができていたので、集中することで時間の有効活用ができる。オフィスに来てもらわなくても、世界の優秀な人材が採用できる。仕事(ジョブ)の成果が相互に客観的に測れるようにしており、人事評価・報酬制度もはっきりしている。

・出張が減る。都会にいなくてもよい。頻繁に直接会わなくてもよい。こういう仕事は、現状では確かに限られている。しかし、よく考えてみると、これまでの仕事のやり方が習慣化していただけで、仕事の中身を見直してみると、不必要な仕事が多いことに気づく。ひょっとすると、自分の仕事の大半がいらなくなるかもしれない。

・AI、5G、VRで仕事の環境すらバーチャルにすべて設定できるようになろう。Web飲み会が流行っているが、どこまで盛り上がるか。日本人の良さは、勤勉とチームワークにある。これはDXが進んでも必要である。DXの中でチームワークと勤勉さを発揮していけばよい。

・一人の仕事も、会議も、イベントもオンラインになっていく。リモートワークはBCP対策ではない。日常の当たり前になっていく。その上で、リアルかリモートを選べばよい。どちらが効果的か、どう組み合わせたらよりよくなるかの仕組み作りが勝負となろう。

・ツールは、いろいろ揃ってきた。それでもセキュリティは十分確保したい。システムのセキュリティと共に、場所(ワークプレイス)のセキュリティも重要である。在宅でのリモートワークが本当に安全か。家庭内での執務室、外にいる時のプライベートルームについても、十分配慮する必要がある。

・通勤時間がいらなくなる。会合のための移動時間がいらなくなる。社員のコミュニケーションには、Webによる朝会・夕会へのチェックインが有効な場合もある。Webでも、顔を見せる場合、顔を見せずに声だけの方かよい場合もある。

・発言しないと存在感がはっきりしなくなるかもしれない。発言しない人も、チャットで一言書く工夫がほしい。Web会議では、決めることがはっきりしてくるので、意思決定が早くなる。経営のスピードが上がろう。一方で、考える余裕がなくなるとすれば、それは危ない。

・制度、習慣、文化では、印鑑、紙の原本がいらなくなる。現金もさらに不必要になろう。診療・医薬品の非対面など、Web対応が進むには制度改革が不可欠であるが、本当にスピードが上がるだろうか。

・コロナショックは、DXの加速化にとって千載一遇のチャンスである。しかし、それを嫌がる経営者も多い。自分のやり方で成功してきたので、それへのこだわりがある。頭で分かったつもりでも、判断がついていかない。自らのリーダーシップが発揮できなくなると懸念している。そうすると、次の10年で多くの企業がレガシー(時代遅れ)になってしまうかもしれない。

・今秋から5Gのスマホがいろいろ出てくる。また、5GでIoTが加速しよう。ネットワークの仮想化が進み、エッジを支えるクラウドも重要になろう。5Gで新しいエッジが次々と登場してこよう。

・いつの時代もカギはコンテンツにある。5Gで、スピードが速くなり、遅れがなくなり、何にでも同時につながるようになると、コンテンツはストリーミングで自由に選べるようになる。そうなると、コンテンツを創るクリエイターのオリジナリティが問われ、中身の質の良さが勝負となるが、同時に、使いやすさも含めて、ユーザーエクスペリエンスを最良に持っていく必要がある。

・5Gがエンタメをどう変えるか。テレビの放送局は、今のような形で本当に必要なのだろうか。4Kやドルビーのレベルアップによって、高画質、高音質で、新しい輝きや立体的に没入できるイマージブな音が楽しめるようになろう。

・これは、仕事上のビデオ会議やビデオイベントでも活きてくる。つまり、B to Bでもよさが広がって、臨場感が高まってこよう。

・投資の世界においても、5Gを活用した新しいDXによって、臨場感のある企業との対話(エンゲージメント)を、経営者、IR、R&D、工場、マーケティング、販売など、さまざまな場面で体験できるようになろう。それを投資に活かして、パフォーマンスの向上に結び付けたいものである。

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配信元: みんかぶマガジン
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