DDHD Research Memo(5):グループシナジー創出や既存店の伸びにより収益性が改善

配信元:フィスコ
投稿:2019/12/06 15:25
■決算動向

2. 2020年2月期上期決算の概要
DDホールディングス<3073>の2020年2月期上期の連結業績は、売上高が前年同期比13.0%増の29,196百万円、営業利益が同42.6%増の1,769百万円、経常利益が同49.6%増の1,792百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同5.0%減の929百万円と増収及び営業(経常)増益となった。とりわけ営業(経常)利益は計画を大きく上回り、過去最高益(上期ベース)を更新している。一方、最終利益(四半期純利益)のみが減益となっているのは、2019年2月期上期における一過性要因(投資有価証券売却益691百万円、受取和解金215百万円)の剥落によるものであり、実態としてはすべての段階利益で大幅な増益を実現したと言える。

売上高は、エスエルディーの連結効果(約25億円の上乗せ)に加えて、前期出店分(19店舗)が期初から寄与したことや新規出店17店舗が増収要因となった。また、既存店売上高(国内)についても前年同期比102.6%(飲食事業100.6%、アミューズメント事業107.0%)と好調に推移した。

利益面では、売上原価率が23.6%(前年同期は24.3%)と0.7ポイントの改善。M&A企業3社(ゼットン及び商業藝術、エスエルディー)とのシナジー創出(グループ商流集約によるコスト削減など)が順調に進展している。特に、2019年2月期においては酒税法改正に伴うビール等の仕入額の上昇が原価率の悪化を招いたが、しっかりと改善を図っているところは評価すべきポイントと言える。また、販管費は新規出店費用などにより増加した一方、増収効果(既存店売上高の伸びなど)により販管費率も0.6ポイント引き下がっており、その結果、計画を上回る大幅な営業増益を実現。営業利益率も6.1%(前年同期は4.8%)に大きく改善している※。

※なお、エスエルディーの連結化を除く営業利益率では6.6%となっており、収益性の改善はさらに顕著である。また、エスエルディーにおいても上期の営業利益は17百万円の黒字化を実現している。


財政状態では、エスエルディー連結化による影響を含め、「現金及び預金」や「のれん」、「有形固定資産」「差し入れ保証金」等が増加したことから総資産は前期末比12.9%増の29,968百万円に拡大。一方、自己資本も内部留保の積み増しにより同13.2%増の6,546百万円に拡大したことから、自己資本比率は21.8%と横ばいで推移した。

主な事業別の業績は以下のとおりである。

国内飲食事業は、売上高が前年同期比15.0%増の23,498百万円、営業利益が同28.1%増の2,249百万円と増収増益となった。売上高は、エスエルディーの連結化に加えて、前期出店分(16店舗)が期初から寄与したことや新規出店14店舗が増収要因となった。既存店売上高も前年同期比100.6%と好調に推移している。また、利益面では、前述のとおり、グループ間商流統合の実施(集中購買によるスケールメリットの享受や食材情報の共有など)や各業態でのメニュー変更等により原価低減を実現。また、増収効果に加え、前期からの不採算店舗の撤退により地代家賃比率を0.5ポイント引き下げたことなどから、営業利益率は9.6%(前年同期は8.6%)に大きく改善している。なお、2017年9月に開始した国内ウェディング事業はまだ営業損失段階であるものの、売上高は前年同期比116.0%と順調に稼働を高めてきた。特に、大型の第1号店(京都祝言「SHU:GEN」及び料亭「JUGEN」)については、当初計画どおり今期中の単月黒字化を目指している。

海外飲食事業は、売上高が前年同期比4.8%減の697百万円、営業損失が44百万円(前年同期は22百万円の損失)と減収減益となり、損失幅が拡大した。天候不良による影響が業績の足を引っ張ったが、第2四半期以降は回復に向かっているようだ。新規出店は1店舗(詳細は後述)にとどまった。今後は、不採算店舗の戦略見直しのほか、米国(ハワイ)で人気を博している独自ブランドの国内逆輸入(日本展開)や米国本土でのM&Aにより、早期黒字化はもちろん、事業拡大に向けて舵を切る方針のようだ。

アミューズメント事業は、売上高が前年同期比7.2%増の5,001百万円、営業利益が同17.7%増の1,082百万円と増収増益となった。既存店売上高が前年同期比107.0%と好調に推移。昨年の風営法の解釈運用基準変更(ダーツ機の増設や営業時間の延長)が追い風となったほか、最新機種のダーツ機導入など各種施設が奏功したようだ。新規出店については2店舗(詳細は後述)をオープン。利益面でも、原価低減や既存店売上高の伸びに伴う地代家賃比率の引き下げにより大幅な増益を実現した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)


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