NYの視点:今週の注目:米中「第1段階」貿易合意の行方、FOMC議事録

配信元:フィスコ
投稿:2019/11/18 07:37
投資家や投機家の持ち高を示す週次統計で、円の売り持ち高は前々週から増加した。一方で、ユーロの売り持ち高は先々週から減少。

引き続き米中通商協議の行方に注目が集まるほか、12月12日に総選挙を控えている英国の政局動向にも注目が集まる。ジョンソン首相と労働党のコービン党首が討論会を予定している。ナイジェル・ファラージ氏が率いるBREXIT党が与党を支持する姿勢を見せていることから与党が議会で過半数を勝ち取ることが可能との期待が広がりポンドを支えている。

米中「phase1第1段階」貿易合意に関し、クドロー国家経済会議(NEC)委員長は、「成立は最終段階」と楽観的な見方を示した。ロス米商務長官も米中閣僚級電話会談が15日に開催されることを確認したほか、「十中八九、合意成立する」と言及。早くて今週中、12月半ばまでには何らかの発表があると期待されている。

トランプ大統領は、万が一、通商合意がまとまらなければ12月15日に中国の消費関連商品に対して追加関税を発動する計画をすでに発表しており、この期日までに合意がまとまるかどうかが市場の焦点となっている。この関税が発動されると、米国は中国のほぼ全ての輸入品5000億ドル相当に関税を課すことになり、世界第1、第2位の米中経済にさらなる打撃となる可能性が警戒される。

米国経済指標では住宅関連指標や地区連銀製造業指数に注目が集まる。また、米連邦準備制度理事会(FRB)は10月連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する予定で、今後の利下げ軌道を探る上で注目される。世界経済の弱さ、貿易の不透明性、インフレ低迷を受けて、FRBはこの会合で、本年3回目の保険的な利下げを決定した。同時に、米中貿易協議の進展、英国の合意ない欧州連合(EU)離脱の確率が低下し、見通しが前会合から改善したため、フォワードガイダンスを修正し、次回会合での利下げの明確化を避け、年内政策据え置きの可能性を示唆した。議事録では見通し修正の背景をさらに明らかにしていく。パウエルFRB議長は先週の証言で、見通しリスクは依然下向きとの考えで、中央銀行の次の行動は依然利下げである可能性が利上げよりも強いと考えられる。米中貿易協議が決裂した場合は、追加利下げ観測が強まる可能性も残る。

■今週の主な注目イベント

●OECD
21日:経済見通しを公表

●米国
18日:メスター・クリーブランド連銀総裁が講演
19日:ウィリアムズ米NY連銀総裁が講演
20日:連邦準備制度理事会(FRB)がFOMC議事録を公表
21日:メスター・クリーブランド連銀総裁が金融安定懐疑に参加、
カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁が講演

●ユーロ圏
18日:デギンドス・スペイン経済相、独フランクフルトで講演、
欧州中央銀行(ECB)専務理事兼首席エコノミストのフィリップ・レーン氏がフランス、バリで講演
21日:欧州中央銀行(ECB)が10月理事会の議事要旨を公表
22日:ラガルドECB総裁、バイトマン独連銀総裁が講演

●英国
19日:総選挙TV討論会、ジョンソン首相と労働党のコービン党首

●中国
14日:10月鉱工業生産:予想前年比+5.4%(9月+5.8%)、
10月小売売上高:予想前年比+7.8%(9月+7.8%)

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
香港


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配信元: フィスコ