~ROIC経営で事業を再構築、収益力の向上が大きく前進~
【ポイント】
・業績は好調であるが、目先伸びが鈍っている。医薬・FC(ファインケミカル)、HBC(ヘルス&ビューティケア)、化学品(表面処理薬品)、食品の4つの事業分野を主力とするが、化学品やHBCが今期後半に勢いをなくしている。電子部品、半導体関連の表面処理薬品に遅ればせながら影響が及び、インバウンド関連にも変化がみられる。主力の医薬・FCも、2020年4月の薬価改定の影響が避けられないので、やや慎重な見方が必要であろう。
・一方で、新規分野に力を入れている。皮膚のイワキと称するように、売上高の2割強が皮膚関連で、タイガーバームの総代理店になるなど、新商材によるブランド作りに取り組んでいる。先を見ると有機EL用の素材が伸び、化学品も半導体や電子部品向けに広がりが期待できる。日立化成から譲受したプリント配線板用薬品事業も貢献が高まろう。
・10年間の中長期ビジョンの下で、2020年11月期は5年目を迎える。岩城社長をリーダーに果敢に「策揃え」(独自の差別化戦略)を実行中で、2025年11月期に売上高1000億円、ROIC(投下資本利益率)10%を目標とする。ROIC10%は、試算すると営業利益50億円で達成できよう。
・3ヵ年の中期計画は既に2回ローリングしたが、いずれも前倒しで計画を達成し、上方修正している。今回の中期3カ年計画では、2021年11月期に売上高700億円、営業利益28億円、ROIC 8.0%以上を目指す。来期も営業利益でピーク更新が見込めよう。
・今後の業績拡大では、1)抗がん剤向けなどの高活性原薬や中間体など、API(有効成分)分野の強化、2)医薬品原料の合成技術の応用も含めた高純度の電子材料や、パワー半導体分野での新しい表面処理薬品、3)シルバー世代に強みを持つ通販化粧品分野などがリード役となろう。
・高付加価値化を目指し、商社機能から製造機能へのシフトを進めている。現在の製造比率34%を40%以上に高めていく方針である。そのための設備投資や事業投資も活発化させている。ROIC経営の実践を通して、収益性は好転していくので、PBRも早晩1.0倍に戻せよう。企業価値の創造に向けて、強みを活かす事業開発が効果を上げてこよう。
目 次
1.特色 医薬品、医薬品原料、化学品で製造機能を強化
2.強み ジェネリック医薬品及び原料が大きな収益源
3.中期経営計画 10年ビジョンVision“i-111”でROICベースの収益力向上を目指す
4.当面の業績 ピーク利益の更新は続くが、勢いはやや鈍化
5.企業評価 収益力向上の道筋が見えてきた
企業レーティング | B |
---|---|
株価 (2019年10月25日) |
460円 |
時価総額 | 159億円 (34.636百万株) |
PBR | 0.77倍 |
ROE | 7.9% |
PER | 9.6倍 |
配当利回り | 2.6% |
総資本 | 43303百万円 |
純資産 | 19682百万円 |
自己資本比率 | 45.4% |
BPS | 600.7円 |
決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 | EPS | 配当 |
---|---|---|---|---|---|---|
2009.11 | 47947 | 300 | 87 | -118 | -4.9 | 6.0 |
2010.11 | 50412 | 494 | 635 | 371 | 15.5 | 6.0 |
2011.11 | 53797 | 1215 | 1316 | 1619 | 53.9 | 7.0 |
2012.11 | 51953 | 1126 | 1292 | 728 | 21.6 | 6.0 |
2013.11 | 52465 | 1007 | 1144 | 744 | 22.0 | 6.0 |
2014.11 | 54145 | 890 | 962 | 496 | 14.7 | 7.5 |
2015.11 | 55422 | 559 | 694 | -143 | -4.3 | 6.0 |
2016.11 | 55121 | 977 | 1071 | 8 | 0.3 | 6.0 |
2017.11 | 57387 | 1571 | 1778 | 1241 | 37.9 | 7.5 |
2018.11 | 60083 | 1849 | 2000 | 1414 | 43.8 | 10.5 |
2019.11(予) | 61500 | 2000 | 2000 | 1550 | 47.8 | 12.0 |
2020.11(予) | 63000 | 2100 | 2100 | 1600 | 48.9 | 13.0 |
(2019.8ベース)
(注)ROE、PER、配当利回りは今期予想ベース。2011.11期はメルテックス合併記念配1円、2014.11期は創業100周年記念配1.5円を含む。
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。
レポート全文はこちらから
http://www.belletk.com/iwaki201910.pdf
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