ドル円は一時21日線まで買い戻される場面も 0.25%利下げが次第に濃厚に=NY為替概況

著者:MINKABU PRESS
投稿:2019/07/20 06:00
 きょうのNY為替市場はドル買い戻しが優勢となり、ドル円も買い戻しが優勢となった。きのうはウィリアムズNY連銀総裁の発言で、7月FOMCでの0.5%の大幅利下げの期待を再び市場は高めた。総裁は「経済が極度の不安に陥った場合はFRBは積極的に行動すべき」との見解を示していた。

 ドル円も一気に107円台前半まで下落していたが、その後にNY連銀が、「総裁の発言は20年の研究に基づいたアカデミックなもの」と火消しに回ったことで、市場もドル買い戻しに動いていたようだ。

 終盤に入ってドル買いが更に強まり、ドル円は21日線が控える107.95円付近まで上昇する場面が見られた。一部報道がFRB高官の話として、7月FOMCでは0.25の利下げに留め、追加利下げの可能性を示唆するという。米経済は好調だが、不透明感や低インフレ、貿易問題が利下げを正当化するとも述べていた。7月FOMCは0.25%利下げのシナリオが次第に濃厚になってきているようだ。

 ただ、ドル円は21日線を回復することはなかった。きのうの下落で21日線を下放れる展開が見られ、6月下旬からのリバウンド相場に黄色信号が点滅している。そのような中で、21日線の水準にはなお慎重な模様。

 一方、ユーロドルは戻り売りが優勢となり、一時1.12ドルちょうど付近まで下落。21日線で上値を抑えられた格好となっており依然として上値の重い展開が続いている。1.12ドルちょうど付近は強い下値サポートとなっているが、再び試しそうな気配も出ている。その水準をブレイクするようであれば、年初来安値の1.11ドルちょうどの水準が視野に入る気配もありそうだ。

 市場は来週のECB理事会に注目を集めている。市場では今回は据え置きが有力視されているものの、声明やドラギ総裁の会見では追加緩和の可能性を強調してくると見られている。しかし、意外に来週の理事会での利下げ期待は高い。欧州の短期金融市場では来週の理事会での0.1%の利下げ確率を60%程度まで高めている。今月のFRBによる0.5%大幅利下げの確率は40%程度だが、それよりも高い。今年に入ってドラギ総裁がハト派なコメントで市場にサプライズを与えたのが既に2回ある点も市場のリスク意識を高めているのかもしれない。もし、サプライズ利下げがあるとするならば、1.10ドル台までの下落の可能性も指摘されていた。

 ポンドドルも下値模索の動き。1.25ドルを割り込んでいる。前日は1.2560ドル付近まで上昇し、1.2575ドル付近に来ている21日線をうかがう展開も見られたものの結局、到達せずに失速している。

 来週は英保守党党首選の結果が公表される。下馬評ではジョンソン前外相が有力のようだ。ジョンソン氏は、合意が無くても10月31日にEUから離脱することを表明しているが、きのうは英下院は、次期首相が議会の休会を使い合意なき離脱を強行することを阻止する案を賛成多数で可決した。英議会は11月初旬に開会するが、その1~2週間前は休会となることが多く、10月末の期限付近で新首相が議会を休会させ、合意無き離脱を審議させない可能性があるとの見方が出ていた。いずれにしろ、10月末までにその辺が明確になるまではポンドの浮上は期待できそうにないのかもしれない。

minkabu PRESS編集部 野沢卓美

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