NYの視点:今週の注目:FOMC、BOE、BOJ

配信元:フィスコ
投稿:2019/06/17 07:47
投資家や投機家の持ち高を示すIMMの週次統計で、ネット円売り持ち高は前々週から小幅増加した。

今週は連邦準備制度理事会(FRB)が連邦公開市場委員会(FOMC)を予定しているほか、英国中央銀行や日本銀行が金融政策決定会合を予定している。FRBが18−19日に開催するFOMCでは3月に発表した見通しを基にすると、政策金利が引き締め気味であるため利下げの思惑も一部浮上している。しかし、大半は政策金利を据え置き、必要とあれば利下げに踏み切る明確な軌道を示唆する可能性があると見ている。

声明では「辛抱強い」との文言を削除し、7月の利下げの可能性を示唆するとも考えられる。さらに、景気やインフレの判断、見通しが下方修正されるかどうかにも注視。パウエル議長やFOMCメンバーは「低いインフレは一時的な要因が影響している証拠がある」との見解を示していたが、この見解が修正されるかどうかにも注目される。修正されると、より利下げに傾斜したことを示す。

米中貿易交渉が暗礁に乗り上げ利下げがほぼ確実視される中、FOMCを控えて、米商務省が発表した5月小売売上高は前月比+0.5%と、3カ月連続のプラスとなった。4月分も—0.2%から+0.3%へプラスに上方修正された。前年比では+3.5%と順調に拡大している。また、国内総生産(GDP)の算出に用いられる自動車、建材、給油、食品を除いた小売り、コントロールグループは前月比+0.5%と、伸びは予想を上回り3月来で最大を記録した。4月分は横ばいから+0.4%へ上方修正され、消費が4-6月期GDPの成長を支援している可能性がある。

また、米国5月の鉱工業生産は予想を上回り昨年11月来の大幅な伸びとなった。17年ぶりの低い伸びに鈍化した中国5月の鉱工業生産とは対照的な結果。クドロー国家経済会議(NEC)委員長は「貿易戦争による景気への負担は米国に比べて、全般的に中国の方が大きい」と指摘している。

良好な小売りや鉱工業生産の結果を受けて、アトランタ連銀は第2四半期国内総生産(GDP)の成長率予想を従来の1.4%から2.1%に引上げ。2019年に入り景気鈍化懸念が強まる中、クドローNEC委員長や米国の大統領経済諮問委員会(CEA)のハセット委員長は依然3%成長を予想している。市場は6月もしくは7月の利下げを確実視しつつある。しかし、今後の指標が十分に強い場合、利下げは避けられる可能性も残る。

英国中央銀行は金融政策決定会合で金融政策を現行で据え置く見込み。議事録では政策者の見解が食い違う可能性も指摘されている。日本銀行もしばらく金融緩和政策を現行で維持すると見られている。

■今週の主な注目イベント

●米国

18−19日:連邦公開市場委員会(FOMC):予想FF金利誘導目標を2.25%−2.5%で据え置き

18日:5月住宅着工件数:予想+123.5万件(4月+123.5万件)、
建設許可件数:予想+129万件(4月129万件)

19日:パウエル議長会見
21日:メスター・クリーブランド連銀総裁、
ブレイナード米連邦準備制度理事会(FRB)理事がイベントに参加、
デイリー米サンフランシスコ連銀総裁はポドキャストイベントを開催、
5月中古住宅販売件数:予想525万件(4月519万件)

●日本
20日:日本銀行金融政策決定会合:予想政策据え置き、
黒田総裁の記者会見

●英国

18日:英与党党首選出、第2回採決
20日:英国中央銀行金融政策決定会合:予想:政策0.75%、
資産購入目標4350億ポンドで据え置き

●地政学的リスク
ベネズエラ
北朝鮮:
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン

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配信元: フィスコ