[資源・新興国通貨6/10~14の展望] 豪中銀が政策金利を引き下げ。今後追加も!?
豪ドル
RBA(豪中銀)は6月4日、0.25%の利下げを決定。政策金利を1.50%から過去最低の1.25%へと引き下げました。ロウ総裁は同日、シドニーで講演を行い、「“より低い政策金利を予想するのは妥当でない” とは言えない」と述べ、追加利下げの可能性があることを示しました。
豪州の5月雇用統計が6月13日に発表されます。RBAは労働市場の動向を注視すると表明しているため、雇用統計の結果はRBAの判断に影響を及ぼすとみられます。市場では8月に追加利下げが行われるとの観測があります(8月はRBAが四半期に一度の金融政策報告を公表)。今回の雇用統計が弱い結果になれば、8月利下げ観測は一段と高まるとみられ、豪ドルに対して下落圧力が加わる可能性があります。
豪ドルについては、米中の貿易摩擦や通商協議に関する報道にも注意が必要です。6月28・29日のG20サミットに向けて、それらに関する報道が出てくる可能性があり、その場合には豪ドルが反応しそうです。米中貿易摩擦への懸念が後退すれば、豪ドルの支援材料になりそうです。
NZドル
6月5日にRBNZ(NZ中銀)は、5月30日に行われたホークスビーRBNZ総裁補の講演の内容を公表。ホークスビー総裁補は政策金利の先行きについて、「当面は現行水準付近にとどまるというのが、RBNZの中心的な見解だ」と述べました。
ホークスビー総裁補が政策金利を当面据え置くことを示唆したことで、市場ではRBNZの利下げ観測が後退しました。利下げ観測の後退は、NZドルにとってプラス材料であり、NZドルを下支えすると考えられます。ただし、NZドルは投資家のリスク意識の変化を反映しやすいという特徴があります。主要国の株安などによってリスク回避の動きが市場で強まる場合、NZドルに対して下押し圧力が加わるかもしれません。
カナダドル
原油価格の代表的な指標である米WTI先物は今週(6/3の週)、約5カ月ぶりの安値をつけました。足もとの原油安の背景には、世界の景気減速によって需要が減少するとの懸念があります。そのうえ、米国の原油生産量が増加しており、それも原油価格の重石となっています。
原油はカナダの主力輸出品です。そのため、カナダドルは原油価格の動向に影響を受けやすいという特徴があり、足もとの原油安はカナダドルにとってマイナス材料です。供給過剰への懸念を背景に原油価格には引き続き下押し圧力が加わりやすいとみられ、カナダドルは目先、上値が重い展開になりそうです。
原油価格が反発基調へと転じるには、供給過剰への懸念が後退する必要がありそうです。例えば、世界の景気減速への懸念が後退する、あるいはOPEC(石油輸出国機構)加盟国や非加盟主要産油国が協調減産を延長(・強化)するとの観測が高まるなどが挙げられます。
トルコリラ
TCMB(トルコ中銀)が6月12日に政策金利を発表します。政策金利は現行の24.00%に据え置かれるとみられ、声明の内容に注目です。
トルコの5月CPI(消費者物価指数)は前年比+18.71%と、4月の+19.50%から鈍化したものの、依然としてTCMBのインフレ目標(+5%)を大きく上回っています。そのため、TCMBは6月12日の声明で、「インフレ見通しが大幅に改善するまで、引き締め的な金融政策スタンスを維持する」と改めて表明すると考えられます。その場合、トルコリラの下支え材料になる可能性があります。
トルコリラについては、トルコのS-400(ロシア製の地対空ミサイルシステム)購入に関する報道には引き続き注意が必要です。米国との関係が一段と悪化するとの懸念が市場で高まれば、トルコリラは下値を試す展開になりそうです。
南アフリカランド
南アフリカランドは今週(6/3の週)、対米ドルで約8カ月ぶり、対円で約5カ月ぶりの安値をつけました。ランド安が進んだ背景には、南アフリカ景気に対する懸念や、SARB(南アフリカ中銀)の独立性をめぐる懸念があります。南アフリカの1-3月期GDP(6/4発表)は前期比年率マイナス3.2%と、2009年1-3月期以来、10年ぶりの大幅な落ち込みを記録。また、与党ANC(アフリカ民族会議)は4日、「SARBの責務に“物価の安定”のほか、“雇用と成長”も加えることでANC幹部は合意した」と発表しました。市場では、SARBの責務に雇用や成長が加わることによって、金融政策に対する政府の干渉が強まる”との見方もあります。
ただ、SARBの責務拡大については、ムボウェニ財務相が反対を表明。また、ANC内でも賛成と反対で意見が対立しているようです。ANCがSARBの責務拡大の方向でまとまった場合、南アフリカランドに対する下落圧力は一段と強まる可能性があります。
メキシコペソ
トランプ米大統領は5月30日、メキシコの不法移民対策が不十分として、「6月10日以降、メキシコからの輸入品すべてに5%の関税を課す」と表明しました。
今週(6/3の週)に入り、米国とメキシコは移民や関税の問題について協議を行っており、協議は7日も継続される予定です。
来週(6/10の週)のメキシコペソは、米国の対応次第で状況が異なる展開になりそうです。米国が対メキシコ関税を発動した場合にはメキシコペソに対して下落圧力が加わるとみられる一方、対メキシコ関税が回避されればメキシコペソは上昇しそうです。
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