インテリックス Research Memo(6):第4四半期に不動産売却を進めることで、利益ベースでの計画達成を目指す

配信元:フィスコ
投稿:2019/02/18 15:36
■今後の見通し

1. 2019年5月期の業績見通し
インテリックス<8940>の2019年5月期の連結業績は売上高が前期比2.6%増の44,640百万円、営業利益が同9.2%増の1,703百万円、経常利益が同4.6%増の1,311百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同9.5%増の879百万円と期初計画を据え置き、3期ぶりの増益に転じる見通しだ。ただ、第2四半期までの業績進捗率はリノヴェックスマンション販売を中心に計画を下回っていることや足下の市場環境からすると、売上高に関しては通期も計画を下回る可能性が高い。ただ、利益面では第4四半期に複数の不動産物件の売却を予定しており、計画の達成を目指していく考えだ。このため四半期別で見れば第3四半期も利益は低水準が続く見通しで、第4四半期に一気に挽回する格好となる。事業別売上見通しは以下のとおり。

(1) リノヴェックスマンション事業(物件販売)
主力のリノヴェックスマンション事業の売上高は前期比0.3%減の34,269百万円、販売件数で同横ばいの1,450件、平均販売価格で同0.3%減の23.6百万円を見込んでいる。競争激化による首都圏での販売件数減少を地方拠点の拡大でカバーする計画となっている。ただ、計画達成に必要となる下期の販売件数は885件と上期実績の565件に対して1.6倍に増やす必要がある。上期末の在庫数が505件、仕入決済から販売までの事業期間が4ヶ月弱かかることからすると、計画を下回る可能性が高いと弊社では見ている。ただ、売上総利益率に関しては12%台を維持する見通し。地方店については営業体制を強化して積極的に仕入活動を進めていくが、首都圏については中古マンション市況が依然高止まりしており、在庫件数も増加傾向が続いていることから慎重な仕入れを継続し、市況が軟化するタイミングを待って積極策に転じる方針だ。

(2) その他不動産事業(物件販売)
その他不動産事業の売上高は前期比13.6%増の7,872百万円となる見通し。このうち、アセットシェアリングの売上高は同64%増の35億円、その他不動産物件については同9%減の43億円を見込んでいる。アセットシェアリングに関しては、「アセットシェアリング北千住駅前」や「アセットシェアリング京町家再生I」(完売済み)に加えて、新たに博多のホテル&レジデンス物件である「モンタン博多」(募集総額15億円)の販売を開始しており、売上貢献する。ただ、販売進捗はやや遅れ気味となっているため、計画を下回る可能性がある。

「モンタン博多」は築30年の共同住宅をリノベーションした物件で、2017年10月にオープンして以降、ホテルの客室平均稼働率は高水準で推移しており、客室単価も当初想定を上回って推移するなど高収益物件となっている。駅チカで交通アクセスも良く、アジア圏からのグループ観光客の需要取り込みに成功していることが要因だ。このため、オープン時に48室だった客室数を2018年に73室に増やしている(住居部分は51戸から26戸に減少)。分配予定利回り※は約4.2%(運用期間7年(+延長期間3年))と高利回り案件となっている。ただ、地元の九州エリアでテレビCMが打てないことから当初想定よりも完売までに時間を要する可能性がある。

※分配予定利回りとは、年間賃料収入から投資コスト(管理収入等)を差し引いた手取り分配金の物件価格に対する割合。


京町家再生プロジェクトに関しては第2弾以降の販売が2020年5月期以降となる見通しだ。「京町屋再生I」では5棟を1パッケージ化して商品化(募集総額4.8億円)したが、うち3棟は組成完了後にリノベーションを開始したため販売時点で利回りが確定せず、完売までに1年近くを要するなど販売面で課題を残した格好となった。このため、第2弾以降はリノベーション後に一定期間、自社で運用しトラックレコードを作り、利回りを確定してから販売する方針に切り替えた。既に対象となる物件は10棟以上保有しており、リノベーションを進めている。また、2018年12月には京阪電鉄不動産と業務提携を発表しており、事業拡大を加速していく方針を打ち出している。京阪電鉄不動産が持つ京町屋物件の情報ルートを活用して仕入物件を増やしていくほか、共同出資による物件取得も視野に入れている。京町家の人気は外国人にも高く安定した利回りが期待される。京町家のストックは4万棟以上あると言われており、行政も国際観光都市である京都の伝統的な「京町屋」を残し、街並みの景観を保存していきたい意向を持っていることから、今後の売上拡大余地は大きいと見られる。

アセットシェアリング以外の不動産販売については上期の1,243百万円から、下期は3,128百万円に拡大する見通しとなっている。新築分譲マンションの販売を予定しているほか、一棟もの物件等の売却を予定している。リノヴェックスマンションの販売下振れ分をカバーするため、期初計画よりも売却物件が増える見込みだ。新築分譲マンションでは「リシャール川崎 THE WEST」(2019年4月竣工予定)の販売を2018年11月から開始している。単身者利用を想定したコンパクトマンション(1LDK)で、JR川崎駅徒歩8分と利便性が良い。販売戸数32戸、販売価格は3,000万円台となり売上高としては約10億円が見込まれる。

(3) 賃貸収入及びその他収入
賃貸収入については、2018年5月期に手持物件の売却が進んだことから、前期比0.3%減の787百万円と微減で見込んでいる。ただ、上期はリースバック物件の積み上げもあって前年同期比16.0%増の453百万円となっており、通期でも増収となる可能性が高い。リースバック物件の仕入件数は2018年11月末で累計171件(うち、2019年5月期上期は103件)と順調に拡大している。営業人員をリノヴェックスマンション事業部からシフトし、前上期末の7名から16名に増強したことも仕入件数増につながっている。現状の仕入地域は首都圏が中心だが、今後は広告強化(テレビCM等)や大手不動産仲介会社との連携を進めていくことで全国展開を図り、早期に収益化していく方針となっている。

その他収入は前期比21.0%増の1,709百万円となる見通し。リノベーション内装工事請負事業が同業他社からの受注増により前期比13%増の12億円と2ケタ増収となるほか、「モンタン博多」のホテル運営収益、リースバック物件の取得手数料収入等の増加も見込まれる。リノベーション内装工事については、同業他社からの受注拡大が増収要因となる。平均売上単価は7百万円程度となっており、件数に換算すると2019年5月期に約170戸の内装施工を計画していることになる。リノヴェックスマンション事業と比較して1件当たりの利益額は小さくなるが、売上総利益率は上回る水準になっていると見られる。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

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配信元: フィスコ

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