【これからの見通し】 米中貿易摩擦に明るい兆し、資源国通貨に奏功か

著者:MINKABU PRESS
投稿:2018/12/12 15:35

 昨日は株式市場の下落が一服、きょうの日本株や香港・上海株も堅調に推移している。リスク警戒感が後退した背景には、米中貿易摩擦の改善に明るい兆しがあったことがあげられよう。ファーウェイCFOの保釈がカナダで認められたことや、米中通商担当者が電話協議などを行ったこと、中国が対米自動車関税の引き下げを発表したことなどが報じられた。

 為替市場ではドル円が113円台半ばへと上昇、豪ドル円は一時82円台を回復、カナダ円は84円台後半へと上昇している。NY原油先物が52ドル台へと上昇していることも、資源国通貨には好感されているようだ。このあとの海外市場でも欧州株や米株先物が堅調な動きをみせれば、豪ドルなどが買いやすい状況となりそうだ。

 一方で、ポンドやユーロなど欧州通貨は円売りの動きが安定しない。ポンドにとってはメイ政権維持や合意なき離脱に対するリスクなどが高まっており、下値リスクがつきまとう。ユーロにとっては、きょうのイタリア修正予算をめぐる動向が不透明感を広げている。加えて、約1か月にわたるフランスのデモに対する対応で、マクロン政権は財政赤字拡大を余儀なくされており、イタリア債とともにフランス債にも売り圧力がみられている。欧州中核国の債券市場の不安は、金融危機につながりかねないリスクとなる。

 この後の海外市場では、ユーロ圏鉱工業生産指数(10月)、米MBA住宅ローン申請指数(7日までの週)、米消費者物価指数(11月)、カナダ設備稼働率(第3四半期)などの経済指標が発表される。注目は米消費者物価指数となろう。昨日の生産者物価指数は、事前予想を上回ったのもの、前回からは伸びが鈍化した。きょうの消費者物価指数では、前月比横ばい、前年比+2.2%と前回からは伸びが鈍る見込み。一方、エネルギーや食品を除くコア指数では、前月比+0.2%、前年比+2.2%と前回並みもしくはやや強含む予想となっている。

 その他の予定としては、米週間石油在庫統計、米10年債入札(240億ドル)などが予定されている。

minkabu PRESS編集部 松木秀明

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