カンロ Research Memo(1):積極経営に出る老舗キャンディメーカー

配信元:フィスコ
投稿:2018/11/05 15:11
■要約

カンロ<2216>は誰もが知る有名なキャンディメーカーである。100年を超える社歴を誇る老舗で、時代ごとに新しく付加価値の高い製品を世に送り出してきた。そのような同社が2017年に40年ぶりに企業理念を全面的に見直し、新CIを導入した。少子高齢化など事業環境の変化に対して、糖に対する理解ある環境をつくり、同社の基盤である糖の持つ可能性を、素材や機能性にこだわったキャンディ作りを通して提供していこうと考えたからである。同社は中期経営計画「NewKANRO 2021」を策定しており、長期ビジョンの実現に向けた事業戦略を着実に実行している。

同社には製造面の強みと営業面の強みがある。まず、配合や製法に関する膨大なノウハウが100年を超えて蓄積されている。そうしたノウハウを背景に、「カンロ飴」のような、素材にこだわっていいモノを作るというメーカーとして根源的な発想によるプロダクトアウトの製品や、「ボイスケアのど飴」のように、ニーズやウォンツにマーケットインした機能性のある製品を作り出し、世の中に長く広く受け入れられてきた。また、同社の主な販路はスーパー(GMS含む)とコンビニエンスストア、ドラッグストアだが、いずれの販路も市場を上回って売上高が伸びている。営業をエリア別・チャネル別に編成して商品企画やマーケティングの担当者が営業に同行する、リテールサポートという営業体制によって、効率化や提案力の強化が進んだことが背景にある。

2018年12月期第2四半期の業績は、売上高11,274百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益602百万円(同26.7%増)、経常利益618百万円(同28.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益671百万円(同118.5%増)と好調だった。「金のミルクシリーズ」や「ノンシュガースーパーメントールのど飴」、「カンデミーナシリーズ」など、飴、グミともに主力ブランド商品の売上高が伸びたことが要因である。また、本社オフィス移転やCI変更など一時費用は発生したものの、売上好調に加えてスケールメリットや製造ラインの集約などにより大幅増益を達成した。

2018年12月期の業績見通しについて、同社は売上高22,500百万円(前期比5.6%増※)、営業利益860百万円(同8.0%減)、経常利益900百万円(同10.0%減)、当期純利益920百万円(同105.7%増)を見込んでいる。同社の下期の重点施策は、主力ブランドの更なる売上拡大とともに、飴が大型新商品の発売、グミが既存ブランドの強化と新グミ製造ライン稼働に向けた準備、原価低減策として飴製造ラインの効率化——である。なお、上期の好調により同社の通期業績予想は、期初計画に対して売上高で1,000百万円、営業利益で240百万円、経常利益で260百万円、当期純利益で190百万円の上方修正となった。

※2018年7月1日に子会社のひかり製菓(株)を吸収合併したため、第3四半期より非連結決算となるが、従来の連結決算とおおむね比較可能と考えられるため、弊社では便宜的に増減率を表示した。


同社は、中期経営計画「NewKANRO 2021」において、2021年12月期に売上高260億円、経常利益26億円の達成を目指している。そのため、新製品の開発と新規設備投資がセットになった「売上拡大」及び「経営基盤の強化」という2つの戦略を展開している。2018年12月期については、中期経営計画後半に向けて、本社移転や子会社吸収による生産性の向上、新グミライン投資や新CI戦略に基づく商品開発など、比較的大掛かりな施策を進めているところであるが、進捗は極めて順調と言える。

■Key Points
・100年を超える老舗キャンディメーカーが「素材を活かす」「機能性」の方向性で商品を開発
・2018年12月期業績は、主力ブランドの好調と原価低減により大幅増収が見込まれる
・2021年12月期に経常利益26億円を目指す中期経営計画「NewKANRO 2021」は順調に進捗

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)

<HN>
配信元: フィスコ

関連銘柄

銘柄名称 株価 前日比
2216
2,278.0
(04/26)
-452.0
(-16.55%)