NYの視点:円売り持ち:今週の注目: 米中貿易協議、ジャクソンホール、パウエルFRB議長演説、FOMC議事録

配信元:フィスコ
投稿:2018/08/20 07:35
短期投機家・投資家ポジションで円の売り持ち高は前々週から減少した。ユーロポジションは。昨年5月以来、初めての売り持ちに転じた。市場の買い持ちが解消したため、ユーロ売りが一段落する可能性がある。

今週は引き続きトルコ情勢、米中貿易協議の行方に焦点が集まる。また、ジャクソンホールの中銀シンポジウムで各国中央銀行の金融政策の動向を探る。パウエル議長も演説を予定しており、トランプ大統領が年あと2回のFOMCの利上げ予想に難色を見せる中、どのような見解が示されるかに焦点が集まる。

米国ではまた、米連邦準備制度理事会(FRB)が前回7月31日から8月1日に開催された連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公表する。FOMCは前回会合で、6月の会合で本年に入り2回目の利上げに踏み切ったのち、政策金利を市場の予想通り据え置いた。声明では、景気やインフレ判断を上方修正し、さらなる段階的な利上げが必要と、9月の利上げを示唆した。貿易に関する不透明感がくすぶる中、景気見通しリスクも「広範に均衡している」との文言を維持。労働市場も引き続き強まっており、インフレも良く管理されているためFOMCの6月の見通し通り、年あと2回の利上げ軌道が確認された。議事録では貿易摩擦が見通しに与える影響などに焦点が集まる。

米国と中国は今週、互いに160億ドル規模の商品に25%の関税を賦課する計画。米国の招請を受け、中国の商務次官が通商協議通商協議のため月内に訪米することに合意。6月に中国で行われた協議が物別れに終わって以来、初めての会合になる。米ウォールストリートジャーナル紙が焙じたところ、米中の交渉担当者は貿易論争を解決し、11月までに首脳会談を開催すべく構想を練っているという。米中貿易摩擦の解消は米国経済の成長見通しを一段と押し上げることになり、さらなるドル買いにつながる。

トルコは21−24日に祝日となる。米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は同国格付けを投資不適格級に引き下げ。リラ安是正で、トルコ中銀が「金融セクターを保護するため必要であることをすべて行う」とし、リラ売りを制限。また、アルバイラク財務相が投資家と電話会談を実施し「インフレを抑制することが最優先課題」「資本規制は我々の検討すべき課題ではない」と訴えたが、短期的な措置にとどまると考える。利上げ、米国から制裁を受けるきっかけとなった米国人牧師の釈放が、投資家の信頼を得るためには必須。それまでは、リスクが存続することになる。

■今週の主な注目イベント

●トルコ
21−24日:祝日

●米国

20日:ボスティック米アトランタ連銀総裁が経済見通しに関して演説
22日:FOMC議事録公表(8月1−2日)、米国は理ロシアに制裁
22−23日:米中財務次官、通商協議
23日:160億ドル規模の中国産品に25%の関税発動
23-25 日:米連邦準備制度理事会(FRB)、
カンサスシティ、ジャクソンホールで中央銀行シンポジウムを主催「市場構造の変化と、金融政策実施」
24日:米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長、変化する経済における金融政策
20−24日、27日:米通商代表部(USTR)が中国関税に関するヒアリング実施

●中国
23日:160億ドル規模の米国産品に25%の関税発動

●欧州
23日:欧州中央銀行(ECB)、7月26日の政策会合要旨を公表

●地政学的リスク
トルコ
北朝鮮
イラン
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン

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配信元: フィスコ