小次郎講師のボリンジャーバンド解説その2、「間違いだらけのボリンジャーバンド解説」

投稿:2014/10/03 12:00

「コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第54回、そして第2部第8回!


□皆さん、こんにちは、小次郎講師です。


■助手のムサシです。よろしくお願いします。

□本日は「間違いだらけのボリンジャー解説」というテーマで、いかに世間ではボリンジャーバンドの正しい理解がないかということに警鐘を鳴らしたい。

■間違いだらけなんですね。それは気になります。その前に・・・。
まずは・・・10月の講師関連予定報告!

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□この一目均衡表セミナーは凄いぞ。前回3時間やったセミナーの続編で今回も3時間。しかも、前回参加していない方のために、前回のDVDがもらえるという。

■つまり今回参加者は一目均衡表の上級編を6時間分一挙に聞けるわけですね。それは凄い。

□乞うご期待!ということで・・・本題に移る!

■お願いします!

1、ボリンジャーバンドの構成

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□ボリンジャーバンドの計算式を再確認する。

【ボリンジャーバンドの計算式】
・ミッドバンド=20日移動平均線
・プラス1シグマ=ミッドバンド+標準偏差
・プラス2シグマ=ミッドバンド+標準偏差×2
・マイナス1シグマ=ミッドバンド-標準偏差
・マイナス2シグマ=ミッドバンド-標準偏差×2
 ※標準偏差は20日間の終値の標準偏差

□ボリンジャーバンドの中にはときにプラス3シグマ、マイナス3シグマまで表示させているものがある。

■線がミッドバンドを含めて7本になっちゃうわけですね。

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□その場合のプラス3シグマの計算法はミッドバンド+標準偏差×3、マイナス3シグマの計算法はミッドバンド-標準偏差×3。ただ、線が多ければいいってものじゃない。

■5本で十分だと。

□だね。実はボリンジャー氏はプラス1シグマ、マイナス1シグマの線を使わなかったりする。


■つまり、ミッドバンドとプラス2シグマ、マイナス2シグマの線の3本だけ。

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その代わりに%bチャートを使う。

■%bチャート?

□その話は後日詳しくする。日本では%bチャートが付随していないので、5本の線で見るのが一番見やすい。ということでボリンジャーバンドの構成要素は以下のとおり。

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■つまり20日移動平均線と20日間の標準偏差から成り立っているのが、ボリンジャーバンドってことですね。

□だね。

【ボリンジャーバンド作図の構成要素】
20日移動平均線・・・20日間のトレンドの方向性と、20日間の平均的買値(売値)を示す。
標準偏差(20日)・・・20日間の価格変動の大きさを示す。

■なるほど、こうやって整理すると少しずつ見えてきましたね。ところでホームページなどでボリンジャーバンドを検索すると、ミッドバンドに21日移動平均線を使っているところが多数あるのですが、何故ですか?

□ボリンジャーさんが著書でも講演でも現在は20日を使っているので、まずは20日を使うことをお薦めする。

2、間違いだらけのボリンジャーバンド分析

□さて、ボリンジャーバンドの見方をインターネットで検索すると次のような紹介が多い。

・ボリンジャーバンドの各線は標準偏差を示す。
・統計学上データは+1シグマから-1シグマの間に68.3%入り、+2シグマから―2シグマの間に95.5%入る。
・ということは+2シグマを超える、-2シグマを割り込むということは5%以下の特殊現象。
・そんな特殊現象が長く続くことはありえないから、+2シグマを超えたら買われすぎということで売る、-2シグマを割り込んだら売られすぎということで買う。

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「-2シグマ以下になったら買い、+2シグマ以上になったら売る」というのが売買シグナルとして有名だね。実はこれが大間違い。

■間違いなんですか?

□検証してみよう。


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□図中の丸印を見ると確かに-2シグマを割り込んだところで買えば、その後上がる。+2シグマを超えたところで売ればその後下がるという局面がある。

■ですね。

□ところがこれを信じてしまうととんでもない目にあう。下の図を見てごらん。やっぱり丸印を付けた箇所に注目。

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■ほんとだ。+2シグマを超えたと思って売ったらとんでないことになってますね。-2シグマを割り込んだところで買っても、このケースは大失敗だ。

□実はボリンジャーさんは著書の中で「バンド上限(2シグマの位置)を超えても、それが売りシグナルではないし、バンド下限(-2シグマの位置)を割り込んでも、それが買いシグナルというわけではない。」とはっきりおっしゃってる。

■指標を作った人が否定している売買シグナルがいつまでも日本で売買シグナルとして広まっているということは信じられないですね。

□残念ながら、テクニカル指標の本物の専門家が少ない。どこが間違いかを検証したい。

①ボリンジャーバンドの各線は標準偏差を示す。
②統計学上データは+1シグマから-1シグマの間に68.3%入り、+2シグマから―2シグマの間に95.5%入る。
③ということは+2シグマを超える、-2シグマを割り込むということは5%以下の特殊現象。
④そんな特殊現象が長く続くことはありえないから、+2シグマを超えたら買われすぎということで売る、-2シグマを割り込んだら売られすぎということで買う。

□①は正解。ボリンジャーバンドの各線の間隔は標準偏差。②は間違い。統計学的にその数値が有効なのは価格が正規分布のとき。

■正規分布?


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□正規分布とはこういう分布。例えば、日本男性の身長などをグラフにすると170センチくらいが平均になり一番人数が多い。そして、1センチ高くなるたびに人数が減り、1センチ低くなるたびにこれまた人数が減る。こういうふうに中心が一番高くなり、左右に行けば行くほど下がり、すそ野が長いというデータの分布を正規分布と呼ぶ。

■これが正規分布なんですね。いろいろなものでありそうですね。

□データがこういった正規分布のときなら、プラス1シグマからマイナス1シグマの間に68.3%のデータがあり、プラス2シグマからマイナス2シグマの間に95.5%のデータがあると統計上わかっている。ところが価格の動きは正規分布ではないのだよ。特にボリンジャーバンドで見ているのは20日間の値動き、20日間の値動きが正規分布なわけがない。

■正規分布ってのは真ん中の価格が一番データが多くてそこから上下に少しずつ減っているという状態ですね。価格データがそういう動きをするとしたらもみあい相場のときくらいですね。

□だね。それ以外のときにはとても正規分布とは言えない。ということは+2シグマから-2シグマの間に95.5%のデータがあるとはならない。

■なんで勘違いしたんですかね?

□ボリンジャーバンドが標準偏差を使っていると知った瞬間に中途半端に統計学を勉強している人が、それならと勘違いしたんじゃないかな。ということは③の5%未満というのも間違いとわかる。ただ、何パーセントかは別として、+2シグマを超えること、-2シグマを割りこむことがそうしょっちゅうはないというのは事実。

■だったら、④の「そんな特殊現象が長く続くことはありえないから、+2シグマを超えたら買われすぎということで売る、-2シグマを割り込んだら売られすぎということで買う。」というのは正しそうな・・・・。

□と思ってしまったら落とし穴に落ち込むぞ。「+2シグマを超えることがそんなにしょっちゅうあることではない」ということは事実。そしてしょっちゅうあることではないということは、「現在+2シグマを超えていてもそのうち+2シグマの中に納まる」ということも事実。

■とすると間違いなのは何ですか?


+2シグマを超えていたものが、+2シグマの中に納まるようになるということと、価格が下がるということとはイコールではない。下図を見てごらん。

zu9

例えばA地点。青で囲んだ部分がプラス2シグマを超えた部分、その後の動きが赤で囲んだ部分。確かに+2シグマの中に納まっているが、価格が下降していったわけではない。

■なるほど・・・むしろ上がってますね。

B地点も同様。青で囲んだプラス2シグマを超えていた時期の後に、赤で囲んだプラス2シグマの中に納まっている時期が来るが、だからと言って価格の下落は見られない。

■A地点もB地点も青の箇所で売りを作っていたら大失敗しますね。

□だろ。

・+2シグマを超えることは長く続かない。やがて+2シグマの中に納まる。
     ≠
・+2シグマを超えた後には価格は下降する。

□このことを勘違いしたのが世間一般で言われるボリンジャーバンドの見方。

■危ない危ない、勘違いするところでした。

□では間違いを指摘が終わったので、いよいよ、次回からは正しいボリンジャーバンドの分析法をお話する。ということで・・・本日はここまで。

■ありがとうございました。

今日のまとめ

・20日移動平均線と20日間の標準偏差から成り立っているのが、ボリンジャーバンド

【ボリンジャーバンド作図の構成要素】
・20日移動平均線・・・20日間のトレンドの方向性と、20日間の平均的買値(売値)を示す。
・標準偏差(20日)・・・20日間の価格変動の大きさを示す。

・ボリンジャーバンドのパラメーターで21日を使っているところがあるが、20日が標準。

【間違いだらけのボリンジャーバンドの解説】
・ボリンジャーバンドの各線は標準偏差を示す。
・統計学上データは+1シグマから-1シグマの間に68.3%入り、+2シグマから―2シグマの間に95.5%入る。
・ということは+2シグマを超える、-2シグマを割り込むということは5%以下の特殊現象。
・そんな特殊現象が長く続くことはありえないから、+2シグマを超えたら買われすぎということで売る、-2シグマを割り込んだら売られすぎということで買う。
「-2シグマ以下になったら買い、+2シグマ以上になったら売る」

・ボリンジャー氏は著書の中で「バンド上限(2シグマの位置)を超えても、それが売りシグナルではないし、バンド下限(-2シグマの位置)を割り込んでも、それが買いシグナルというわけではない。」とはっきり書いている。

・価格の動きは正規分布ではない。

・+2シグマを超えていたものが、+2シグマの中に納まるようになるということと、価格が下がるということとはイコールではない。

□第2部第8回講義終了。

■「起立、礼!」

□本日の講義をマスターしたなら、単位を2単位差し上げよう。
本日の単位数2  累計単位数16
中級テクニシャンまで後84単位!

配信元: みんかぶ株式コラム