小次郎講師のRSI(相対力指数)解説その3,「RSIとストキャスの違いを知ろう!」

投稿:2014/05/21 10:51

「コジテク(小次郎講師の使えるテクニカル分析講座)実践編」第49回、そして第2部第3回!


□皆さん、こんにちは、小次郎講師です。本日はRSIの3回目。


■助手のムサシです。よろしくお願いします。RSI、簡単なようで難しく、難しいようで簡単。奥が深いです。

□そのとおり。

■まずは・・・5月6月の講師関連予定報告!

5/24(土)岡地の相場セミナーin名古屋
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□さて、前回まではRSIの計算式を解説してきた。理解出来たかな?

■計算式、意外と簡単じゃないですか。難しいふりをしていたので騙されてました。

「テクニカル指標をマスターするためにはまず計算式を覚えよ!」これが私の教え。これを言い続けてきたので、ようやく最近、チャート分析をする人もそれに気がついてきた。

■小次郎講師の解説以外ではほとんどのところで「計算式は覚える必要ありません!」という教え方だったですものね、以前は。

□最近ようやく、私以外の人も「計算式を覚えましょう」と言うようになった。ネットでテクニカルの解説を見ても、そういう教え方をする人がようやく出てきた。うれしい限り。

■講師がチャート分析の勉強法を変えましたね。ぱちぱちぱち(拍手)

1、RSIの計算式から読み解く正しいRSIの意味あい

□そんな大層なことじゃない。だけど、RSIなどは計算式を知っていないと大きな誤解をする指標だ。

■ですね。

□正しいとらえ方は

【RSIは一定期間の買い勢力売り勢力の力関係を見る指標】
・50%以上、買い勢力が優勢。数値が大きいほど買い勢力が強いと分析。
・50%以下、売り勢力が優勢。数値が小さいほど売り勢力が強いと分析。

■それがいつの間にか

【RSIは買われすぎ・売られすぎを示す指標】
・70%以上、買われすぎなので売りサイン
・30%以下、売られすぎなので買いサイン

というふうに変化しちゃったんですね。どこでどう間違えちゃったんですか?

□間違えたというと語弊がある。間違いではないが、浅い。「A little learning is a dangerous thing」ってやつだ。

■突然、横文字を使わないでください。「生兵法はけがの元」ってことわざですね。

□生兵法(なまびょうほう)なんて言葉の方が現代人には難しいと思うぞ。せっかく、テクニカル指標を勉強しようと思っても、表面的な勉強だと、かえって誤解してしまって(相場で)危険な目に遭う、と、まあそんな意味だな。

■なるほど、「70%以上は売り」ってのは 「A little learning」なんですね。

□そういうこと。

■では本来はとても強い買いシグナルであるRSI70%以上が、何故売りシグナルと呼ばれるようになったか、そこら辺を教えてもらえますか?

□いいだろう。その前にストキャスとRSIを比較したい。

■唐突になんですか?

□後からつながるから、黙って聞いておけ。

■はい。

2、RSIとストキャスの比較

ストキャスとRSIはオシレーター系の代表選手。よく似ていると言われる。

■ですね。どちらも一般的には買われすぎ売られすぎを表す指標で70%以上が買われすぎ、30%以下が売られすぎと言われるところまで似ています。

□そうだね。その○%以上、○%以下の部分は書いてある本によって微妙に数値が違うんだけどね。

★図1

■図を見てもやっぱり似てますね。双子と言ってもいいくらい。で、このふたつがどうしました?

□上記図は14日のRSIと14日のストキャスを表示したもの。
似ている似ていると言われるRSIとストキャスティクスだが、実は全然違う。

■え?そうなんですか?双子じゃないと。

★図2

□30%と70%のところに線を引いて、それを超えるところを〇で囲ってみた。RSIとストキャス、似ているかな?

■数字を入れると全然違いますね。

□だろ。
ストキャスはすでに学んだよな。今回RSIを学んでるわけだが、ストキャスとRSIの違いをよく理解していない人が多い。そのために間違った使い方をしている。そこを正しておきいたい。復習するぞ。ストキャスで80%を付けているとする。その80%ってのは何が何に対して80%なんだ?


■えーと、なんでしたっけ?

□もう忘れたのか?

■実際、そこにこだわっている投資家ってほとんどいないじゃないですか?

□だから使えないっていつも言っているだろ。

■すみません。えーと、80%ってのはつまり・・・

□その前にストキャスには線がいくつあった?

■3つですね。通常はそのうち二つが組み合わさって使われますが。

□だね。その3つの線とは?

%K、%D、スロー%Dです。

□ということは何%とかと聞かれたら、それは何の線のことを聞いています?ってまず訊ねなくてはいけないだろ。

■なるほど、そりゃそうだ。

□この3つの線はそれぞれ数値が違う。それにも関わらず、70%(あるいは80%)以上が買われすぎとだけ言われ、それはどの線で見るのかも語られていない。ちなみに上記図は%K。

■%Kは反応が早い線でしたよね。一番反応の遅いS%Dにしたらどうですか?

□では、S%Dにしてみよう。下の図をご覧。

★図3

□たいして変わらない。

■ほんとだ。

□いかにいい加減な分析をしていたかがよくわかる例だ。
たとえば%Kということにしよう。これが70%以上ということはどういうことを表すかな?

■えーと、確か、思い出しました。過去一定期間の値動きのゾーンの中で現在の値段が下から何パーセントかということかと。

□思い出したようだね。公式で言うと

%K=(C-N日間の最安値)÷(N日間の最高値-N日間の最安値)
*Cは現在値 Nは日数

□たとえば14日間のストキャスとすると、分子は「現在値-14日間の最安値」となり、現在の値段と最安値までの幅、分母は「14日間の最高値-14日間の最安値」となり、14日間の値動きゾーンとなる。つまり、その14日間の値動きの中で現在の価格が下から何%のところに位置するかを示したのがストキャス。

■思い出しました。でも今はRSIの勉強をしているんですけど。

□あせるなあせるな。ポイントになることを話しているんだからよく聞け。

■了解。

3、RSIとストキャスが100をつけるとき

□ストキャスで%Kが100%を付けるとしたら、それはどんな時だ。

■上記の例で言うと、現在の値段が過去14日間の中で一番高いということですね。

□そのとおり。そしてそれはありうることか、めったにないことか?

■上昇トレンドでは十分ありうることですね。

□だよな。特に90%以上だとか言ったら上昇トレンドの中でいくらでも起こりうる。
では、いよいよRSI。RSIで100を付けるとしたらどういう状況だ。RSIの日数は標準の14日としてみよう。

■えーと、RSIの公式は

RSI=14日間の上昇幅÷(14日間の上昇幅+14日間の下降幅)

ということは・・・・そうか14日間、毎日上げ続けたときだ。

□正解!ところで、14日間、1日も下げずに上昇するなんて相場がよくあるかい?

■ないです。もちろん、過去に1回もなかったとは言いませんが、相当ありえない話です。

□だよな。90%以上としても、そんなにはない。ここら辺、ストキャスとRSIの計算式をわかってなければ勘違いしてしまうのだけど、ストキャスとRSIはグラフだけ見ていると、似ているように感じるが全くの別物。特にストキャスは100でも100近辺でも付けることがあるのに対し、RSIはそんな数値を付けることはほとんどない。

■ですね。

□計算式を知ってテクニカル指標を見るのと、計算式を知らないまま見るのでは雲泥の差があるってわかるだろ?

■わかります。くもどろの差があります。

□「うんでい」ね。

□ということで、繰り返すが、・・・RSIは基本的に大きな数字をつけない。小さな数字もつけない。ストキャスはいくらでもつける。ここをしっかりと理解しておこう。

■ほんとだ。

□RSIの場合、一番安定している上昇相場で2日上がって1日下がるというような上昇だよね。とすると、RSIは安定上昇で66%くらいとなる。わかるね?

■まあ、例で言うと、今日100円上がり、明日も100円上がり、明後日利益確定で100円下がったというような相場ですね。これを繰り返していくと、RSIは確かに66%となりますね。

□そうだ。ということは80%・90%というのはとんでもない急上昇相場。

■なるほど。

RSIではありえない数値がストキャスではよくある数値となる。この二つの指標が似た指標として使われているのが、現在の日本のチャート分析のレベル。

■気を付けねば。

4、再びRSIの真実探求!

□ではRSIの話しに戻る。整理するぞ。
RSIが50%以上を付けるのは買い方が優勢であることを示す。そしてその数値は大きければ大きいほどさらに優勢ということがわかる。ただし、100を付けることはほとんどなく、80以上もめったにない。70以上だって珍しいと言える。

■ですね。

□ではどんなときに、70%を超えるのかと言うと、急上昇しているとき。それはどんな時かと言うと・・・

■どんな時ですかね。

もみあい状態から、上放れたときのように、新たに上昇トレンドがスタートしたとき。

■なるほど、何かエネルギーが働かなければ上昇トレンドというのはできないですものね。上昇トレンドの発生時には買いが圧倒的に強くなるでしょうね。

□それともうひとつは・・・・上昇トレンドの最後にも起こる。

■最後にも起こるんですね。

□価格変動は買い方の買いによって上がるだけではなく、売り方の撤退、これを「踏み」というのだが、それによって急上昇する。

■下げも同様ですね。最後に買い方が「投げ」てそれで急落する。

□つまり・・・RSIは70%以上だから売り、30%以下だから買いってことではなくて、どこで出現したかによって決まる。

■なるほど。ただ数値を見るだけでなく、どこで出現したかを見なきゃいけないんですね。

□そういうこと。本日はここまで、その話はまた次回。

■ありがとうございました。

今日のまとめ


【RSIは一定期間の買い勢力売り勢力の力関係を見る指標】
・50%以上、買い勢力が優勢。数値が大きいほど買い勢力が強いと分析。
・50%以下、売り勢力が優勢。数値が小さいほど売り勢力が強いと分析。

・似ている似ていると言われるRSIとストキャスティクスだが、実は全然違う。
・ストキャスで%Kが100%を付けるとしたら、それは現在の値段が過去14日間の中で一番高いということ。RSIで100を付けるとしたら、それは14日間、毎日上げ続けたとき。
・ストキャスは100でも100近辺でも付けることがあるのに対し、RSIはそんな数値を付けることはほとんどない。RSIは基本的に大きな数字をつけない。小さな数字もつけない。ストキャスはいくらでもつける。

・RSIは安定上昇で66%くらいとなる。

・RSIが50%以上を付けるのは買い方が優勢であることを示す。そしてその数値は大きければ大きいほどさらに優勢ということがわかる。ただし、100を付けることはほとんどなく、80以上もめったにない。70以上だって珍しいと言える。

・どんなときに、70%を超えるのかと言うと、急上昇しているとき。
・ただ数値を見るだけでなく、どこで出現したかを見なくてはいけない。

□第2部第3回講義終了。

■「起立、礼!」

□本日の講義をマスターしたなら、単位を2単位差し上げよう。
本日の単位数2  累計単位数6
中級テクニシャンまで後94単位!

配信元: みんかぶ株式コラム