シルバーサーベイ(WORLD SILBER SURVEY)を見ると、やはり世界の投資家の銀の投資先は何かが良くわかる。
2021年版をみてみよう。
銀価格が上昇した去年2020年。
ETP需要が
2019年: 83.3 → 2020年:331.1 に増加。(単位は百万オンス)
一方で物理投資需要は
2019年:185.7 → 2020年:200.5 に増加。(単位は同上)
ちなみに銀貨や銀のメダル供給は
2019年:3,073 → 2020年:3,995 に増加。(単位はトン)
なおETPとはETFやETNなどの総称。実際の需給に反映しているので、ここでは価格リンク型ETFではなく、現物型ETFだ。
現物型ETFが約四倍に増えたのに、地金バーや銀貨はそれほど増えていないのはどういう事だろうか?
単純にコストの問題だ。
ETFなら、ネット証券を使えば売買に手数料は0.1%もかからない。
しかし、銀貨や銀の地金バーとなるとそうはいかない。地金価格に対して3割、4割増しはあたりまえ。小口で買うならそれ以上かかることもありうる。
(もちろんETFは乖離する場合があるが、3割以上の乖離はなかなかクレイジーな相場だ)
なので世界の投資家たちは銀に投資するならコストの低い現物型ETFを選ぶ。
では私たちが銀に投資するなら、ETFしかないのだろうか?
ETF以外なら、現物積立も良いだろう。
販売会社や証券会社によって、そして積立額によって異なるが手数料は数%に抑えられる。
ドルコスト均等法のメリットが得られるし、スポット売買によって追加買い増しや売却もできる。
もちろん、いずれかの貴金属を買い続ける必要はあるが。
あと、私は銀貨を全否定しているわけではない。
以前投稿したが銀投資として買うには結構コストがかかる、という事を知ってもらいたいだけだ。
インフレ対策として、どうしても手元に置きたいという思いがあるなら、銀貨はそれに応えられる。
あとは地金型銀貨ではなく、稀少価値のある銀貨としてなら十分ありだ。
例えばアンティークコイン。私も少し持っているが、歴史を物語る一枚が手元にあるのはとても感慨深い。
価値ある銀貨と言えば、イギリスのゴチッククラウンが浮かぶが、最近のトピックでは日本の円銀がお隣の国の人々によって買いあさられ、価格が上昇した。(なんてこった!私は両方とも持っていない!)
価値のある銀貨、人気の銀貨は他にも色々とあるので、興味がある方は調べてみると良いだろう。(ただし、コイン商の売り煽りにはご用心!)
という訳で、銀に投資する際は安易に銀貨や銀地金のバーを選ぶのではなく、コストや目的を考えて選ぶべきだろう。
これが月並みな結論に思えなら、それはあなたがしっかり地に足がついているとだ。