ああ、あそこだったのか。その昔、若き頃、東大、安田講堂から医学部の脇の裏門から、不忍の池に、よく下ったものだ。無縁坂はその道から東側の、小さな坂である。赤いレンガの塀は、東大の塀である。
今、日経新聞で、「みちくさ先生」を、見ている。夏目漱石の、小説である。伊集院静が作者なり。その頃、三四郎池を見ると、「めだか」がいた。カラスがやけに多かった。安田講堂は、学生紛争の余波で、まだ閉まったままだった。
何回か、法文1,2号館の間を、2人で、歩いた。どうにもならない、2人の運命。ただ、黙って歩いた。何も言わずに。不忍池は、蓮が沢山あり、6角堂も、何回か巡ってみた。
無縁坂(昭和50年)さだまさし
https://www.youtube.com/watch?v=q6tnsg07yUk
不忍池から、坂を上ると、どんぐりが落ちていた。寺田虎彦の随筆「どんぐり」は、子供が母親と同じく、どんぐりを、無心にとっていたのは、ここだったのだろう。
結局、2人は縁がなかった。そのままになってしまった。しかし、時々、その人を、思い出す。元気だろうか。
この歌を聞くと、人生とは、これほどまで、悲しいものなのかと、思います。皆、苦労して、死んでゆく。