成長株は、その企業の稼ぎ出すキャッシュフローが将来になるほどより大きくなると見積もられている(だから成長株)ので、遠い未来ほど大きなキャッシュフローが期待されています。現在から将来へ向けて稼ぐキャッシュフローが上り坂を上っていくようなイメージです。株価は将来のキャシュフローの現在価値の総和なので、成長株(グロース株)の評価の大半は将来のキャッシュフローに大きく依存しているということになります。とういうことは、長期金利が上がると期待キャシュフローを現在価値に割り引くための資本コストも上昇し、これから未来の全ての年限のキャッシュフローは現在価値に換算すると小さくなるのですが、遠い未来になるほどより大きく割り引かれてその現在価値(理論株価)はより小さくなります。さらに、長期金利が上がると景気を冷やす効果があるので、それが将来の期待キャッシュフローも小さくします。つまり、長期金利上昇によるネガティブインパクトは2重に起こり、将来の期待キャッシュフローが大きい成長株ほどより大きくなります。だから、長期金利が上昇する局面では成長株が真っ先に売られるのです。
長期金利上昇は特に成長株に大きなネガティブインパクトを与えるのですが、その他の株にも下げ圧力となります。債券投資の魅力が高まると、リスクの大きい株を売って、相対的にリスクの小さい債券を買って乗り換えようという動きが起こるからです。また、新興国のほとんどは米ドル建てで資金を借りており、米ドルの金利が上がるとその分だけ金利負担が増して、最悪の場合、1980年代のラテンアメリカ諸国のように返済できずデフォルトを起こします。それが実際に起こらなくても、そのデフォルトの可能性が高まるだけで、世界景気を急速に冷やすとの警戒で株売りが優勢となり、世界の株価を押し下げます。他には金利を生む債券の魅力が増すので、金利を生まない「金」の価格が下がります。