若い時、2,3人でスナックの帰りに、ラーメンを食べたことが、浮かぶ。その店は、結構、客がいて、大体、飲み屋の帰りだろう。
ラーメンと、餃子を大抵、食べている。こういうのは、味は二の次である。店の中は、湯気が、たちこみ、お互いの顔がよく見えない。忙しく、作っているのは、店の人。15分くらいで、その店を出る。後は、お互いに挨拶して、一人歩いて下宿に帰る。
また、夏の深夜。自転車で、20分走り、屋台のラーメンと、シュウマイを食べたこともあった。おばさんが、一人でいる。何回か行くうちに、おなじみになる。そうすると、おばさんが、いろいろ話してくれる。
「今日は、立ちんぼが、いない。」
「立ちんぼってなに。」「あそこの、十字路に立っている若い女さ。車で誘いがあると、一緒に行くのさ。」
「飯を食べさせたり、その後は、どうするのか知らないけれど。」
「そんな、見ず知らずの人と、車で危険じゃないのか。」
「なんか、事情が、あるんだろう。お小遣かいでも、くれるんだろう。」
その時に、知らない世界が有ることを知った。
その時は、そんな事にかまっていないで、今やるべき事を、やらなければと思った。
とにかく、今を生きることである。慶応の通信教育は、単位が半ばで、頑張らなければ。そう思った。その時は、時刻は、日付けも変わる時で、道路は、車は殆ど無い。そこを自転車で、帰る。考えようによっては、気楽なもんだ。
ああ、こんなこともあった。これも、夜中だった。何時ものように、人気のない道路を、自転車で行くと、車がとまり、2人の男が、降りてきた。その辺はかなり暗かった。ぎょっとした。そして、いろいろ聞いてくる。いろいろ、聞いてくるうちに、桐生警察署の、警官であることが、理解できた。
どうやら、私は、不審者で、自転車泥棒か、コソ泥と、疑われていることだった。そうだろうな。そんな深夜に、自転車で動くやつなんで、誰もいない。あやしい人物だろうな。
思いついて、桐生警察署の警察官の名刺を見せたら、急に態度が変わって、啓礼して「気を付けて、お帰りください。」だった。
帰りながら、何だい、そんなの、ただの名刺だろう。しかし、効果があるな。
こんな、いい加減な生活だったけれど、それでも、仕事はきちんと、やっていたんだろうな。夜中のラーメンは不思議な、世界を思い出すもんだ。