ダンマパダ「象にちなんで」

[kouboudaisiさん]

戦場の象が

矢に射られても耐え忍ぶように

人の誹りを耐え忍ぼう。

凶悪な人は多いから。

調教された象は

戦場で王の乗り物になる。

自らを修養し、人の誹りを耐え忍ぶ人は

人の中で最上となる。

調教されたロバは良く

インダス川流域産の血統のよい馬も良く

牙のある大きな象も良い。

自らを修養した人はそれらにまさる。

これらの乗り物では

未踏の地（安らぎ）に至ることができない。

自らを修養し、自制した人が

そこに至る。

ダーラバーナ（財を守る者）という名の象は

発情期には、制し難い。

捕らえられて、一片の食物も口にせず

（残してきた親象のいる）林を思う。

怠惰にして、大食いで

眠りこける人は

餌を食べて肥えた豚のように

生死を繰り返す。

かつては望むがままに、欲するがままに

気のむくままにさすらっていた、この心

その心を、今やわたしはしっかり抑制しよう。

象使いが、発情期に狂う象を鉤でもって調教するように。

励みつとめるのを楽しみに

自分の心を護り

悪路から抜け出よ。

ぬかるみにはまった象が抜け出るように。

思慮深く、聡明な人を

道連れに得たならば

あらゆる危険困難をものともぜず

心を落ち着け、喜んでともに歩め。

思慮深く、聡明な人を

道連れにできないならば

国を捨てた王のように

林の中の象のように、独りすすめ。

愚かな者を道連れとせず

独りで歩いたほうがよい。

悪をなさず、欲も少なく

林の中の象のように歩め・

必要な時に、仲間がいるのは楽しい。

あるもので満足できるのは楽しい。

命の終わる時に、生前なした善い行いは楽しい。

苦しみのないことは楽しい。

世に母を敬うことは楽しい。

また父を敬うことは楽しい。

世に努める人を敬うことは楽しい。　

世に行いの清い人を敬うことは楽しい。

老いるまで戒めを保つことは楽しい。

信仰が確立していることは楽しい。

叡智を得ることは楽しい。

悪い行いをしないことは楽しい。