今思うと、在宅介護、入院よりも、
実はその後の方が大変だったと思うのです
と言うのは、私の家にはお仏壇はありませんから
父方の一族の地では現在ほとんど親族が住んでいないというありさまで、
ご住職もご高齢、菩提寺の方から「墓を引き上げてほしい。」
と言われたと聞きます
私の父は分家筋となるものの、
私の両親はお世辞にも信仰心が篤いとは言えず、
母は父の葬儀の日時は決めたものの、お寺を決めていないありさま
「無宗教で家族葬でいいんじゃない?」
母と妹がそう言い始めた時、私はう~んと考えてしまいました
無宗教だったら、お経もお坊さんもなし
本当に、それでいいんかいな。
そう思った手前、私が手配をすることにしたのです
もともと真言宗であるし、父方の宗派は今少しゴタゴタしていますが、
母方の菩提寺でもあり、
お坊さまは私自身もお世話になっている大覚寺派の中から選んで、
お願いすることにしました
「戒名はどうされます?」
そう聞かれた時、
私の親族の圧倒的多数はお金で身分や地位を買うことに否定的なので、
「こだわりはないです。そうしたことに一切関心のない一族ですから。」とだけ答えました
そしてお通夜が始まる前、父があの世に持っていく新しい名前、
戒名を見たのです。
それは父の俗名から一字とったもので、
父の他にも伯父そして従姉妹の名前にも使われているもの。
お坊さまは父との面識もないし、私は何も言わなかったのによく気づいたなあ、
と思っていると、
「おじいちゃんの名前が入っている。」
それまで黙っていた従姉妹の声が部屋中に響いたのです
私は戒名の読み方はよくわからないけれど、
父は祖父(父の父)に慈しまれているとも読めるのです
祖父は早逝した為、父は祖父の記憶がありません
親族に使われている名と祖父の名。
このふたつが父の戒名に入っていることで、
改めてその場にいる親族は白木の位牌と父の写真に見入ったのです
あとで、お坊さまに聞くと、枕経の時にその文字が浮かんできたとのこと
「家族葬なんだから、お坊さん呼ばなくてもいいのでは」、
という声もあったけれど、
私はやはりお経を読んでもらうことは必要だと思うのです葬儀場で無宗教を申告すると、お線香も用意されないとか。
確かにキリスト教ではお線香を使わないし、
「家族葬」「無宗教」で葬儀を行う時には、
本当に宗教色をなくしていいのか、どこまで信仰する宗教を入れるのか、
注意をしなければいけないと思いました