下手なドラマより、圧倒的に面白い。
感想のキーワードは
・負ののれんによる純資産増強というトリッキーな手法
・会計基準の相違(IFRSと日本基準)
・広告宣伝戦略の評価
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■負ののれんによる純資産増強というトリッキーな手法
朝日新聞記者が「トリッキーな手法」と表現した「負ののれん」
松本氏は、「『持参金』付きで買収」とコメントしたが、
持参金が足りなかったという事だろうか?
ワンダーコーポレーションという会社を買収して、
1年も経たないうちに減損計上なんて、企業評価が甘かったと言われても仕方ない。
トリッキーというのは、企業を安く買いたたいて、
持参金付きで買ってきた、その持参金を「営業収益」に計上していること。
この利益で、純資産を手厚くしていること。
企業の買収と売却を主業としている投資会社なら理解できるが、
事業会社会社がM&Aによる損益を営業損益に計上することは、違和感がある。
とはいえ、会計基準に照らせば、IFRSに従えば特別損益項目がないのだから営業損益。
日本基準なら特別損益だろうが。。
この点は、IFRSに基づく会計処理であり、適正に開示しているのだから問題ないと
瀬戸氏は言い放った。
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■会計基準の相違(IFRSと日本基準)
子会社では特別損失だが、RIZAPでは営業損益。という説明が散見された。
営業損益で大幅な赤字だが、その大部分は、日本基準なら特別損失であり、
本業は、順調なんですよということを言いたかったのだと思われる。
しかしながら、上述のように、負ののれん、持参金を営業損益に計上することは
日本基準では認められない。
会計基準の都合の良い所を、つまみ食いしての言い訳は見苦しい。
むしろ、この人は、会計基準を理解していないのだと思った。
理解しての発言であれば、「確信犯」なのだろう。
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■広告宣伝戦略の評価
教育の場での「経営シミュレーションゲーム」において、
投資予算枠において、広告宣伝費にどれくらいの金額を配分するかは、
企業戦略の重要な要となる。
そもそも、広告宣伝費とは、何ぞや?という事を、よくよく理解する必要がある。
設備投資であれば、生産能力の増強、それは、生産数量の増加であったり、
品質の向上・付加価値の増加で販売単価の増加や原価の低下など
その投資自体が生産物の付加価値を増す効果がある。
広告宣伝費はどうか?
企業の供給する製品やサービスの数量や価値の増加をもたらすことは無い。
もちろん、企業の提供する財やサービスが知られていなければ販売はおぼつかない。
なので知名度を上げるための広告宣伝は必要だが、
適正な規模感は当然あり、それ以上は過剰な宣伝であり無駄な費用である。
いわゆる高級ブランドのメーカーは、広告宣伝を通じて、ブランドの価値を
世に知らしめて、その製品を持つこと自体のステータスを高め、
製品を、より高い価格で売ること、
また製品価格が高いこと自体がステイタスとして価値をもつことの印象操作を
戦略として行っているわけだけど、
RIZAPの提供するサービスはそこまでの高級ブランドの戦略商品とは違う。
広告戦略に誤りはなかったのだろうか?
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ボクは、以上のようなことが気になったのですが、
他にも、いろいろな切り口があるとは思う。
今回の業績下方修正は違和感が結構あるのだけど、
それを突き詰めると、
「なぜ、今このタイミングですか?」という事に尽きる。
松本氏が経営に参画して、議論する中で顕在化したという説明だったが、
もし、松本氏が経営に参画しなければ、この損失は計上されなかったのだろうか?
会計基準の判断は、そんなことには左右されない(はず)
この損失の計上は、もっと前に行われるべきではなかったか?
そこのところに、疑惑の目が向けられても仕方ないと思った。
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それはそれとして、投資対象としてのRAIZAPはどうだろうか?
松本氏という、まともな人が経営に入ったことで、改善がみられるのではないか?
とはいえ、営業CFの改善という成果が見えないと、投資は難しいかも。
こういうショックが起きると、株価は行き過ぎた下落になることもある。
自分なりに適正株価を見極め、そこより大幅に安くなるなら買い
という判断があっても良いかもしれない。
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蛇足ですが、監査法人が東邦監査法人→太陽監査法人に変更されていました。
中小監査法人→中堅監査法人への変更という事で、監査が厳しくなったことも多少は影響したかなという気がしないでもないです。