■入れ歯と健康
入れ歯を作って、綺麗に手入れをしている人は、長生きです。
これは、経験的にいっているだけではなく、歯科の学会でも報告されています。
逆に、歯が多く残っている高齢者でも、抜けた部分を入れ歯等で補っていないと、健康状態が悪くなっていきます。
老人ホームでは、かかりつけの歯科医を決めてありますが、急な痛みに対応してもらうことはあっても、定期的な検診や、口腔ケア等の予防的医療を行っているところはまだ少ないようです。
実は、私も自分の歯が四本しか残っていない、総入れ歯の人なんです。80を過ぎても矍鑠としてる私の両親が、やはり歯がないんです。
二人とも、四十半ばにして歯がどんどん抜けていき、還暦前には夫婦仲良く総入れ歯。
そういう親を見ていますので、歯磨きは丁寧にしていましたが、やはり駄目でした。
■枯れ木に水をやるようなものですか?
「年寄りは死んでください国のため」
という川柳は、川柳だから笑えるが、国の政策の根本にこれがあるんじゃないか?
と多くの方がおもっていますよね。
それは、困る。
安心して歳をとれない国づくりをしてはいけない。
老人医療について
「枯れ木に水をやるようなものだ」
という発言をしたの高級官僚がいましたが、「普通に生存していくことを保障する」という、国家システムの根幹を支えているという認識がまったく感じられません。
■入れ歯の手入れ
入れ歯を入れたがらない高齢者がかなりいます。
在宅介護の高齢者よりも施設介護の高齢者の方が、多いように思います。
以前作ったものが、少し合わなくなったとき、入れなくなって、噛まずに済む食事にしてもらい、咀嚼しなくなるというケースだと思います。
利用者のためというよりは、施設運営に楽なほうにいった結果だと思います。
飲み込むだけなので、食もすすみませんし、胃に負担もかかります。
なるべく、合った入れ歯で、噛むようにしてもらい、違和感があれば修理してもらうといいです。
入れ歯がしっくりくると、食事も、水分も摂取がすすみます。
当然、元気になってきます。
入れ歯がしっくりと来ただけで、笑顔が戻ったという経験を何度もしています。
それまでは口の中がいつも気持ちが悪かったのでしょうね。
入居者の入れ歯を、施設見学の時にはさせてもらうといいかもしれません。
干からびたような、誰のものかもわからないような入れ歯が、食堂の棚においてあったり、人数にくらべて、歯ブラシが少ない、というところをチェックするといいと思います。
いい施設は、いなくなった人の入れ歯は処分して、清潔、整然と管理、手入れがされているものです。
■入れ歯を使わない理由
老人ホームによっては、「本人が入れ歯を嫌がる」、というもっともらしい理由で、刻みやミキサー食が多いところがありました。
入れ歯をなくしてしまったとか、もうながいことはめていないので、ぜんぜん合わないという人もいました。
そして、入れ歯を作るのは、自己負担も数千円はかかります。
しかし、それをすれば、また食欲が戻り、笑顔が戻る可能性があるんです。
認知症の方も、食べている瞬間は「カレーライス」「ヨウカン」「ぶどう」・・・と、ものの味を判別していますから、わかってはいるんです(覚えていないだけで・・・)
家族の方から、「もう、お金を掛けて入れ歯なんか作らなくても、おじいちゃん、何を食べてももうわからないんだから」といわれたことが一度や二度ではなく、あります。
でもね、何を食べてるかは、わかってるんです。
そして、歯がないから、噛めない、噛まないだけなんです。
本人は、入れ歯に違和感があるから入れたがらない。
職員も、食後の入れ歯の手入れが面倒だから是非にとは言わない。
家族も、いればの作り直しで何千円かかかるんだったら、出せない金額ではないが、積極的ではない。
でも、作り直すなり、修理すれば、あと数年の命にとっての、楽しみがふえるわけですよ。
■健康な高齢者になるために、口内をきれいにする
入れ歯って、体の一部として作ってますから、これを取り外して人に見せるということはしませんね。
私の両親も、洗面台で、そそくさと、いればを洗ったり、はめたりしています。
私も、入れ歯を家族の前にさらけ出すことは、なぜかとても恥ずかしいことのように感じています。
そのため、除菌消臭の薬液につけておかなきゃ、とは思うのですが、洗面台のところにそれを放置しておいて、寝るのが、なんとなくいやだったんですね。
で、どうやってるかというと、蓋つきの西友で800円くらいで買ったお気に入りのマグカップをつかっています。
毎朝、食器洗い機にマグカップと蓋をかけて、夜ねるまえに綺麗になったマグカップで入れ歯の除菌です。
入れ歯を、さっと、水洗いして歯ブラシで適当にこすっただけでは、まだ数十億の口内細菌が生息しています。
つめの先で入れ歯をこさいでみれば、ぬるっとしたものが確認できると思います。
この、ぬるっ の中に億単位の細菌です。
これが、口内で繁殖し、口臭の原因となります。
しかし、入れ歯を綺麗に洗い、口内(舌、口蓋、歯茎)をブラッシングし、残っている数本の歯を丁寧にいっぽんづつ磨くのは、ほんの一二分でできます。朝、これをしておきますと、いちにちが爽やかに送れます。
入れ歯と歯茎の相性は、毎日違います。
朝起きて、洗顔し、入れ歯をいれるときに、しっくり来ると、それだけでうれしくなります。
入れ歯のせいで、「臭い」といわれたくはありませんし、口内の雑菌が、誤嚥性肺炎の要因ともいわれていますから、自分の健康を守ることにもなります。