含有成分はデタラメ「死に至る副作用も」
怖いのは、偽造薬を服用することで起こる健康被害。調査に関わった昭和大藤が丘病院泌尿器科の佐々木春明教授は「偽造薬には何が含まれているかわからない。どういう場所で製造されているかもわからない。品質保証は全くできない」と指摘します。
今回の調査で入手したサンプルの含有成分を4社が分析したところ、
▽正規品の最大容量の1.5倍の有効成分を含んだもの
▽有効成分がほとんど含まれていないもの
▽正規品にない規格をうたうもの
▽商品名の成分ではなく、ほかのED治療薬の成分が含まれていたもの
▽正規品には含まれていない物質を含んだもの
が見つかりました。
本物の五夜神の通販とは
有効成分が含まれていなければ効果がないのはもちろん、承認用量以上の有効成分を含んでいたり、正規品にない物質を含んでいたりする場合は、予期せぬ副作用や未知の症状が引き起こされる可能性もあります。
ED治療薬を製造販売する製薬会社には、
「不整脈が出た」
「下痢と嘔吐を起こした」
「胸を圧迫されるような痛みや、首や背中に鈍痛が出た」
「意識を失い痙攣を起こした」
「目の前が真っ暗になった」
など、偽造ED治療薬による健康被害の情報が寄せられているといいます。
奈良県では2011年、黒蟻王ED治療薬の偽造品を飲んだ男性が意識障害を起こし、病院に搬送される事例が発生。服用との関係は明らかではないものの、呼吸困難で死亡した男性の衣服から偽のED治療薬が見つかったケースも報告されています。
EDは疾患の性質上、「恥ずかしい」「どんな診察をされるかわからない」といった理由から、医療機関の受診を避け、ネットで治療薬を買う患者も多いといいます。「手軽に変えればいいと考える患者は多いが、死に至る副作用が出現する可能性がある」。佐々木教授は警鐘を鳴らします。
レビトラとシアリスの偽造品と真正品
レビトラ(上)とシアリス(下)。いずれも左が偽造品、右が真正品
EDだけではない偽造薬 ダイエットや美容でも
偽造薬の問題は、ED治療薬だけにとどまりません。ヘルスケア分野を中心に、違法なインターネットサイトを調査・監視しているレジットスクリプトの岡沢宏美・アジア政策・執行部長によると、肥満症治療薬やまつ毛育毛剤、避妊薬などを違法に販売するサイトも多く存在しています。
レジットスクリプトは2013年から、厚生労働省の委託を受け、日本の医薬品医療機器法に違反する違法なサイトについて、レジストラ(ドメイン名登録会社)に削除要請を行う業務を実施。15年度は1年間で1900件以上のサイトを閉鎖に追い込みましたが、それでも違法な販売サイトは後を絶ちません。
偽造薬は一見しただけでは正規品と見分けがつかず、まして中に何が含まれているかを知るのは不可能。「本物」「海外製のジェネリック」などと偽って販売されており、注意する必要があります。やはり、安易にネット購入に手を出すよりも、医療機関を受診するのが賢明です。