火星の北極に近い地点でNASAの無人探査機「フェニックス」が赤い土壌の分析中だ。
昨年8月に打ち上げられて今年5月に着陸し、7月末には地表面の5センチ下から水が含まれていることの確認を終えている。
間接的なデータでほぼ確実だった水の存在が、直接的な分析によって確定したことの意味は大きい。膨大な量の水は消えてしまったが、その一部が地面の下に氷の形で保存されていたのだ。
米国は将来、火星への有人飛行に乗り出そうとしている。水からは呼吸用の酸素も取り出せる。壮大な計画に向けての大きなプラス材料となるはずだ。
そして、水は、さらに大きな問題を提起している。水があったのなら、火星にも生命が存在していたのではないかという期待がわいてくる。
地球の生命がどのようにして誕生したのかは、わかっていない。地球の原始の海で偶然生まれたのか、あるいは宇宙から運ばれてきたのだろうか。
火星で生命そのものや、その痕跡などが見つかればヒトを含む地球上の生命の起源に光があたる。「われわれはどこから来たのか。われわれは何者か…」という永遠の謎に対する答えの糸口がつかめるかもしれない。