1ドル=113円台後半に進行した円安が上昇エネルギー

優利加さん
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昨日の米国株式相場は休場だった。1ドル=113円台後半まで円安が進行し、本日の日本株全般はこれを好感して上げた。東証1部では、上昇銘柄数1,030に対して、下落銘柄数は835となった。騰落レシオは133.59%。東証1部の売買代金は2兆7225億円。

TOPIX +5 @1,465
日経平均 +48円 @18,381円

一時は1ドル=113円台後半まで円安が進行したことを受けて、輸出採算の改善期待から自動車株などに買いが入りTOPIXも日経平均も続伸した。どちらも始値と終値がほぼ同値で上下に長めのひげを引いた「トンボ」のローソク足となり、上値の重さを暗示している。日経平均株価は1万8482円まで上昇し、1月4日に付けた年初来高値(1万8450円98銭)を上回った。これで日経平均株価は7日続伸した。7日続伸は2015年11月4~12日以来である。

日本株は世界景気に敏感で為替相場の動向とも連動しやすく、足元の株高は円高・ドル安を前提に取引していた海外投資家が日本株の比重を戻すための買いが大きい。海外投資家だけでなく国内機関投資家も追随買いを入れているのはほぼ確実で、本日は海外勢の参加が少ない割に東証1部の売買代金は概算で2兆7225億円と高水準となった。大引け後に東証が発表した投資部門別株式売買動向によれば、海外投資家は先週、日本株を約4900億円買い越した。http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/nlsgeu0000021wmb-att/stock_val_1_161103.pdf

トランプ次期米大統領の政策の実現性を100%信じる人はほとんどいないだろう。ただ、大統領に実際に就任するまでは誰も反証もできない。まだ実態が伴ってないことがかえって、財政拡大による米金利上昇がドル高を引き起こし、それが日本株高へと繋がるストーリーに乗りやすい相場環境を形成している。従って、トランプ氏が大統領に就任する1月20日までは思惑主導の円安・ドル高基調が続く可能性が高く、年内は円相場の下落や米金利の上昇を追い風にした株高基調が続くと見る。こうした状況では投資家の想像力で株価が上がりやすい。財政拡大期待が過度に高まっており、当然、実現を伴わないリスクも十分ある。トランプ次期大統領の政策が具体化する年明け以降は特に注意が必要だろう。

日経平均のチャートを見ると次の上値抵抗帯は、昨年12月初旬をピークに下げ始めた後の最初の下げ渋りで形成された保ち合いレンジである1万8800円近辺だ。この水準を買い切って上げるためには円安進行以外の新たな材料が必要になるかもしれない。

ドル円相場がどこまで円安になるか「フィボナッチ・リトレースメント」で考えてみる。これは株式チャートを読むときにもよく使われる手法であるが、これをドル円チャートに当てはめてみる。高値と安値を設定し、高値から安値まで38.2%ないし61.8%円安が進んだ水準を特に重要な節目として意識する。2015年の安値は125円86銭で、2016年の高値は6月24日に付けた99円だった。この値幅からフィボナッチ・リトレースメントを計算すると、高値から61.8%円安が進んだ水準は115円60銭程度となる。(125.86-99)x0.618+99=115.599。これが当面の目標となるか?

33業種中22業種が上げた。上昇率トップ5は、輸送用機器(1位)、精密機器(2位)、電気・ガス(3位)、非鉄金属(4位)、倉庫・運輸(5位)となった。
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