【株式市場見通し】ジャクソンホール会合を週末に控えて、全体的には動意薄
の様相強まる公算
今週の日経平均は下落。為替相場の円高推移がマイナス視される格好になっ
た。16日にドル・円相場は6月24日以来の1ドル/100円割れとなり、その後も10
0円レベルを挟んだ動きが続いている。週初は寄り付き前に4-6月期のGDPが発
表された。実質GDP成長率は前期比年率+0.2%となり、市場予想の+0.7%を下
回った。日銀の追加緩和期待につながるかともみられたが、うるう年効果によ
る押し下げを除けば、成長率は同+1.3%程度となるため、こうした期待感が高
まることはなかった。
日銀のETF買い入れに対する思惑から、為替の円高にもかかわらず下げは限
定的にとどまっていたが、18日には、TOPIXの前場終値が前日比0.2%以上の下
落なら日銀がETFを買い入れといった経験則が覆される形となり、やや下げ幅
を広げる動きにもなった。ほか、米FOMC議事録なども焦点となっていたが、追
加利上げの時期が定まる状況にはならず、株価の方向感の発生にはつながらな
かった。なお、夏休みムードも広がり市場参加者が減少、売買ボリュームなど
が盛り上る状況にはならず。
来週、最大の焦点となるのは、8月26日にジャクソンホールで予定されてい
るFRB議長の講演となろう。8月25日から27日にかけて、ジャクソンホールでは
各国中央銀行関係者が集まる金融・経済シンポジウムが開催される予定となっ
ている。FRB議長が早期利上げに前向きな発言をするのか、利上げ先送りを示
唆するのか、現時点でも注目度が高まる格好になっている。実際は、方向性が
定められるような発言はなされない可能性が高いものの、少なくても、イベン
ト前には様子見ムードが強まっていくことになろう。
米国では、新築住宅販売件数(23日)、中古住宅販売件数(24日)、耐久財
受注(25日)などの経済指標が発表される。ジャクソンホール会合前だけに、
従来以上に反応が強まる可能性もあろう。また、欧州では独Ifo景況感指数(2
5日)が発表予定、こうした海外の経済指標が為替の動きを通して東京株式市
場にも影響を与えることになっていこう。
来週は国内では大きなイベントが予定されていない。足元では連動性が薄れ
てきているとはいえ、引き続き為替動向が最大のカタリストとなろう。また、
日銀のETF買い入れ動向にも注目が一段と高まる方向にある。どの程度までの
下落であれば買い出勤するのか、どこかの段階では、日銀のスタンスを探ろう
といった動きが強まろう。いずれにせよ、薄商いの中では日銀のETF買い入れ
インパクトは大きく、買い方は押し目買いに徹する可能性がある。上値追いの
減少、押し目買いの増加で、大きな方向性は定まらない公算だ。
原油市況の上昇、米国株式市場の堅調な動きが、世界的にも金融相場にポジ
ティブな影響を与えている。この両輪のトレンドは同一方向とみられるが、差
し迫ったリスク要因も世界的に減少しつつある中、米国金融政策の変化が顕在
化してくるまで、当面はリスクオンの流れを演出していく公算が大きい。
今週の物色動向で目立ったのは、景気敏感株買い、内需ディフェンシブ売り
といったリターンリバーサルの流れである。原油市況の上昇などは支援材料と
いえるが、為替の円高が進行している状況下、輸出関連株上昇の持続性には懸
念も残る。決算発表後のアナリストの業績見直しの動きなどが、売り込まれた
景気敏感株見直しのきっかけにもつながっていると考えられるが、今後はこう
した動きも一巡してこよう。なお、半導体製造装置各社も足元で堅調な動きに
なっているが、来週は北米半導体製造装置BBレシオ(23日)などが関連株のさ
らなる評価材料につながるか注目。
新興市場には資金流入の減少が継続しているが、日経平均動意薄の状況が継
続すれば、さすがに出遅れ感に対する意識も強まってこよう。足元ではテーマ
物色の動きも散見されつつあり、個人投資家のマインド改善を期待したい。と
りわけ、23日には「第1回FinTechフォーラム」が開催され、黒田日銀総裁の講
演も予定されている。フィンテック関連などの動意にも注目したいところ。
フィスコ