原油安と円高による売りが日銀のETF買い入れ増額期待を上回る

優利加さん
優利加さん
昨日の米国株式相場は大幅下落した(DJIA -90.74 @18,313.77, NASDAQ -46.46 @5,137.73)。ドル円為替レートは100円台後半の円高方向へ振れた。本日の日本株全般は続落した。東証1部では、上昇銘柄数が167に対して、下落銘柄数は1,757となった。騰落レシオは102.9%へ低下した。東証1部の売買代金は2兆4585億円。

TOPIX -28 @1,272 
日経平均 -308 @16,083

欧米株式相場が下落し、円相場が1ドル=100円台後半に上昇したため、海外株安や原油安を嫌気して、TOPIXも日経平均も続落して25日移動平均線を割り込んだ。ニューヨーク・ダウ工業株30種平均は8月1日まで6日連続安となった。輸出採算の悪化懸念などからトヨタキヤノンなど主力の輸出関連株を中心に幅広い銘柄に売りが出た。欧州銀行株が大きく下落したことを受けて、メガバンク株にも売りが膨らんだ。

ニューヨーク原油先物市場では8月1日、WTIの9月物が前週末比1.54ドル(3.7%)安い1バレル40.06ドルで取引を終えた。一時39.82ドルまで下落し、今年4月以来の40ドル割れとなった。シェールオイルの掘削装置の稼働数が増加傾向にある一方で、夏のドライブシーズンを迎えた割にはガソリン需要に強さが見られないことが下げの一因とされている。http://chartpark.com/wti.html

8月2日に増額の認可を受けた日銀のETFの買い入れによる株価下支え効果が乏しいとの見方も売りを促した。日銀は先週末の金融政策決定会合で年間のETF買い入れ額を3兆3000億円から6兆円に拡大することを決めた。6兆円の買いといえばどれくらいのインパクトがあるのだろうか?例えば個人投資家は昨年1年間に5兆円分の日本株を売り越したが、この売りをすべて吸収できるほどの規模である。会合後、最初の買い入れとなった8月2日は347億円と、7月(336億円)とほぼ同額だった。3日は増額されると市場は期待していたが、株価はズルズルと下げて、日銀のETF増額買い入れ期待は肩透かしをくらった。市場では、日銀は毎月第2営業日~翌月の第1営業日を「1カ月」としていると見られている。過去の買い入れ履歴では、この1カ月間で買い入れ額を変更したのは2011年3月と11年8月、13年4月の3回のみだった。このことから、日銀の買い入れ額が倍増されるのは9月に入ってからという見方も浮上してきた。ますます期待が遠のく。

もともと、日銀のETF買い入れは2010年10月に年4500億円の枠で始まった。13年4月に黒田東彦総裁が量的・質的金融緩和を宣言して1兆円に増額した。さらに14年10月に3兆円に増額し、16年4月には設備投資や人材投資に積極的な企業を支援するETFを買うための別枠として3000億円を追加して、合計3兆3000億円となった。そして、今回は全体の枠を6兆円にほぼ倍増した。買い入れペースも2倍になるかと期待されたが、今のところ期待ハズレのようである。

33業種すべてが下げた。下落率トップ5は、証券(1位)、不動産(2位)、ガラス・土石(3位)、銀行(4位)、水産・農林(5位)となった。


優利加さんのブログ一覧