収斂上放れ?

優利加さん
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先週金曜日の米国株式相場は小幅上昇した(DJIA +44.93 @17,873.22, NASDAQ +31.74 @4,933.50)。ドル円為替レートは111円台前半の円安方向へ動いた。本日の日本株全般は続伸した。東証1部では、上昇銘柄数が1,534に対して、下落銘柄数は307となった。騰落レシオは106.91%。東証1部の売買代金は1兆5604億円へさらに縮小し、8日連続で2兆円割れが続いている。

TOPIX +16 @1,366
日経平均 +233円 @17,068円

前週末にFRBのイエレン議長が早期利上げに前向きな発言をしたことで円売り・ドル買いが加速し、ほぼ1カ月ぶりに111円/US$台まで円安となったことで、輸出関連株が買われた。さらに2017年4月の消費増税延期が確実になった。その結果、TOPIXも日経平均も続伸し、収斂上放れとなった。しかし、売買高が少なく、盛り上がりに欠ける。5月30日は英米市場が休場という事情を考慮しても少なすぎるのではないか。

増税延期自体はほぼ織り込まれており、市場の関心は2016年度第2次補正予算はいくらになるかに移っている。消費税が予定通り引き上げられるとの前提で、10兆円程度の補正予算が実施されると予想されてきた。しかし、消費増税が先送りされれば、財源が限られるので補正の規模も5兆円程度に下振れるとの見方も強まってきた。5兆円ではインパクトが弱いだろう。

増税延期はイベント・ドリブン型のヘッジファンドには格好の材料だが、年金など中長期運用の投資家にはどうだろうか?日銀の大量購入により金利が低い水準に抑え込まれているので、財政が拡大しても信用リスクの高まりは回避できるという見方が日本では主流のようだが、いつまでも続けられるものではない。しかし、もっと過激な考え方も浮上している。中央銀行や政府が一体となって拡大的な財政政策・金融緩和を実行し、あたかもヘリコプターで上空から市中に現金をばらまくかのようにマネー供給量を増やす「ヘリコプターマネー政策」である。さらに、打ち出の小槌的手段も提唱されている。日銀が保有する大量の国債を政府への無利子・無期限の預け金に切り替えるという奇策である。返せなくなった借金を株式の形に振り替えるデット・エクイティ・スワップと似た考え方である。確かに形の上では国債による大量の借金が帳消しになるが、市場はどう評価するだろうか?

33業種中31業種が上昇した。上昇率トップ5は、パルプ・紙(1位)、輸送用機器(2位)、ガラス・土石(3位)、海運(4位)、電気機器(5位)となった。

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