五月八日は母の日だったが、昼に突然、東京の妹から、電話がかかってきた。
以前約束した妹の長女の、育英資金の保証人の書類が、六月には、できるから、「印鑑証明を二通準備してくれ」といふ内容だった。
妹一家が、春休みに実家に帰ってきたときに、ぼくは有名私学に合格した姪御(メイゴ)を誉め、祝福し祝い金を渡し、姪の口から、保証人になってくれとの頼みを受けたら、もちろん即座に快諾した。
ぼくは独り者だから、二人の姪御は、とても可愛ゐくて、実の娘のやふに、さふ愛してゐたから。
ただし、不思議に思ったのは、電話口で、母の話が全くでない。それに妹は、この日曜日が、「母の日」だといふことを忘れてゐた。なにか、ヘンだぞ?・・・・・それに印鑑証明が二通はオカシイ!その育英資金の保証人覧は、いくつかあり、複数捺印しなければならないのかも、或いは、正副二本書類があるのかな。・・・・が、それでも印鑑証明は、一枚で足りるハズ。
・・・・・・・妹のまたいつもの癖がでた。これは、詐術・裏切りだ。
たぶん、もう一枚の印鑑証明は、妹の借金の借用証書の連帯保証人の印章に附けられる筈。
そして連帯保証人は、ぼく。
たぶん、なまはんかな金額じゃあるまひ。
妹の家庭は、*債務超過(オーバー・ローン)に、陥ってゐる。娘をふたり有名私学へ。
東京都内のマイ・ハウス兼幼稚園児や小学生の学習塾。ハウジング・ローンは5000万円超。
義弟は、都内の私学の中学国語教諭。これは問題なし。妹は、某フランチャイズ系学習塾のオーナーだ。
これが、曲者で。上品で聞こゑの良い仕事だけど、そこはそれ、やっぱり商売。自己資金だけでは、できませぬ。
*債務超過・オーバーローン。税込み収入の30%をローンが超過してしまふこと。ファイナンシャル・プランニング上は、ローンの完済はできなくなる(個人分野の場合)。
そもそも、妹夫婦と、ぼくとの間に深い溝ができたのは、いまから十年ほど前、母が、まだ介護度1のとき、夏休みを利用して、一週間妹夫婦に実家に入ってもらって、ぼくがカリフォルニア州で久しぶり羽を伸ばしたときにそれが起こった。
家に帰ってみると雰囲気が何故かヘンだ。・・・やっと、一か月してから、母が重い口を開ひた。
ぼくの留守中に、妹夫婦は、二人がかりで、母に遺言状を強要して、家じゅうを、・・・追いかけまわした。
ああ、われ、やんぬるかな!東京へ帰っていた妹を電話口で詰問すれど、知らぬ存ぜぬでシラを切り通されてしまった。妹は、大変なタマだよなぁ。
六月に送ってくる書類が不正なもので、あるならば、こんどは証拠あり。
母の介護は、僕が「おひとりさま介護」でやってゆける。
妹とは、・・・・サヨナラだ。それにしても兄弟は、他人の始まり。
泣く、泣く、しるす。 皐月きのゑうま日 ほんまそうかい記