FRBのイエレン議長がゆるやかな利上げを強調したため、早期の米利上げ観測が後退し、外国為替市場では円安・ドル高が進んだ一方、低金利の長期化を好感した米国株式相場は力強く上昇した(DJIA
+97.72% @17,633.11, NASDAQ +79.84
@4,846.62)。ドル円為替レートは112円台前半の円高方向へ動いた。これを嫌気して本日の日本株全般は下げた。東証1部では、上昇銘柄数が466に対して、下落銘柄数は1,419となった。騰落レシオは124.32%。東証1部の売買代金は2兆4億円と辛うじて2兆円の大台を回復した。
米国株が大きく上げた反面、円高が進んだことを嫌気して、TOPIXも日経平均も大きく下げた。円高の背景をまとめると次のようになる。最近は相次いだ地区連銀総裁による追加利上げに前向きな発言で、ドル高が進むとの見方が強まりつつあったが、ドル高による米製造業の景況感悪化や、ドル建て債務を抱える新興国の財政懸念を念頭にイエレン議長が追加利上げに慎重な姿勢を示した。海外経済や国際金融資本市場の動向の不透明感を懸念しているからだ。他方、米経済については緩やかな拡大を続けると楽観的な見方を示している。米景気は労働市場を中心に堅調に回復しているため、FRBは今後も利上げ姿勢を保ち、6月の利上げは十分ありうる。ということは中長期的なドル高基調は続きそうだが、目先の現実はドル安・円高方向へ動いている。日本国債は、長期債(新発10年物)までマイナスに沈み込んでいるので、国内投資家の為替変動リスクを取った海外資産での運用は一段と増加せざるを得ないはずで、それがドル買い・円売りを増加させる。その分、円高圧力を減殺すると推測できる。
日本国内の景気に目を転じてみよう。30日に発表されたばかりの2月の速報値が市場予想を下回るなど、国内景気は足踏み状態だ。しかし、この景況感の弱さが2017年4月の消費増税の見送りや財政出動などの政策期待を高めやすくなり、新年度入り後の株価を下支えするとも推論できる。以上は一つの理詰めによる見方である。さて、実際には株価はどう動くだろうか?
TOPIX
-21 @1,356
日経平均 -225円
@16,879円
33業種すべてが下げた。下落率トップ5は、海運(1位)、銀行(2位)、非鉄金属(3位)、パルプ・紙(4位)、鉱業(5位)となった。