「どうですか、見事な株価操縦でしょう。これでエブリボディーハッピーで、逮捕者は出ません……」
「ちょっと待ってよ! ちょっと!」
「あんたはいつも、株はギャンブルだから、儲かった人がいれば、損をした人が必ずいるっていってたじゃないの。誰が損をしたのよ」
「損をしたのは、20,000円を買い、株価が下落した後に売り上がったヘッジファンドと、それに追随した個人かな、最近では、熟練者ほど相場について行けなくなって、落後している人も多いって聞いているよ……」
「年金基金や、政府系金融機関は、暴落時は評価損が出たかもしれないけど、その後の値上がりで、ほぼ相殺しているよ……」
「政府は、次の放出に自信をつけたし、証券会社は手数料で潤い、割り当てた個人客からは、絶大の信頼を勝ちえたしね……」
「抽選に当たった個人は、大喜びでしょうね。でも、すぐ売ってしまった人は、ちょっとだけの喜びで終わってしまったんじゃないかな。当たった株を種にして、郵政株を増やしていった人が最後の幸運を手にすることになるのにね」
「ストーリーを考えた人は、随分儲かったでしょう」
「それがね……」
この物語りは、最近の株価の動きをヒントにした私の創作です。株価は操作されていることにご留意の上、投資に当たっては個人の責任でお願いいたします。