猛暑もどうやら峠を越えました。決算発表も終わり、SQも通過し、新しい相場入りも期待したいところですが、今度は中国ですか……。
今年に入って、株価は上下に大きく触れましたが、長いスパンで見ると緩やかな上昇過程にあります。株価のサイクルや、海外情勢の変化にも鈍感となり、内閣支持率の下落にも株価は堅調と……、投資環境の変化を予兆させられる現象も、見られるようになってきました。
私は、「ホールド」したまま、原稿書きで夏を過ごしましたが、皆様はいかがでしたか。
正直なところ、政治と株の話には無力感が漂います。今日は、幕間つなぎに、売れない小説志望家のボヤキでも聞いてくださいよ。
企画から原稿作り、写真、グラフ、表紙の制作、レイアウト、校正までを全部自分で仕上げて電子出版すれば、圧倒的に安いコストで本が出版できます。
ワードなどで作った原稿をEPUB化し、あらかじめ登録してあるキンドル・ストアのアカウントにアプロードし、アマゾン社の審査に合格すれば出版されます。かなり、手間暇がかかる作業ではありますが。
ところが、苦労した割には、見てくれる人はほとんどいません。買ってもらわなくてもいいから、せめて見てもらうように友人に頼むのですが……。もちろん中身が、読む人の関心を引くかどうかが一番重要でしょうが、それ以前に、電子書籍の壁が立ちはだかります。
電子書籍と紙の本では、どこがどう違うのでしょうか。
作家の立場から、電子書籍のメリット、デメリットを列挙すると、
1.安いコストで出版できる
2.出版後の編集ができる
3.読者の声がすぐ反映される
4.リアルタイムで販売数がわかる
5.面倒な操作と、高額な閲覧用の器具を必要とする
6.物がない
7.まとめ買いができない
8.制作に知識と手間がかかる
1~4までがメリットで、5以下がデメリットです。一番の問題は、電子書籍は、電子ファイルで、「かたち」がないことです。
以前出版したことのある紙の本では、出版記念として、大学や地域の図書館などに寄贈しましたが、電子書籍では受け付けてくれません。プレゼントとして家族や友達に贈ろうとしても、電子書籍リーダー1台当たり1冊しか購入できないので、纏め買いをして配るわけにもいきません。
そのため、販促の一環として友人に評価依頼する場合には、購入費用の数倍の商品券やお菓子などを送って、購入を依頼するのですが……。それでも、購入しない人がいるのはなぜでしょうか(これが情報過剰時代の現実なのかもしれません)。
購入した人は、読後感を「カキコ」できますが、悪意を持った購入者にマイナスの書き込みをされると、作者としては取り消すことはできません。もちろん、作者や特別な関係がある購入者は書き込みはできません。個人でできる販売促進には限界があります。
電子書籍は、専用のリーダーがなくても、スマホ(アップル、グーグル)でも十分閲覧できます。最近ではパソコン上で、パソコン用のアプリをダウンロードすれば、専用リーダーと同じ画面が、同じ操作で見られます。専用リーダーも安くなり、アマゾンの白黒版でしたら、10,000円そこそこで購入できます。電子書籍のイメージは随分と変わってきています。
電子書籍の壁を乗り越えたら、今度はコンテンツです。これが一番の問題なのですが、私の作品は、株式投資と小説です。
株式投資は、この欄でもご紹介している私の株式投資法についてです。電子書籍の特徴の一つとなっている出版後の編集機能を利用して、最新情報を取り入れるようにしていますが、当たり前のことを書いているといって相手にしてくれません。情報の深掘りと、宇宙人的な解釈が求められているようです。時間が許せば新しい発想で、誰でも儲かる投資法を世に残したいと考えています。
小説のほうも、すでに10冊ほど書いていますが、これも苦労の連続です。
テーマとなる業種、企業を選び、背景を決めてゆきますが、いい加減なことを書いては、読者からの信頼をえられないばかりか、特定の企業や個人を誹謗したりすると、訴えられる危険性もあります。業界にいる人からの情報があれば助かりますが、そう簡単には見つかりません。調査には時間と費用がかかります。
背景が決まっても、ストーリーができるわけではありません。面白くするためには、善悪の対立が必要です。誰を主人公にし誰を悪人にするか。
愛情、憎悪、人情、不倫、不正、不満、格差といった問題から、地域社会、政治、経済情勢の変化まで、ありとあらゆる現象を見る人の興味を引くように作らなくてはなりません。
作者が一生かかっても実現できなかった夢や願いは、小説のなかなら実現できます。とはいっても、カミさんと別れる話や、隠し子がいるといったストーリーを書くときには、いくら小説といってもそれなりの覚悟がいります。
私の最近の著書、小説「立待岬」は、あまりなじみのないコーンスターチ産業の紹介と、そこで働くある会社の「エリート社員が、天下り社長によって出世の道を閉ざされ、その悲哀と不満を優しいアメリカ人女性によって癒される」というストーリーです。
来年開業予定の北海道新幹線の函館ブームを先取りした面もありますが、話題となった美人研究員や、大人気だった連続ドラマのアメリカ人女優さんなどを、観光名所の「立待岬」にどう結びつけるか。それに、食品産業を大きく変えることになる黒船TPPの出現……、話題は豊富です。
企業小説としてみる人には、横書き版の「立待岬」を、恋愛小説としてみる人にとっては、縦書き版の小説「立待岬」をお勧めします。ストーリーはほとんど同じですが、読後感は、かなり違ったものになるはずです。内容も、小説「立待岬」のほうが、人間関係をより詳細に描写しています。
パソコン上からアマゾンを呼び出し、キンドル・ストアから「立待岬」と検索すれば、「立待岬」と小説「立待岬」のページに到達いたします。パソコンで見る場合のアプリも、同じページからダウンロードできます。
どちらも、一部368円ですが、コーヒー一杯分の費用で、自宅のパソコンでくつろぐことができます。二つの関門を乗り越えて見てくれた友人の評価は上々で(あたり前かもしれませんが)、奥さんたちからは励ましの言葉もいただいております。
皆さんもこの機会に、これからの文化の発信源となる電子書籍の一端に触れて見てはいかがでしょうか。作家になれるかもしれませんよ。