結婚話

ユリッチさん
ユリッチさん
台風がまだしがみついていそうな暗い雲に追われるように介護施設に急いで行くと、ちょうど祖母のベッドのシーツ交換とかち合ってしまいました。

やむなく廊下で待っていたら、入所者のハナさんが、私に声をかけてきました。
「ねっちゃ、結婚するんだってね。おめでとう」
「? は、はぁ?」

仰天する私の顔を覗き込んだハナさんは、無邪気に話を続けました。
「あんだのバッチャが、じき結婚するって話したもの。おらみんなに教えたげたよひっひっひ」


一体どういうことかと焦っていると、シーツ交換を終えた介護員さん二人のうち一人が部屋から出てきたので、息せき切って訊ねてみました。すると介護員さんは笑顔で説明してくれました。

結婚宣言をしたのは私の祖母で、食堂で世話好きでもあるハナさんに熱心に話をしていたそうです。それをハナさんは耳が遠いせいもあり、私の結婚話と勘違いしてしまったのだろう、ということでした。

呆れて部屋の引き戸を開けると、祖母はその結婚希望相手のイケメン介護員さんと、愛の語らいの真っ最中。。。。

「ばっちゃ~、シーツもおしめも替えて、すっげーあんべいぐ(気持ちよく)なったべさ~~」

「んだ~~、ほんとに、あんべいい~~。。。。」


帰りのバスの中でガラケーを開き、またもや利確が遠退いたことを知りショックでしたが、結婚の勘違い話は、もうどうでもよくなりました。仲良しの勝之進さんが、「ねっちゃでなくてよかった」、と喜んでくれた笑顔が、台風余波の曇り空に、心地よく吸い込まれていきました。
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お、ゆりっちゃ、結婚するのね。おめでと~
みんなに言わなくっちゃ。

一番のり~~


そっか、取りあえず、おばあちゃまおめでとうw

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